【Connecting Your Worldレポート】 HP、外観もソフトも洗練された第2世代の一体型タッチPC
6月10日(独時間)発表 米Hewlett-Packard(HP)は10日(独時間)、指で触って操作可能なタッチスクリーン対応の液晶一体型PC「TouchSmart PC IQ500」シリーズを発表した。米国での発売は6月13日。なお、本製品は日本でも発売予定だが、下記の仕様は米国でのものとなる。 PCを初めて使うユーザーにとって、アイコンを直接タッチして利用するのは、マウスよりも分かりやすい。そのため、第1世代の製品はキッチンにおいて家族で共有するPCを製品コンセプトにしていた。 しかし第2世代となる本製品は、そのターゲットを同社が「ネット・ジェネレーション」と表現する10代から30才くらいまでのネットやPCに慣れ親しんだ層を対象にしている。これは、本製品に限らず、今回発表された一連のコンシューマ製品についてもそうで、個別の説明会でもしばしばネット・ジェネレーションという単語が登場した。これは、同社が今後コンシューマPC市場を牽引していくのはこういった世代だと考えているからだ。 外観も大きく様変わりしており、第1世代は奥行きがあり、明らかに卓上に据え置いて使う形状をしていたのに対し、第2世代は壁掛けもできそうな薄型設計になっている。また、独自のタッチインターフェイスソフトウェアも大幅な改良が施されている。ちなみに、ここでは便宜上、第2世代と表現しているが、同社は'83年に同社初のタッチセンサー搭載PCを発売しており、「タッチPC」という括りでは本製品は第3世代となる。
第1世代同様、IQ500シリーズもフォームファクタはデスクトップだが、内部のアーキテクチャはストレージ類を除いてモバイルのものを採用している。 上位モデルの「IQ506」は、Core 2 Duo T5850(2.16GHz)、メモリ4GB、HDD 500GB、Intel GM965 Expressチップセット、GeForce 9300M GS(256MB)、DVDスーパーマルチドライブ、TVチューナを搭載。液晶は1,680×1,050ドット(WSXGA+)表示対応の22型。価格は1,499ドル。 下位モデルの「IQ504」は、CPUがCore 2 Duo T5750(2GHz)に、HDDが320GBに変更され、単体GPUとTVチューナが省略されている。価格は1,299ドル。OSはコンシューマ製品としては非常に珍しいことに両モデルとも、64bit版のWindows Vista Home Premiumを採用している。 インターフェイスはほぼ共通で、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth、5-in-1カードリーダ、IEEE 1394、USB 2.0×5、Webカメラ、音声入出力などを装備。薄型で本体の下に収納可能なワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウスが付属し、上位モデルはメディアセンターリモコンも同梱される。 本体サイズは約533.4×66×442mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約10.9kg。第1世代は横から見ると「2」を描くように台座部が背後に伸びていたが、第2世代は完全に1枚の板状になっている。液晶の下の部分は、手前にくるっとカールしたようなデザインになっているが、ここには明るさを3段階に調節可能なライトが内蔵されており、部屋が暗いときにキーボード部分を照らすことができる。
第1世代のタッチインターフェイスソフトウェアは、メディアセンターのUIをベースにして拡張したもので、色調も青に統一されていた。これに対し、第2世代はメディアセンターとは独立したものとなり、色調も黒に変更されている。 画面の下には、ビューワなど独自アプリケーションのほか、Internet Explorer、Vista標準添付のゲームなどのアイコンが並ぶ。 ここから頻繁に利用するものを選んで、画面の上にドラッグすると、大きく表示される。その大きさは標準で全画面の1/4近くあるので、多数を並べると1画面には表示しきれなくなる。そういった際は、指でさっと左右に画面をなぞると並んだサムネールが左右にスクロールする。 これが新UIで強化された点の1つで、第1世代のUIはマウスを指に置き換えて操作する感覚だったが、第2世代はドラッグというよりジェスチャーのような感覚で操作するようになっている。ソフトの反応速度が向上したことで、多数の写真や動画の一覧を開いても、指でなぞるとすいすいとスクロールされていく。 UIについてのもう1つの強化点が、2本の指での操作に対応した点。これにより、例えば写真のサムネールを表示して、それを2本の指でつまむように操作すると縮小され、逆に指を開くと拡大したり、トリミング範囲を指定するときに対角線上の2点をドラッグして、範囲を指定するといった操作が可能になった。また、頻繁に利用するアプリケーションの表示サイズも自由に変更できる。 現状ではこのつまむような操作にしか対応していないが、同社は発売後も3~6カ月毎にソフトウェアをアップデートしていくことを明言しており、画像の回転など新しい操作方法が追加される可能性はある。 第1世代同様、センサーは感圧式や静電容量式などではなく、液晶の隅に内蔵したカメラを利用して指の位置を追跡している。そのため、センサーのフィルムで液晶の透過度や輝度が落ちるといったことがない。 新UI上のアプリケーションは、カレンダー、天気予報、メモ帳といった第1世代と同じものに加え、RSSリーダ、フォトビューワ、ミュージックプレーヤー、ムービープレーヤーなどが追加されている。このあたりにも、若い世代に対象を変更した影響が色濃く表われている。ちなみに、ミュージックプレーヤーはiTunesのプレイリストの取り込みに対応するほか、ジャケットを円を描くように表示させ、指で回して選んでいくこともできる。
□HPのホームページ(英文) (2008年6月12日) [Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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