MSIエリック・チャン氏、GigabyteとASUSに真っ向から対抗
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台湾MSI エリック・チャン氏 |
5月16日 開催
エムエスアイコンピュータージャパン株式会社は16日、DrMOSなどの新技術により省電力化した、次期マザーボード「P45 Platinum/Diamond」などをプレビューする記者説明会を開催した。
説明会では、DrMOS(Driver MOSFET)搭載などによる省電力機能やEFI搭載などのメリットを軸に、次期マザーボードが紹介された。そのほか、次の世代として投入されるメモリ8スロット(DDR2×4、DDR3×4のコンボ)のマザーボードや低負荷時にファンを止めるHybrid Freezer搭載ビデオカードなどが紹介された。
なお、Intelの次期チップセット「Intel 4シリーズ」は6月初頭のComputex Taipeiにて正式にローンチされ、順次搭載製品が発売される見込みだ。価格や発売日、ベンチマークなどの情報は公開されていない。
P45 Diamondのパッケージ | Intel 4 シリーズのラインナップ |
●第1弾は8製品をラインナップ
ラインナップは、6月に第1弾としてIntel P45搭載マザーボードを6製品、Intel P43搭載マザーボードを2製品投入する。7月に第2弾としてG45/G43搭載マザーボードと、P45搭載マザーボードのエンスージアスト向けを投入する予定。
今回公開されたのは、P45搭載マザーボードのハイエンド向けとなる「P45 Diamond」と「P45 Platinum」。DiamondはDDR3対応で、 PlatinumはDDR2対応版とDDR3対応版の2モデルが用意される。チップセットは共通でIntel P45 Express+ICH10R。対応FSBは2,008/1,600(OC)/1,333/1,066/800MHz。PCI Express x16(2.0)×2でATI CrossFireに対応。
DDR3モデルはDDR3-2000/1800/1600/1333/1066対応で、DDR2モデルはDDR2-1200/1066/800対応となっている。DiamondはX-Fi Xtremeチップ搭載サウンドカードを同梱するほか、水冷用ヘッドを装備する。
P45 Diamond | Circu-Pipe 2 | P45 Diamondのデモ機 |
P45 Platinum | P45 Platinumのデモ機 | そのほかのラインナップ |
●真に省電力なP45マザーボード
台湾MSI エリック・チャン氏 |
Intel P45搭載マザーについて、GreenPower、XpressCool、RapidBoostの3点があり、これらにより同社のP45搭載マザーが高効率、低騒音、最高のパフォーマンスを実現。特に、GreenPowerについて詳細に説明した。
そのキーはDrMOSの採用であるという。DrMOSとは、Driver ICとMOSFETを統合したもので、デスクトップ向けのマザーボードとして初めて電源周りに搭載する。DrMOSは一体化したことで従来の配線によるロスや遅延がなくなり、電力消費を27.6%抑えると共に、温度を16度下げる。同時に電源容量の増加や安定した電力供給も実現するという。
台湾MICRO-STAR INTERNATIONALのProject Assistant Vice President DPS PM Department 1のエリック・チャン氏は、「ASUSやGigabyteがすべてが省電力向けにデザインされているなどと言うのはライアー(嘘つき)だと思う。なぜなら、我々はエンジンを載せ換えることによって“真の省電力”を実現したからだ」と語る。
さらに、サーバーやノートPC向けに利用されているHi-c CAP(Highly-conductive polymerized Capacitor)の搭載、Active Phase Switchingの搭載、North Bridgeとメモリへの2チャンネル電源供給などを行なうことで、より深い省電力化を実現。オプションで電源の監視を行なう「Green Power Genie」なども提供する。D-PAK搭載のP35と比較して、ハイエンドのDiamondでは電源効率が最大13%向上して96%になり、電力消費を21W抑えるという。
このほか、低騒音については、お馴染みのヒートパイプを5方向に伸ばす「Circu-Pipe 2」やHi-c CAP搭載により大型のCPUクーラーが搭載可能になった。またパフォーマンスの向上については、BIOSレベルでのオーバークロック機能の詳細化や、ジャンパーによるOC機能「OC Jumper」を復活させた。OC Jumperにより、PCI ExpressのFSBを固定してオーバークロックを安定させることができる。
GreenPowerの特徴 | DrMOSにより低発熱で高効率に |
Active Phase SwitchをLEDで表示 | OC Jumper |
●EFI BIOSの展開が本格化
これまでにも、EFI BIOSを搭載したマザーボードが同社より発売されているが、それが本格化される。
EFI BIOSはグラフィカルなメニューやマウス操作、OSに依存しないアプリケーション、LAN、多言語などをサポートするBIOS。名称は「Click BIOS」と正式に決定された。今回発表されたマザーボードは既存のBIOSを搭載するが、2008年の第3四半期にClick BIOSへのアップグレードが提供される。
Click BIOSでは、通常のBIOSで提供されるセッティング機能のほか、オーバークロック設定やゲーム、バックアップ機能などが提供される。
チャン氏は、EFIについても「搭載するとしても、EFIのチームがあるASUSは6カ月掛かり、Gigabyteは無理だろう」と語り、同社の先進性を強調した。既存のBIOSはアセンブリだが、EFIはC++であるため技術者のいないGigabyteには難しいというのがその理由だ。
Click BIOSのメニュー | マウスで操作可能なClick BIOS。 |
●そのほか
同社では8月に投入予定のマザーボードのサンプルを公開。DDR2とDDR3のスロットを4本ずつ備え、DrMOSへのヒートパイプが省かれている。価格は「この仕様としてはリーズナブル」になるという。
前述のマザーボードでもヒートパイプの省略は可能だが、見た目の特徴など、マーケティング上の理由から省かれていない。
また、Hybrid Freezerと名付けられた冷却機構を備えたビデオカード「N9600 GT」を5月末に限定販売する。価格は32,000円前後となる見込み。
GPUはGeForce 9800GTで、DDR3 1GBを搭載する。冷却機構はパッシブクーラーにファンを組み合わせ、高負荷時にのみファンを動作させることで低騒音を実現する。限定生産の理由は部品選別が難しいため。同社の技術力アピールを目的に発売する。
マザーボードのサンプル | P45 Platinumとの比較 |
Hybrid Freezerを搭載したN9600 GT |
□エムエスアイコンピュータージャパンのホームページ
http://www.msi-computer.co.jp/
□MSIのホームページ(英文)
http://global.msi.com.tw/
□ニュースリリース(英文)
http://global.msi.com.tw/index.php?func=newsdesc&news_no=604
(2008年5月19日)
[Reported by matuyama@impress.co.jp]