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先端技術館@TEPIAがリニューアルして11日より一般公開
~生活に密着した先端技術の原理から応用製品までを広く展示

先端技術館@TEPIA

4月11日 開館



 財団法人機械産業記念事業財団は、東京都港区の施設「TEPIAプラザ」の展示内容などをリニューアルし、「先端技術館@TEPI」として4月11日より一般公開を開始する。これに先立ち10日に、報道機関向けに内覧会が開催された。

 TEPIAプラザではこれまで、'89年より毎年テーマを定めて機械・情報産業を中心とする展示を行なってきた。今回からこの展示手法/内容を改め、先端技術の主要分野を選定し、その最新製品やサービスなどを常設的に展示する。また、これまで日曜日だった休館日を月曜に変更するとともに、年間を通した展示を行なう。

 場所は、東京都港区北青山2-8-44。入場料は無料。開館時間は平日が午前10時~午後6時、土・日・祝日が午前10時~午後5時。月曜日が祝日の場合は、翌日が休館日となる。

財団法人機械産業記念事業財団会長の福川伸次氏

 対象とする来場者は社会人だが、同財団会長の福川伸次氏は「理科離れが進む青少年の関心も高めたい」と語る。そのため、ただ個々の技術を展示するのではなく、技術の原理を解説した上で、それを応用した各社の最新製品を展示することで、体系的に学習できるよう配慮した。

 また、展示される製品のメーカーに働きかけ、展示品の3割以上をその場で触って、体感できるようにした。なお、展示物は年間を通して固定されるが、更新されたものは適宜変更していくほか、現在3つある原理モデルの展示は2年後を目処に10個程度にまで増やしていくという。また、夏休みは子供向けのワークショップを毎週開催していく予定。

 展示内容は、「くらしとコミュニケーション」、「健康と医療」、「都市とモビリティ」、「環境とエネルギー・資源」、「マテリアルとデバイス」の5つの分野に分かれている。このほか、ワークショップやミニイベントを行なう多目的ルーム、日本が世界に誇るものづくりなど話題の技術を展示するトピックス展示なども用意されている。

 くらしとコミュニケーションでは、薄型ディスプレイ、生活支援ロボット、ユビキタス、RFIDについて展示。情報通信技術の高速大容量化、機器の高密度化で、コミュニケーションがもっと簡単になり、毎日の暮らしが、より豊かで、安全・安心なものになっていくことを紹介。

メインの展示スペース

 健康と医療では、「ヘルスケア」「先端的医療機器」について展示。医療技術や病気に関する研究が大きく進み、事前に病気を予防すること、家庭でのケアやサポート、早期診断が当たり前になってきていること、治療の高度化により、身体への負担が少なく、より効果的な治療が可能な技術を紹介。

 都市とモビリティでは、「耐震・免震・制震」、「モビリティ」について展示。これまで都市を支えてきたインフラが転換期に来ており、地震等の災害に強い技術や、交通安全、安全走行の快適なモビリティを追求する技術を紹介。

 環境とエネルギー・資源では、自然エネルギーと環境、バイオマス燃料とバイオマスプラスチック、燃料電池について展示。環境・エネルギー・資源の分野が抱える課題を根本的に解決するために進められている技術を紹介。

 マテリアルとデバイスでは、ナノテクノロジーと高機能素材、デバイスについて展示。ナノテクノロジーによってい、これまでになかった機能や性能を生み出し、物理的に優れた素材への活用が期待される技術や、超高密度化が進むデバイスの世界、超小型・高性能な高い付加価値を持った製品の開発を指させる技術を紹介する。

 「ナノテクノロジー」といった言葉を聞くと、それだけで普段の生活とは無縁な世界と思う人もいるかもしれないが、会場には例えばナノテクノロジーを活用した歯磨き粉など、先端技術を利用した身近な製品が多数あり、先端技術が普段の生活にも深く関わっていることを窺い知ることができる。

 展示物にはロボット系のものが多くあるが、それらについてはロボットWatchで別途レポートするので、ここではそれ以外のものを紹介する。

視野角が広い「フルHD IPS αパネル」を採用する日立製作所の「Wooo UTシリーズ」。最薄部で35mmという薄さも大きな特徴 自発光する有機ELによるTVを世界で初めて製品化したソニーの「XEL-1」 液晶の原理モデル。左のパネルを拡大鏡で覗くと画像が小さな画素の集まりであることが分かる。右にあるのは、各画素とバックライトの仕組みを学ぶ機器と、および偏光板でバックライトの制御を学ぶ機器。ここに限らず、会場内には技術の仕組みを紹介するポップや説明員が配置されている
電源を使わずに静止画を半永久的に表示可能な富士通のカラー電子ペーパー「PLEPia」。12型で厚さは12mm、重量は560g 世界に先駆けてNTTが実用化した曲がる光ファイバーコード。配線工事の扱いやすさが格段に上がり、家庭への普及にも貢献している 携帯電話の着信を知らせるシチズン腕時計のBluetooth対応腕時計「アイバートM」。着信すると、発信者名を表示したり、メールを受信するとアイコンと振動で通知したりする。ソフトバンクの一部端末で利用できる
日立製作所の超小型無線自動認識ICチップ「ミューチップ」。極小のため、IDカードや光学メディアなどにも埋め込むことが可能。IDの書き換えが不可能なため、それらの改ざんが困難となる ソニーの非接触ICカード技術「FeliCa」を採用した製品 FeliCaの構造を紹介する展示
トッパン・フォームズによるICPOS決済のデモ。商品に小型のICタグが埋め込まれており、POSでそれを読み取って決済する。個々の商品に異なるIDを割り当てられるので、バーコードと違って賞味期限などの情報も持たせられる 日本インフォメーションシステムの2.45GHz帯/UHF帯メタルマウントICタグ。これまでICタグを金属の製品につけることは難しいとされていたが、それを克服した。また、水中でも読み取れる ニッタの光ファイバ触覚センサ「KINOTEX」。ウレタンなどのフォーム内に照射された光の散乱状態が、その表面に加えられる力の大きさに依存する特性を利用した、柔軟性と感度に優れた多点圧力センサ。ベッドのマットレスやいすの座面などに組み込める
ニッタの三次元力ベクトル分布触覚センサ「GelForce」。センサに加わった力の大きさに加え、向きを分布として検出できる。新しいタイプの入力デバイスなどへの利用を狙う アールエフの次世代カプセル内視鏡「Sayaka」(左)とその拡大模型(右)。カプセル内は二重構造で、内部のカメラ部分が360度回転するようになっており、約8時間かけて、消化管全体で87万枚の画像を取得する。バッテリレスで動作し、被験者が着用したジャケットに内蔵された電磁コイルを介し、電力や画像の送受信を行なう。画像をつなぎ合わせることで、パイプ状の消化管をハサミで切り開いたような体内マップを生成する
ジョイ・ワールド・パシフィックの食品カロリー測定装置「カロリーアンサー」。中に食品を入れてボタンを押すだけでカロリーを測定できる。現時点での価格は300万円程度だが、担当者によれば2年後には1/10程度の価格にまで引き下げたいという タニタの体組成計・インナースキャン50。本体の厚さが15mmという世界最薄を実現したモデルなど。体脂肪率に加え、筋肉量、内臓脂肪レベル、基礎代謝量、推定骨量、体水分率まで計れる オムロンの携帯型心電計「HCG-801」。体に30秒間あてることで、自分で心電図波形を記録できる
JETシステムズの緊急地震速報サービス「MJ@lert(エム・ジェイ・アラート)」。地震発生時に、気象庁が各地に埋設した専用地震計により、震源に近い観測地点で得られた地震波の情報を元に、震源/地震の規模/各地の震度を予測し、通知する 清水建設の「免震テーブル」。シンプルな構成で、厚さは10cmながら、地震力を1/8から1/10以下に低減する。写真のテーブルを強く揺らしてみても、置いてあるものは微動だにしない。美術館の展示ケース、寺院の仏像などの設備向け 積水ハウスの地震動エネルギー吸収システム「シーカス」。特殊なダンパーにより建物の揺れにブレーキをかけ、地震の震動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収する
フォーラムエイトの「UC-win/Roadドライブ・シミュレータ」。車輌システム開発やITS交通システム研究、ドライバー/車/道路/交通との相互作用研究などに適用されている 松下電器産業とパナソニックオートモーティブシステムズ社の「ITS車載器」。道路上における安全運転支援/道路情報提供サービス、プローブ情報収集などを行なう。ETCと同様の双方向無線通信技術を採用する デンソーの「ナイトビューヘッドアップディスプレイ」。車に取り付けたランプから照射した近赤外線光の反射をカメラで捉え、その画像を車のフロントガラスに投影するヘッドアップディスプレイ。光が届かない遠方の障害物も視認できる
スズキのコンセプトカー「PIXY」。歩道でも、屋内でも、人との共存を可能にする人に優しいモビリティをコンセプトにした、1人乗りの低速移動ツール シャープの「薄膜シースルー太陽電池」。太陽電池の全面に細かいスリットを設けることで光を透過できる。例えば、光を透過しない太陽電池を天窓につけると、それによって暗くなったところを照明で照らす必要があるが、この製品ではその必要がない 気圧の変化によって温度が変化するのを体験する原理モデル。空気入れでペットボトルに空気を入れて圧力を入れると内部の温度が上昇する
旭硝子の高遮熱断熱Low-Eペヤグラス「サンバランス」の性能を体験するデモ。ガラスの向こう側の温度を上げると、普通のガラスは熱を通して暖まるが、このエコガラスは2枚のガラスの間に6mmほどの中空層を設けることで、放射熱の移動を低減し、ガラスの温度が変わらない。断熱以外にも、カビや腐食の原因となる結露の発生も抑えられる セベックの食用廃油再製燃料化装置「EOSYS-50」による、再処理の過程を示したもの。100Lの食用廃油を6時間でディーゼル燃料化できる サンギの「ハイドロキシアパタイト触媒」。この新しい触媒により、今まで石油で作っていた樹脂/溶剤の原料となるブタノールや、合成ゴムの原料となるブタジエン、ガソリン代替燃料などを、バイオエタノールkら容易に合成できる
東京農業大学の「生ゴミを可溶化して高速メタン発酵させるシステム」の成果。グラニュールという特殊の粒状の細菌を使って、短い処理時間で残渣の発生量が少ない 富士通の植物性プラスチックを使った「FMV-BIBLO NX95Y/D」。トウモロコシを原料とするポリ乳酸をベースに、難燃化、ポリマーアロイ化技術を開発し、2005年からノートPCの筐体に適用している
独立行政法人産業技術総合研究所の「発光する有機ナノチューブ」。天然由来の再生可能資源から合成された両親媒性分子を原料にしたナノチューブ。管壁中に蛍光分子を埋め込んでおり、紫外線をあてると発光するため、生体内での観察が容易 産業技術総合研究所の「ナノピン膜による超撥水表面」に水滴を垂らした動画。約6nmのナノピン構造制御を行ない、真の接触角が75度程度の親水性分子を用いても178度の超撥水膜を実現した。これにより、水滴が球体状のまま、表面を滑り落ちる
サンギの歯磨き粉「ナノテク・アパガードR」。ナノ粒子レベルで歯とほぼ同じ成分の薬用ハイドロキシアパタイトがエナメル質に浸透し、ミクロの傷や欠損部を修復するとともに、歯を虫歯から守る 東レの「宇宙船内被服」。ナノスケール加工技術により、単繊維の1本1本に機能樹脂を付着させることで、吸汗速乾、防汚、静電、難燃、保温、保湿、軽量、動きやすさなどの機能を兼ね備えた 帝人の「バイオフロントTM」。バイオ由来度100%の耐熱性ポリ乳酸、バイオフロントR繊維から作った自動車用シートファブリック。耐久性も高い
東レの「衝撃吸収プラスチック」。衝突時などの速く強い衝撃などの外力を与えるとゴムのように変形し、衝撃を吸収する特性を持つナノアロイプラスチック。踏むと左の写真のようにへこむが、元に戻せる。車のバンパーやテニスのガットなどの応用を見込む TDKのHDD用「PMR-TMRヘッド」。垂直磁気記録方式ライターと、トンネル磁気抵抗効果リーダを組み合わせ、250Gbpsの記録密度を達成した
日立マクセルの「ホログラムディスク」。データを深さ方向にも記録する3次元記録、2次元データビット行列を記録するページデータ記録、同一箇所に複数の異なる記録を行なう多重記録の技術を用い、5インチで300GBの容量を実現した記録メディア スズキの燃料電池を使ったコンセプトカー「IONIS(イオニス)」 大日本印刷の「飛び出す電子絵本」。Webカメラで絵本上のマーカーを読み取り、ディスプレイに3次元CGおリアルタイムで合成して表示する

□機械産業記念事業財団のホームページ
http://www.tepia.jp/
□ニュースリリース
http://www.tepia.jp/exhibition/index.html

(2008年4月11日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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