シャープ、赤色/青紫色半導体レーザー事業を解説
3月21日 実施
シャープ株式会社は21日、同社が取り組んでいる赤色/青紫色半導体レーザーの事業についての説明会を都内で開催。説明会では、同社 電子部品事業本部 化合物半導体システム事業部 副事業部長 種谷元隆氏が説明を行なった。 冒頭で種谷氏は化合物半導体について説明し、「化合物半導体とは、2つ以上の元素から構成される材料を用いたもので、主にLEDや半導体レーザーなどの発光デバイスに多く用いられる。我が事業部ではこれを利用したホログラムレーザーや半導体レーザー、光ピックアップ、LEDランプなどの事業を中心に展開している」と説明した。 次に、現在光ディスク用の半導体レーザーの市場規模について、「2008年通期で、赤色高出力が2億7,000万個、青紫色低出力が2,200万個、青紫色高出力が220万個の出荷を見込んでいる。しかし今後はBDレコーダ市場の拡大により、2010年には赤色高出力が3億個、青紫色低出力が1億個に増えるという予測をしている」とした。 また、PC用光ディスクドライブの市場については、「2009年には、ノートPC向けのスリムタイプがデスクトップPC向けのハーフハイトタイプを超える出荷台数になると見込んでいる。このため、それに用いるレーザーユニットも小型化する必要がある」と述べた。
以上の“青紫色/赤色高出力レーザーへの需要”と、“小型化の需要”を踏まえて、シャープは赤色半導体レーザー「GH16P40A8C」と、青紫色高出力半導体レーザー「GH04P25A4G」の両製品を発表するに至り、2008年4月より出荷開始するとした。
●GH16P40A8C GH16P40A8Cは、厚さ1.8mmのスリムフレームパッケージで業界最高の400mWの出力を実現した、赤色高出力半導体レーザー。2層メディアと、20倍速の記録速度に対応するとしており、同社は「赤色半導体レーザーの最終形態」と位置づけている。 GH16P40A8Cの発光部はわずか0.2×0.1μmしかない。通常これだけ小さい半導体で高出力のレーザーを作ると、レーザーにより自己破壊してしまうが、同社のノウハウにより自己破壊を防げたという。また、共振器長も長い方がパワーを得られやすいが、ウェハから取れる数が少なくなりコスト高となるので、従来製品と同等の0.2mmにした。 これらの工夫により、1.8mm厚の業界最薄を実現し、MTTF(平均寿命)10,000時間以上を達成。スリムドライブのみならず、ハーフハイトにも利用可能なピックアップの設計が可能になった。
●GH04P25A4G
GH04P25A4Gは、業界最小の直径3.3mmのパッケージで業界最高水準の250mWの出力を実現した、青紫色高出力半導体レーザー。2層メディアと、4~6倍速の記録に対応する。6倍速で記録した場合、従来25GBを記録するのに約45分かかっていた時間(4倍速)を、約30分に短縮できるという。 直径3.3mmで250mWの高出力を実現するにあたり、端面形成技術の改善および最適化を行なうことで対応した。また、結晶成長技術を最適化することにより、低消費電力も実現したという。 最後に種谷氏は、「2008年末にはBlu-ray Discの8倍速化が進むが、300mWクラスの出力が必要になるので、端面形成技術の改良を進めなければならない。また、2009年以降は高速化ではなく多層化していき、400mWクラスへの需要が出てくるので対応していきたい」とした。
質疑応答では、青紫色レーザーのスリムパッケージ化の予定についての質問がなされ、種谷氏は、「青紫色レーザーではある一定の気密が必要なので、現時点では直径3.3mmが最小。スリムパッケージはやや非現実的」とした。 □シャープのホームページ (2008年3月21日) [Reported by ryu@impress.co.jp]
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