CeBIT 2008現地レポート【MSI/Foxconn編】 MSI、チップセットの排熱を利用してファンを動かす「Air Power Cooler」
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MSIブースに展示されていた「Air Power Cooler」搭載機 |
会期: 3月4日~9日(現地時間)
会場: 独ハノーバー市ハノーバーメッセ(Hannover Messe)
Micro-Star International(MSI)は、「Air Power Cooler」と呼ばれる、発熱を利用したチップセット冷却機構を発表した。
このAir Power CoolerはMSIがPolo-Techと共同開発したもので、「スターリングエンジン」の仕組みを利用している。スターリングエンジンは、気体に熱を与えることで膨張させ、それによってピストンなどを動かし、動力に変える。その仕組みは、海上自衛隊の潜水艦にも採用されている。
Air Power Cooler部 | 台座部の中の空気が熱せられると膨張してピストンを動かし、それが羽を回す |
Air Power Coolerはそこまで大がかりなものではないが、チップセットから発せられる熱の70%を動力に変換できるといい、その仕組みだけでなく、省電力/エコの観点からも注目が集まる。
ブースに展示されていたデモ機は、まだセッティング中だったためファンは動作していなかったが、チップセットの温度が摂氏60度以上になるとファンが自動的に回転を始め、温度に応じてその回転速度が変化し、60度以下になると回転を止めるという。
展示されていたのはデモ用のもので、Air Power Coolerが実際にどの製品にいつ頃から搭載されるのかは不明だが、当然チップセット以外にも応用の利くものであり、今後の展開が楽しみな技術と言えるだろう。
Ultra ATXを謳う「F1」 |
もう1つマザーボードに関連して目立っていたのが、Foxconnが参考展示していた「F1」と呼ばれるプロトタイプだ。
最大の特徴は10基ある拡張スロット。チップセットにはCeBIT 2008で事実上の解禁となったIntel P45 Expressが用いられている。このチップセットはPCI Express x16(x8接続)を2スロットまでしかサポートしていないが、別途ブリッジチップを載せることで、PCI Express x16×4、PCI Express x1×4、PCI×2という豪華な構成を実現している。
同社ではこのマザーボードを「Ultra ATXフォームファクタ」と称しているが、このマザーボードを収納できる一般的なケースはないため、会場には日本のアニメに登場するロボットのような外観の巨大な自作ケースを用意して、実動デモを行なっている。
チップセットからはヒートパイプのような管が伸びているが、これは液冷用で、タンクなどにつなげる口の部分がI/Oパネルの部分から伸びているのも型破りな設計だ。さらにボード上をよく見てみると、ATX電源コネクタが2カ所にあり、多数のビデオカードなどを接続しても大丈夫なよう2個の電源ユニットを接続できるようになっている。
デモ機にはこのマザーボードに4枚のRadeon HD 3850を接続し、CrossFire Xによるデモを行なっていた。これらのビデオカードも液冷の冷却機構を載せており、ケースの外からはぱっと見、チューブしか見えないほどごつい作りだ。ただし、CrossFire Xといっても、内部ケーブルはつながれているが、設定はOFFになっており、代わりに8台のディスプレイをつないで、8画面のデモを実施していた。
すでに製品レベルになっているのだが、このF1はコンセプトモデルとして作ったものであり、基本的にはこのまま製品化する予定はない。今回、来場者の反応がよければ、「F2」、「F3」とリビジョンアップを重ね、夏頃に製品化していく見込みという。
F1を収めたロボット風オリジナルケース。写真では普通のタワー型程度に見えるが、かなりでかい | ほとんどの冷却機構を液冷化しており、ぱっと身はチューブしか見えないが、4枚のRadeonをCrossFire Xでつないでいる |
1枚のビデオカードに2台のディスプレイを接続し、8台によるマルチモニタを実演 | オーバークロック用に、クロックや電圧など各種データを表示させる5インチベイ用モニタも付属 |
□CeBITのホームページ(英文)
http://www.cebit.de/
(2008年3月5日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]