AMD、デスクトップ向けネイティブクアッドコア「Phenom」を正式発表
|
Phenom 9600 |
11月19日(現地時間)発売
米AMDは19日(現地時間)、デスクトップ向けクアッドコアCPU「Phenom 9600」および「同9500」を発表した。米国でのOEM向け価格はそれぞれ283ドル、251ドル。
9月に発表されたサーバー/ワークステーション向けのクアッドコアOpteron(コードネーム:Barcelona)をベースに、デスクトップ向けのAM2+パッケージにした製品。プロセスルールは65nm。
1つのダイに4基のCPUコアを内蔵し、各コアが独立した512KBのL2キャッシュを搭載。また、全てのコアが共有できるL3キャッシュを2MB搭載する。このほか、FPU演算パスの128bit化、分岐予測の改善などの機能強化を図っており、同クラスのデュアルコアプロセッサに対し3割以上の性能向上を実現したとしている。
インターコネクトはHyperTransport 2.0から3.0になり、I/Oバンド幅が最大で従来の8GB/secから16GB/secに強化。メモリも新たにDDR2-1066に対応した。なお、DDR2-1066は近い将来JEDECでの規格認証後に出荷される予定の規格準拠品に対応する。
Phenomのロゴ | ダイ写真。1つのダイに4個を内蔵させたネイティブなクアッドコア | 独立のL2キャッシュ512KB×4に加え、共有L3キャッシュ2MBを搭載。HyperTransportは3.0になった |
電力周りも改善され、各コアを負荷に応じて異なるクロックで動作させる「Independent Dynamic Core技術」、CPUコアとメモリコントローラの電圧を個別に制御する「Dual Dynamic Power Management」、プロセッサ内の未使用部分を動的にON/OFFする「CoolCore技術」、複数箇所での温度監視などを盛り込んだ。同社ではこれらを総称して「Cool'n'Quiet 2.0技術」と呼んでいる。
CPUソケットは従来のSocket AM2と同じで、BIOSのアップデートにより既存のマザーボードでも利用できるが、HyperTransport 3.0やDDR2-1066などPhenomで追加された一部の新機能は利用できない。
Phenom 9600はコアクロック2.3GHzで、9500は2.2GHz。それ以外の仕様は共通で、TDPは95Wとなる。また、第4四半期中に倍率固定を解除した2.3GHz動作のBlack Edition、2008年第1四半期には2.4GHz動作のPhenom 9700(300ドル以下)、2.6GHz動作の同9900(350ドル以下)が発売されるほか、トリプルコアのPhenom 8000シリーズ、デュアルコアのAthlon 6000シリーズも予定されている。
PhenomはAM2+パッケージを採用。AM2プラットフォームにも挿せるが、その場合機能はAM2のものに限定される。DDR3対応のAM3プラットフォームも予定されている | Phenom 9600と9500の概要 | コアごとにクロックを個別に調整できる |
CPUに併せて、AM2+に完全対応した新チップセット「AMD 7シリーズ」も発表された。ラインナップは、AMD 790FX/AMD 790X/AMD 770の3モデルで、いずれもAM2+に対応する。組み合わされるサウスブリッジはSB600。
AMD 7シリーズのロゴ | AMD 790FXのブロックダイヤグラム |
AMDではこれら新CPU、チップセット、GPU(Radeon HD 3800シリーズ)をまとめて「Spiderプラットフォーム」と総称している。
シリーズ共通の特徴として、HyperTransport 3.0およびPCI Express 2.0に対応するほか、純正のオーバークロックユーティリティ「OverDrive」が付属する。OverDriveは、CPU、メモリ、チップセット、GPUなどを一元的に監視したり、オーバークロック関連のチューニングを行なうユーティリティ。
各種電圧やクロックなどを事細かに設定できるが、各項目の最適値を検出して自動的に設定する自動モードも用意されている。
プロセスルールは65nmで、省電力性にも配慮されており、チップセットの消費電力は10W以下に抑えられている。
3モデルの大きな違いはビデオカード用の拡張スロットの数で、790FXはPCI Express 2.0 x16を4本(16レーン×2か8レーン×4で接続)、790Xは2本、770は1本を装備。790FXは3枚以上のビデオカードを並列動作させる「CrossFireX」に対応する。790XはRadeon HD 3870 X2を2枚で4GPUを実現できる。
マザーボードの価格帯は、790FX搭載品が150~250ドル程度、790X搭載製品が99~150ドル程度、770が70~100ドル程度となる見込み。
なお、2008年2月にはDirectX 10/UVD対応のビデオ機能を内蔵した「AMD 780G」が、5月にはそのモバイル版が予定されている。
□AMDのホームページ(英文)
http://www.amd.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.amd.com/us-en/Corporate/VirtualPressRoom/0,,51_104_543~122053,00.html
□ニュースリリース(和文)
http://www.amd.com/jp-ja/Corporate/VirtualPressRoom/0,,51_104_543~122478,00.html
□製品情報(英文)
http://www.amd.com/us-en/Processors/ProductInformation/0,,30_118_15331,00.html
□関連記事
【9月11日】AMD、クアッドコアOpteron発表会
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0911/amd2.htm
【5月14日】AMD、デスクトップ向けCPUブランドを刷新
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0514/amd2.htm
(2007年11月19日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]