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サン、コンテナ型のデータセンター
「Project Blackbox」を国内初公開

Project Blackbox

11月12日 公開



 サン・マイクロシステムズ株式会社は12日、コンテナ型のデータセンター「Project Blackbox」(コードネーム、以下Blackbox)を初めて国内で公開した。

 Blackboxは2006年10月にコンセプトを発表した、世界初のコンテナ型データセンターで、ISO標準の20フィート輸送用コンテナ(8×20×8.5フィート、約2.5×6.1×2.6m(幅×奥行き×高さ))に、電源配給システムや水冷却システム、19インチラック×8を内蔵した。

 最大の特徴は、汎用コンテナを採用することで、従来のデータセンターの設計から建築、設計までの工期に比べて約10分の1の工期で実装可能な点。コンテナ外装に電源入力と冷却水接続用口、ネットワークポートを持っており、外部からの電源/冷却水供給およびネットワークを接続すれば稼働する。

左右に4ラックずつ配置し、コンテナの奥行きに対して平行に配置することでエアフローを生み出す。ラック間には大型のラジエータを設置し空気を冷却

 内部に分電盤と水冷却用ラジエータやファン、エアフィルタを装備しており、サーバーの排熱はすべて水冷で冷却する。前方にエアテイクイン、後方に排気機構を持つ19インチ対応ラックマウントサーバーであればメーカーを問わず装着でき、アーキテクチャが異なるサーバーの混載も可能。

 冷却効率は一般的なデータセンターの150W/平方フィートと比較して、1,250W/平方フィートを実現。また、一般的なデータセンターと比較して、5年間で2.4GW(ギガワット)/24万ドルの冷却コスト、および1,459トンの二酸化炭素放出を削減できるという。ラックあたりの許容電力も一般的な6kWと比較して25kWを達成し、高性能なラックマウントサーバーを装着できるスケーラビリティも持っている。

 高密度の集約により、1台のBlackboxに「Sun SPARC Enterprise T2000」サーバーなら140台、「Sun Fire T5210」なら280台実装可能。T5210実装時は2,240コアで17,920スレッドを同時実行できる。最高性能はスーパーコンピュータランキングTOP500にランクインできる4.5TFLOPSを実現できるとしている。

 このほか、ラック底部は耐ショックマウントで固定されており、垂直方向で9Gの負荷に耐えうる構造になっている。これにより、通常のコンテナと同様の運搬方法(空輸、海運、鉄道など)が可能としている。

 想定する顧客は大都市にデータセンターを低コストかつ迅速に展開したい大企業や、シンクライアントと組み合わせた可動式のデスクトップ環境の配備などを利用したいユーザー向けだとしている。

 なお、Blackboxは現時点では製品化はされておらず、早期導入で検証している企業がいる。2008年初頭には製品化し、改めて発表する予定。予価は1億円弱としている。

外部の電源入力ポート 冷却水用接続口。上に見えるのはネットワークを接続するためのポート 反対側にも同じく電源/冷却水口/ネットワークポートを設けており、この日は外部電源と冷却水装置が接続された
コンテナの入り口にある配電盤 入り口付近に見えるエアフィルタ コンテナ内部は1本の通路になっている。ラックマウントが出っ張っているのは写真撮影用のため
一部は透明だったが、サーバーがコンテナの奥行きに対して平行に並んでいるため何を装着しているのかがわからない このようにさまざまなサーバーを混載可能。左右に4ラックずつ縦方向に並び、ラック間に水冷による熱交換機が配される 水冷管理装置と思わしきもの ラック背面には超大型のラジエータが設けられていることがわかる

●環境にも配慮したデータセンター

 同日に開かれた記者説明会の冒頭では、同社代表取締役社長 末次朝彦氏が挨拶。同氏は、「現在世界の人口は約60億人だが、コンピュータを利用しているのはこのうちの約15億人だけとされている。将来的に60億人すべてにコンピュータを利用してもらいたいが、このとき問題となるのはそれがもたらす莫大な消費電力である」と指摘した。

 その解決策として、高性能なデータセンターでデスクトップ環境をすべて仮想化して統合し、低性能のシンクライアントでもユーザー各々のデスクトップ環境を再現するようにすれば、消費電力の削減に繋がるとし「我々は低消費電力のサーバーを投入するなど、これらのニーズに応えてきた」とした。

 一方、これらのサーバーを収納するデータセンター自体も現在、消費電力の増大や設置スペースの増大、初期投資やランニングコストに関わる問題を多く抱えており、「Blackboxはこれらを打開する製品である」と強調した。

 また、できるだけ少ないスペースで高性能を実現したいというニーズに応えるだけでなく、データセンター増築に対する投資を減らす効果があることについてもアピールした。

代表取締役社長 末次朝彦氏 これまでも環境に配慮した製品をリリースしてきたとアピール 従来製品と比較して低ランニングコストで設置可能

□サン・マイクロシステムズのホームページ
http://jp.sun.com/
□製品情報
http://jp.sun.com/blackbox/
□関連記事
【2006年10月18日】米Sun、“コンテナ”入りのポータブル・データセンターを発表(ENTERPRISE)
http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/foreign/2006/10/18/8869.html

(2007年11月12日)

[Reported by ryu@impress.co.jp]

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