NVIDIAのディビッド・カーク氏が東大で講演
9月11日 開催 米NVIDIAのChief Scientistであるディビッド・カーク氏が11日、東京大学本郷キャンパスで「CUDA and Tesla Computing」と題した講演を行なった。 参加者の多くはCGなどの分野に携わる学生で、「GeForceの父」として知られるカーク氏による講演と言うことで、定員約200人の会場は完全に満席状態となった。 今回の講演は、東京大学大学院 新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 西田友是教授の呼びかけにカーク氏が応じて実現したもの。西田教授は、'70年代から3D CGの研究に取り組んできた先駆者の1人で、SIGGRAPHなどに数多くの論文を提出し、2005年にはこの分野でもっとも権威があるSteven A. Coons賞を受賞している。 現在、西田氏の研究室では、主に自然現象の可視化、照明シミュレーション、絵画風画像の表示といったテーマに取り組んでおり、講演に先立って研究室生らが、自らの研究成果をカーク氏に披露した。 いずれもCPUに代わってGPUを用いて計算することで処理能力を引き上げており、高度な出力を実現していたが、中でもカーク氏は、リアルタイムな「音」のレンダリングや、事前処理とリアルタイム処理を組み合わせることで実用的な精度と性能を実現した人の眼の被写界深度と凸面レンズのシミュレーションといったアイデアを高く評価していた。
講演のテーマである「CUDA」と「Tesla」は、後者がG80 GPUをベースにしたHPC(High Performance Computing)向けアクセラレータで、前者がその汎用プログラミングモデル。カーク氏はまずTesla(G80)のアーキテクチャを紹介し、GPUを用いて大規模な並列計算処理を行なう手法について丁寧に解説した。 手法といっても、コーディングについてではなく、CUDAプログラミングにおけるスレッドの取り扱いの方法や概念について焦点が当てられた。というのも、カーク氏はイリノイ大学でパラレルコンピューティングについて講師として教壇に立っており、パラレルコンピューティングでは、コーディングよりも前にその概念についてしっかり理解することがもっとも大事だと考えているからだ。 講演終了後は、参加者が自由にカーク氏に質問する時間が設けられ、多くの参加者が積極的に質問をぶつけていた。
□NVIDIAのホームページ(英文) (2007年9月12日) [Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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