マイクロソフト、技術者向けカンファレンス「Tech・Ed 2007」開催
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「Tech・Ed 2007 Yokohama」 |
会期:8月21日~24日
会場:パシフィコ横浜
会費:36,000円~
マイクロソフト株式会社は、IT技術者向けカンファレンス「Tech・Ed 2007 Yokohama」をパシフィコ横浜で開催した。会期は8月21日~24日の4日間。参加料は36,000円から。
Tech・EdはITプロフェショナルおよびシステム開発者を対象としたカンファレンス。13回目となる2007年は、今後発売が予定されている「Windows Server 2008」、「SQL Server 2008」、および「Visual Studio 2008」の3製品を中心に、製品の紹介やデモなどが行なわれた。
1日目の基調講演では、同社代表取締役 社長 ダレン・ヒューストン氏が挨拶。同氏はまず、同社が展開している日本市場向け戦略「Plan-J」の進捗について振り返り、「日本国内の質の高いユーザーの声を製品に反映することに成功し、品質の高い製品を世界に向けて発信することができた」とアピール。加えて、Plan-Jによるパートナーシップ拡大の成功についても再度強調した。
ダレン・ヒューストン氏 | Plan-Jの主な取り組み |
一方、現在日本社会が抱える問題として、「デジタルワークスタイルが欧米諸国と比較して3年ほど遅れている」と指摘。日本企業は、旧ITソリューションのメンテナンスよりも、新ITソリューション導入の方がコストがかかるという認識がある。そのため、企業の生産性の問題が多く発生する。
ヒューストン氏は、「これらの深刻な問題解決は、ITプロフェショナル、システム開発者にとって大きなプレッシャーであるが、逆に大きなチャンスでもある。2008年にかけて、我々のWindows ServerやSQL、Visual Studioの新製品の投入によって、新たなビジネスチャンスが生まれる。オープンスタンダードをベースとした展開で、これからの日本のデジタルワークスタイルに大きな変革をもたらしたい」と話した。
また、今後はソフトウェアとサービスの融合が業界のトレンドになることを指摘し、新製品群によって新しいニーズに対応したプラットフォームを提供できることをアピール。「新製品群を利用することで、開発者の戦略性を高められる。さらに、我々が用意する豊富なサポートで開発者を支持し、ともに日本のワークスタイル改善に向けた取り組んでいきたい」と語った。
ソフトウェアとサービスの融合。「Windows Updateがその一例」とヒューストン氏 | マイクロソフトが提供する製品群による開発支援 |
●CPUとメモリをホットスワップするデモ
続いて、米Microsoft本社 Windows Server プログラム マネジメント ディレクターのイアン マクドナルド氏が登壇し、新製品についてデモした。
社長講演後はビデオが上映。Windows Server 2008のベータのDVDをどう配ろうかと会議するところから始まり、フェーズ1はバイクそして飛行機でDVDを雨のように散らばりまくるところから、フェーズ2はダウンロード開始、そしてフェーズ3は……とマクドナルド氏がバイクに乗って日本に持ってきたという設定 |
最初は仮想化に関するデモ。Windows Server 2008の仮想化技術は、仮想ハードウェアを作り出すのではなく、ハイパーバイザを利用する。薄いレイヤーを採用することにより、性能オーバーヘッドが少ないのが特徴。デモでは、Windows Server 2003 x64とWindows 2000、SUSE Linuxの3つのOSを同時に動かしていた。
続いて登場したのは、Itanium 2を搭載したNECのエンタープライズ向けハイエンドサーバー「NX7700」。同サーバーはミッションクリティカル用途向けのサーバーで、Itanium 2を4基(8コア)、メモリを8GB搭載する“セル”を1つの筐体に複数個収納できる。セル間は超高速クロスバーで連結されており、稼動しているセルを“パーティション”として取り扱う。
SUSE Linuxを仮想マシン上で動作 | NECのエンタープライズ向けハイエンドサーバー「NX7700」 | 障害が起きたセルを、OSを再起動せずに切り離せる |
切り離している最中、OSが停止した時間はわずか3秒 | こちらは100%負荷をかけて、セルをホットアドするデモ | セルを追加して、タスクマネージャを再起動すれば、24コアが見え、負荷が下がっていることがわかる |
このパーティションの中でCPUやメモリなどに障害が起きた場合、OS起動中でもセルを切り離して交換する「ホットリプレース」が可能。さらに、負荷が高まった場合などに、セルを追加して負荷を下げる「ホットアド」も可能となっており、これはWindows Server 2008開発時にNECと協業して実現した「ダイナミックパーティションニング」機能だという。
このほか、ネットワーク上でシステムを集中管理し、障害の原因をグラフィカルに表示して突き止められる「System Center」、Sliverlightによる簡単なWebアプリケーションの製作、Visual StudioによるOffice 2007への機能追加などのデモも行なわれた。
●3製品のローンチは2008年4月15日
基調講演の後の記者発表会では、Windows Server 2008、およびSQL Server 2008、Visual Studio 2008の3製品のローンチ時期を明らかにした。このうち、Windows Server 2008とVisual Studio 2008のリリースは2007年中で、SQL Server 2008のみが2008年となる。一方、正式なローンチは、2008年4月15日を予定している。
その理由としてヒューストン氏は、「3製品のうち2製品は年内に提供できるが、プラットフォームとして見た場合それは完全ではなく、また、パートナー各社からの製品も提供も遅れる。そのため2008年4月15日には改めて、パートナー各社と一斉にローンチを発表し、日本が抱えるデジタルワークスタイルの遅れの問題を解決していきたい」とした。
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□Tech・Edのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/teched/
(2007年8月21日)
[Reported by ryu@impress.co.jp]