Microsoftが「開発者」向けに開催するイベントで特に規模が大きいのは、ハードウェア開発者(IHV)向けの「WinHEC」、企業のITプロや企業内ソフトウェア開発者をプライマリターゲットとする「TechEd」、ISV向けの「PDC」の3つだ。 このうち毎年開催されるのはWinHECとTechEdの2つで、WinHECは5月に開催されたばかり。6月には日本開催(東京・目黒雅叙園)も予定されている。一方、今年(2007年)のTechEdは6月にフロリダ州オーランドで開催される予定で、8月には横浜でも開催されることになっている。 これに対してPDCは、大規模な開発者イベントとしては最も古い歴史を持つものの、原則的に隔年、奇数年の秋に米国で開催されてきた。2007年の今年はPDC開催年であり、PDC 07が10月2日からカリフォルニア州のロスアンジェルスで開催されると昨年12月に発表されていた。
ところが5月24日、Microsoftは今年開催されることになっていたPDCについて、スケジュールを見直すことを明らかにした。その理由としてMicrosoftは、PDCを「Microsoftプラットフォームの将来にフォーカスした最も重要な開発者向けのイベント」であり、「主要なプラットフォームのマイルストーンに先立って開催する」と位置付けつつも、次のプラットフォームマイルストーンであるWindows Server 2008、次期SQL Server(開発コード名はKatmai)、およびVisual Studio(同Orcas)、Silverlight(ブラウザやプラットフォームを問わずメディア機能を共通して利用可能にするためのプラグイン)について、PDCが予定されていた10月2日の段階ですでにデベロッパの手に渡っているであろうことをあげている。つまり、プラットフォームのマイルストーンに先立って開催することができない、ということだ。 言い換えれば、これらのプラットフォームを目的としたPDCは今後も開かれないということであり、今年のPDCは延期されたのではなくキャンセルされた、というのが正しい理解なのだろう。 もちろんこれは、PDCというイベントそのものの消滅を意味するものではない。Microsoftは次回のPDCについて、次のプラットフォーム技術の展開に合わせて開催される、としている。それが2008年の秋になるのか、2009年になるのかは分からないが、ビル・ゲイツ会長が引退した後になるのはほぼ確実だろう(2008年6月いっぱいで、ゲイツ会長は非常勤の会長兼相談役となる)。果たして次の時代のPDCがどうなるのか、そこでどのような方向性が示されるのか、注目されるところだ。
□Microsoftのホームページ(英文) (2007年5月25日) [Reported by 元麻布春男]
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