ナナオ、液晶ディスプレイへのこだわりをアピール
3月1日 実施 株式会社ナナオは3月1日、報道関係者向けにセミナーを開催し、同社の液晶ディスプレイ開発に対する取り組みなどを紹介した。 冒頭では、同社 カスタマーリレーション推進部 商品技術課 森脇浩史氏が、液晶ディスプレイの原理とCRTディスプレイとの比較、液晶技術の問題点に対する同社の取り組みについて説明した。 液晶ディスプレイは複数の層からなっており、一番後ろには拡散板、バックライト、拡散シートがある。バックライトは、液晶の周辺部だけにバックライトを配し、反射および拡散することで光を照射する「エッジライト方式」と、液晶背面全体にバックライトを配し拡散することで光を照射する「直下ライト方式」の2種類があり、前者は薄型化、後者は高輝度化が可能という。 バックライトから発された光は、まずいったん偏光板で波の振動方向を1方向にフィルタリングし、液晶分子の配列方向によってさらに波の振動方向を変える。振動方向が変化しなかったものは前面に配置された、背面の偏向板と違う方向の偏向板に遮断され、変化したものの光だけを通すようになっている。 この液晶の駆動方式には、TNとVA、IPSの3種類があるが、液晶の配列特性の違いにより、TNは応答速度、VAはコントラスト比、IPSは視野角に優れている。同氏は、「当社はこれらのそれぞれの特性を活かせる、用途別の液晶ディスプレイを開発している」とした。
一方、CRTとの比較では、CRTの電子銃が持つ優れた階調特性、蛍光体のきわめて速い反応速度など、液晶にはない特徴がある。共通の課題として、周辺部の色のムラ、使用時間や温度に対する輝度の違いなどがあるという。 同社はこれらの問題点解決に向け、PCから入力された信号を多階調変換し、割り当て直すことで滑らかな階調を実現したほか、設計時にパネルごとの誤差を調整し、滑らかな階調が出るようにしているという。また後者については、液晶にかける電圧を一時的に高めることで液晶の反応速度を高めるオーバードライブ技術を採用したという。 このほか、液晶パネルが持つ画面の色のムラについても、画面をドメイン化し、ブロックごとの輝度および色度を補正を行なうカスタムチップを搭載することで改善した。また、起動時に画面が暗かったり、周囲温度によって輝度が変わる環境においては、液晶パネル背面に穴を開け、バックライトの現在の輝度情報を得て適正値に補正する機能を盛り込むことで改善した。
●「我々は当たり前のことをやっているだけ」
カスタマーリレーション推進部 販売促進課 梶川和之氏は、「当社では前述のようなさまざまな技術を、製品に投入しており、市場から“高品質、高信頼性”などの評価を得ているが、実はそれはメーカーとして当たり前のことをやっているだけ」と語る。 ナナオは'85年からPC用CRTディスプレイを欧州向けに出荷開始し、'90年代では日本に参入したが、その頃は世界各地から苦情が挙がり、技術者を派遣して原因を追究したという。その結果、原因解決に向けたノウハウを多く蓄積でき、製品にフィードバックすることができたという。 同氏は、「これはメーカーとユーザーの間に交わされた“約束”であり、我々はこの約束を守り続けている。これが品質と信頼性になって現れただけだ」と述べた。
今後のビジョンとしては、「コンテンツの高画質化とインターネットによるコンテンツ制作/配信の容易さがあいまって、コンテンツ作成者の意図を素直に閲覧者に伝えるニーズが高まる。カタログスペックにはない、コンテンツを表示させるメディアとして重要性を意識したディスプレイ作りをしていきたい」とした。
□ナナオのホームページ (2007年3月1日) [Reported by ryu@impress.co.jp]
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