西川和久の不定期コラム

USBワンセグチューナ「SEG CLIP」を試す




SEG CLIP(GV-1SG/USB)

 2006年の10月頃は品薄、もしくは出荷前だったUSBワンセグチューナも、年末あたりから各社一斉に発売! どれを買えばいいのか迷うほど市場に出回り、ちょっとしたブームになっている。1万円前後の価格や扱い易さなどが人気の理由だと思われる。

 今回はこの中から、アイ・オー・データ機器の「SEG CLIP(GV-1SG/USB)」を紹介したい。データ放送対応や、いち早くWindows Vista対応版ドライバを同社のWebサイトに公開するなど、老舗ならではのサポートが魅力的な逸品だ。

Text by Kazuhisa Nishikawa


●SEG CLIPの特徴

 写真からも解るように、USBコネクタはボディ中央のスライドを動かすことによって現れる。これなら保護キャップを無くすことなく便利だ。デザインもスケルトンカラーを多用し、他社とは少し異なるイメージを持つ。製品の詳細は、ここをご覧頂きたいが、仕様を抜粋すると、

  1. インターフェイス:USB 2.0フルスピード対応(Aコネクタ)
  2. アンテナ入力:高感度アンテナ(着脱不可)
  3. 電源:DC5V(USBバスパワー)
  4. サイズ:30×86×13.5(幅×奥行き×高さ、突起物を除く)
  5. 重量:約27g
  6. 予約録画:EPG/iEPG対応
  7. 添付アプリケーション:SEG CLIP
  8. 動画:H.264/MPEG-2 AAC/416kbps/15fps(放送サイズに依存)
  9. 受信チャンネル:日本向け地上デジタル放送(ISDB-T) 1セグメント対応(UHF:13~62ch)
  10. 音声:ステレオ/音声多重

 という感じだ。基本的にワンセグチューナなので、サイズと重量、アンテナやデザイン以外は他と同じようなスペックになっているのがわかる。2006年の10月頃とは状況が違い、録画が当たり前になっているので、ハードウェアやソフトウェアの違いは出にくい。筆者がここ2カ月で数機種試した経験上、

  1. 感度
  2. 付属アプリケーションの操作性

 というカタログスペックではわからないこの2点が重要だと思った。特に感度に関してはソフトウェアと違い、後からアップデートできないので気になる部分だ。もちろんWindows XP以外のOSで使いたい場合は、対応OSも選ぶ項目の1つに挙げられるだろう。

●サイズは標準的

 本体サイズは「ちょいテレ」を見た後なので結構大きく見えてしまうものの、標準的な大きさだ。アンテナは回転可能であるが、着脱出来ない仕様になっている。他社のように例えば、コネクタ式にする、本体に吸盤を付け据え置き可能にするなど、もう一工夫欲しかった。付属品として、クリップとUSB延長ケーブル(50cm)があるので、写真のようにノートPCなどへ固定するのが一般的な使われ方だろう。LEDは作動状態で色が変わることはなく、バスパワーが供給された時点でオレンジ色に点灯する。

ちょっと大きいが手のひらサイズ
以前の「ちょいテレ」と比較すると大きめだ。USBコネクタは中央にあるスライダーを動かす事によって現れる

TV Microとのサイズ比較
USBタイプのアナログチューナ、TV Microと並べたところ。ほぼ同じサイズだ。スケルトンのブルーがアクセントになっている

クリップでノートPCの液晶パネルに付けたところ
サイズ的にUSBポートへ直接挿しこむとグラグラしてしまうため、クリップを使ってこの様に固定するのが現実的な使い方だろう

●セットアップは簡単

 セットアップは、SEG CLIP本体とドライバのインストールに分けられ、取り立てて難しい部分はない。画面構成自体は非常にシンプルだ。

セットアップ1
ウィザード起動直後の画面。初期化後、右の画面に切り替わる

セットアップ2
[次>]を何回かクリックしてセットアップ終了

セットアップ3
ドライバのセットアップもWindows XPの一般的な手順と同じだ


 セットアップが終わると、デスクトップ上に、SEG CLIPとTV番組表(iEPG)のショートカットが配置される。またSEG CLIPは、一度起動すると常駐するタイプで、ユニットの状態を常に監視している。

●データ放送対応!

 SEG CLIPを起動すると、はじめはTV画面/チャンネル画面など全てのウィンドウがドッキングした状態になっている。このドッキングした状態ではTV画面は100%と全画面表示しかできない(はじめどうやってそれ以外のサイズに拡大すればいいのかわからなかった)。プロパティで[ウィンドウのドッキング]をOFFにすると自由なサイズに設定できる。各画面にある△▽印をクリックすると、該当する場所の表示をON/OFFできる。TV画面はオーバーレイ表示なので、PrintScreenキーなどで画面キャプチャしても取り込めない。*1

 特徴は、他社の多くが対応していないデータ放送にも対応していることだ。もともと携帯電話での表示用なのでご覧のようなレイアウトになっている。これはデータ放送自体の仕様なのだが、これだけの画面を表示するだけでも10秒以上かかってしまうため、PCで見るにはちょっと遅いような気がする。

 

*1以降、画面キャプチャのTV画面は、オーバーレイ表示で取り込みが出来ないため、はめ込み合成。

TV画面
ブランク部分は、字幕表示エリア。フォントサイズが変更できないので、全画面表示した時などは文字が小さく感じる。各△▽全てをクリックすると、TVだけの表示もできる

チャンネル+EPG
TVチャンネルウィンドウ。局名だけでなく、EPGの情報も同時に見ることが可能で、ここから録画予約もできる。少し画面がシンプル過ぎる感じもする

データ放送
データ放送画面。i-modeのコンテンツのような画面だ。全放送が対応しているわけではないものの、この画面はなかなか新鮮。もう少し表示が速ければいいのだが、これはデータ放送自体の仕様なので仕方ない

予約設定
ご覧のように結構細かい設定もできる。毎週の設定に有効期限もあるので、ドラマなどを毎週全て録画する時などに便利そうだ

設定
音声やチャンネル設定などをここで行なう。地域以外は特に変更する必要は無いだろう

ウィンドウのドッキング
全てのウィンドウがドッキングした状態。丁度長方形になるよう、各ウィンドウサイズが調節されている。少し難しいかもしれないが、この状態で全画面表示があったら便利かも知れない

 ソフトウェアとしてのSEG CLIPは、細かい部分などがうまく作り込まれており、なかなか好印象だ。普段使うのに特に不満な部分も無い。画質に関しては少しソフトな感じがして筆者的には非常に見やすかった。もともとデジタル処理の部分なので、画質には差が無いものだと思っていたが、何機種か比較したところ、色温度なども少し違う。シャープネスや色温度に関しては好みもあるので調整可能になっていればありがたい。また、「ちょいテレ」で外部アンテナを接続しないと受信できなかった放送局も、本製品では付属のアンテナだけで全て受信でき、感度は高いようだ。



●Windows Vistaにも対応済み

Windows Vistaでの作動
Windows VistaでSEG CLIPを使っているところ。残念ながらテストしたThinkPad T42はDirectXが動かないので100%表示より上のサイズになるとコマ落ちしたりジャギが目立ったりするものの、動き自体は問題無い

 つい先日、各社一斉にWindows Vista対応PCが発表された。基本的にWindows VistaはWindows XP用のドライバが使えないので、対応が気になるところ。その点SEG CLIPは既に同社のWebサイトでVista版のドライバを掲載しているので安心だ。

 試しに、ThinkPad T42にVistaのRTMをインストールし、試したところ問題無く作動した。XP版と比較しても機能や操作性が劣る部分は一切無い。開発が面倒かも知れないが、Windows Media CenterにEPGやiEPGの番組表なども含め対応すれば楽しいかも知れない。


●総論

他の機種を使った2画面同時表示
たまたま手元に他社のUSBワンセグチューナがあったので、同時に動かしてみた。SEG CLIPの方が色合いは暖色系のようだ

 これだけいろいろなUSBワンセグチューナが出てくると、差別化が難しくなる。考えられるのは、各種OS対応、高感度、小型、2(多)チャンネル独立表示、USBメモリなど他のUSBデバイスを内蔵……などだろうか。

 この中でSEG CLIPは少なくとも2つはある程度クリアしている。ハードウェア的な部分はどうにもならないものの、ソフトウェアで対応可能な部分はどんどんアップデートして、更に磨きをかけて欲しいと思う。

□SEG CLIP(GV-1SG/USB)の製品情報
http://www.iodata.jp/prod/multimedia/tv/2006/gv-1sgusb/
□関連記事
【2006年10月13日】【西川】録画可能なUSBワンセグチューナ「ちょいテレ (DH-ONE/U2)」を試す
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1013/nishikawa.htm
【2006年12月13日】アイ・オー、Vista対応のUSBワンセグチューナ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/1213/iodata1.htm

バックナンバー

(2007年1月22日)

[Text by 西川和久]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp ご質問に対して、個別にご回答はいたしません

Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.