2007 International CESレポート【NXP編】 2系統デジタル放送対応キャプチャチップをデモ
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同社の取り組みなどを語ってくれたGiel Rutten氏 |
会期:1月8日~11日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Centerなど
NXPは日本では馴染みの薄いメーカーだが、Philipsから分離した半導体メーカーで、TV、ネットワーク、車載関連の製品などを手がけている。そんな同社は、CES会場近隣のホテルで、2006年12月に発表したTVキャプチャチップなどのデモを行なっている。
●PCI Express/2系統デジ・アナ入力対応キャプチャチップ
同社の最新TVキャプチャチップ「SAA7164E」は、2系統のアナログ/デジタル入力に対応し、アナログ/デジタルを問わず、2番組の同時再生/録画や、再生しながらの録画などが可能。
TV方式はアナログがPAL(ヨーロッパ/アジア)、NTSC(アメリカ/日本)、SECAM(ヨーロッパ)、デジタルがATSC(アメリカ)、DVB(ヨーロッパ)、ISDB(日本)と世界中の方式を網羅。
アナログキャプチャの解像度は、70×64~720×576@25fps/720×480@30fps、および1系統までとなるが、720×576@50fps/720×480@60fpsのD1プログレッシブに対応。エンコードフォーマットはH.263/MPEG-1/MPEG-2/MPEG-4/DivX/XviD/VC-1/WMVに対応し、動的時空間式3次元くし形フィルタ、3次元ノイズリダクション機能を搭載する。
デジタルキャプチャは、480p/720p/1080iまでのストリーミング記録が可能で、128bit AEC/(T)DES暗号化に対応する。
PCのバスインターフェイスはPCI Express x1に対応し、会場では同社製チューナと組み合わせたリファレンスデザインPCI ExpressカードやノートPC用のminiカードによる実動デモを行なっていた。
このように、仕様としてはかなり強力な製品だが、気になる日本国内での搭載製品発売について、同社ビジネスユニットホーム上級副社長のGiel Rutten氏によれば、同社では日本市場を非常に重要なポジションに位置づけており、すでに国内の大手PC/カードメーカーと協業を開始、今春にも発表される予定だという。
日本ではデジタル放送のキャプチャについて厳しい制限があるが、この点についても日本のメーカーとの協業を通じて、ARIB(社団法人電波産業会)の規定や、B-CASにも対応しているという。価格については具体的なことは話せないとしながらも、新製品は十分なコスト競争力を持つとした。
ただし、このB-CAS対応というのが、キャプチャカード単体も含まれるのかは不明だが、いずれにせよ新たなキャプチャチップとして期待が持てる。
SAA7164Eを搭載したEU向けリファレンスボード | こちらは北米向け |
●ホームサーバーSTB
もう1つ同社がデモしていたのが、このキャプチャチップを搭載したサーバーSTB(セットトップボックス)のリファレンスキット。HDDを搭載し、上述のようなTVの再生/録画が可能。
おもしろいのが、録画番組の予約機能で、iEPGによる録画予約以外に、タイトルや出演者などによる検索が可能。検索はオートコンプリートに対応し、例えば出演者検索で、「CRUI」まで入力すると、「TOM CRUISE」などその文字列を含む人物のリストが一覧表示され、人物を指定すると、関連番組が表示される。さらに、ここで目的のタイトルが見つからなかった場合は、amazon.comでDVDタイトルを検索し、オンライン購入する機能まである。
amazon.comでの購入は、このリファレンスデザインで一例として採用しているだけで、OEMメーカーの希望に応じて、他のオンラインショップや会員制サービスにも変更可能。また、音楽であればダウンロード購入も可能である。
ネットワーク機能や、USBポートなども装備し、HDDレスのクライアントSTBやPCからアクセスしてTV番組を視聴したり、写真の共有などもできる。
また、アカウント管理機能もあり、子供が視聴できる番組や、時間の制限をかけることもできる。
ホームサーバーSTBのリファレンスキット | オートコンプリートで検索が可能 | 出演者を選ぶと、その番組一覧が表示 |
希望の番組がなければ、amazon.comでDVDをオンライン購入することもできる | 同様に音楽のダウンロード購入も可能 | 子供に対する視聴制限をかなり詳細に設定可能 |
□2007 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□NXPのホームページ(英文)
http://www.nxp.com/
(2007年1月12日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]