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2007 International CESレポート【ソニー編】

米国向けVAIOの新製品を展示
~丸い筐体のリビング用VAIOが登場

会期:1月8日~11日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Centerなど



ソニーが発表した新しいリビングPC「VGX-TP1」

 世界最大のデジタル家電の展示会であるInternational CESは、1月8日(現地時間)より米国のラスベガスで開幕するが、前日となる1月7日には各社の記者会見が次々と行なわれた。

 ソニーもそうしたベンダの1社で、夕方から報道関係者向けの記者会見を行なったが、その中でWindows Vistaのリリースに併せて発売される予定の、米国向けVAIOの新製品が展示された。

 中でも大きな注目を集めたのは、おひつのような形をした丸形の新しいVAIO“VGX-TP1”で、HDMIポートを持ち、デジタルTVに接続して利用できるなど大きな注目を集めた。ソニーが本気になって作ったリビングPC、今度こそ新しいユーセージモデルを作り上げることが可能になるのだろうか。

●TVにつないで利用することを前提にしたリビングPC

 ソニーが発表した「VGX-TP1」は、背面にHDMIポートを備えた製品で、基本的にはそれらを利用して液晶TVやプラズマなどのHDTVに接続して利用することを前提としたリビングPCだ。

 なんといってもユニークなのはその外観だ。最初に見たときの感想は、まさに炊きあがったご飯を入れておく“おひつ”だ。一見するとPCとわからないデザインで、前面に張っているWindows VistaやViivのシールがなければPCとは思えないユニークなデザインだ。余談になるが、展示員によれば内部の基盤も丸いというわけではなく、6角形のような形になっているそうで、そうした内部の構造というところも興味をかき立てられるデザインだ。

 色は白をベースにしており、リビングにあるTV台においても違和感のないデザインになっている。奥行きは27cmしかなく、薄型のTVと一緒に販売されている専用のTV台にも十分格納できるコンパクトさだ。

 I/O部分のパネルのデザインも配慮されており、背面のパネル部分にはマグネット装着式の蓋でコネクタ部分を美しく隠すほか、前面のI/Oパネル部分も押し込んで右にスライドさせるというユニークな構造になっている。

 出力フォーマットは480p、720p、1080iの3つで、標準添付されるワイヤレスキーボードに用意されているS2キーを押すと、画面に表示させる解像度がOSD表示され、選択すると解像度を簡単に切り替えることができる。たとえば、SD解像度のコンテンツは720pで、HD解像度のコンテンツは1080iで、という使い方が可能になる。

【お詫びと訂正】初出時、出力フォーマットについて「480p、720p、1080pの3つ」としていましたが、正しくは「480p、720p、1080iの3つ」です。お詫びして訂正させていただきます。

 なお、HDMIポートは付属のアダプタで変換してDVI-Dとしても利用可能。このほか、D-Sub15ピンも用意されている。

左からEthernetケーブル、HDMI、ACアダプタの各ケーブル。実際、この3本のケーブルを接続するだけで簡単に利用することができる。もちろん音声はHDMI経由でTVに送ることができる 背面にあるI/Oポートは、マグネットで止められたカバーが用意されている。上段左上からACアダプタ、アナログRGB、HDMI、AV入力、Ethernet。下段左からS/PDIF出力、マイク、ヘッドフォン、USB×2、メディアセンターのコントロール端子、無線LANのアンテナ、アナログTVチューナ パッド内蔵のキーボードは2.4GHzの無線で接続されている。新調されたリモコンは、従来の黒ベースから白ベースへと変更され、メディアセンターのボタンが丸になっている
無線LANのアンテナ。IEEE 802.11b/g無線LANを搭載 前面のI/Oポート。上段左からSDカードスロット、無線LANスイッチ、メモリースティックスロット。下段左からUSB×2、IEEE 1394(4ピン)、キーボード接続スイッチ 前面の蓋は押して横に引くというユニークな構造

●Core 2 Duo、Intel 945GMを採用しViiv Technologyに対応

 気になるハードウェア構成だが、CPUはIntelのCore 2 Duo T5600(1.83GHz)、チップセットはIntel 945GM Express、EthernetもIntelのIntel Pro/1000を採用しており、いわゆるViiv TechnologyブランドのPCとなっている。メインメモリは標準で2GB(1GBのモジュール×2)で、HDDは300GB(展示機ではWD3000JS)となっている。GPUはIntel 945GMに内蔵されているIntel GMA 950が採用されている。GMA950の機能を利用して、HDオーディオCODECからの出力をマージしてHDMIポートに出力している。

 光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブで、DVD+R DLが4倍、DVD±Rが8倍、DVD+RWが8倍、DVD-RWが6倍、CD-Rが24倍で書き込むことができるようになっている。DVDのスイッチはユニークで、DVDドライブ自体を押すと、トレイがでてくる形になっており、使いやすい。

 OSはWindows Vista Home Premiumで、本体内部にアナログチューナを内蔵しているほか、USB接続のATSCチューナ(米国でのデジタル放送)を内蔵しており、メディアセンターのTVチューナとして利用できる。そのほか、追加のソフトウェアとしてリモコンでWebブラウザを操作するソフトウェア、「Click to DVD」(ソニーのDVD書き込みソフト)のメディアセンター版などが標準で導入されていた。

 気になる価格だが上記のスペックで1,600ドルという価格が予定されており、米国では3月にも販売を始める予定であるという。気になる日本での発売だが、現時点では詳しいことは言えないという回答だったものの、予定がないという明確な否定がなかったことを考えると、十二分に発売される可能性があるといえるのではないだろうか。

OSにはWindows Vista Home Premiumが採用されている HDMIの解像度はボタンで簡単に変更することができる デバイスマネージャの表示。CPUはCore 2 Duo T5600、チップセット/GPUはIntel 945GMなどが採用されていることがわかる
リモコンで操作できるブラウザが付属している。Webサイトをリモコンで閲覧することができる。なお、表示にはWindows VistaのWindows Aeroの透過機能などを利用している
利用イメージとしてはこのように大画面TVに接続してリモコンで操作する Viiv Technologyに標準で対応している。Viiv SoftwareはWindows Vistaに対応したバージョン1.6になっていた
本体前面にはLEDが3つ用意されており、HDD、電源、無線LANのインジケータとなっている ドライブはドライブ自体を押すとトレイがでてくる仕組みになっている

●Type X LivingはBDドライブ搭載にアップグレード

 このほか、従来のモデルもWindows Vistaのリリースに併せて改良が加えられている。TP1の上位機種ともいえる、HDMIポートを備えた「Type X Living(XL3)」は、新たにBlu-ray Disc(BD)ドライブが搭載された。従来の製品では、DVDドライブだったので、この点が大きな改良点で、かつTP1との差別化にもなっている。

 従来のType X LivingはPentium Dベースだったのだが、新しいモデルではCore 2 Duo Eシリーズへと変更されており、システム全体の消費電力の低減も大いに期待できる。こちらの方はGPUもGeForce 7600 GTLが採用されており、そうした意味でもより高品質なビデオ再生や処理能力が必要というユーザーであれば、TP1ではなくType X Livingを選択するというのもありだろう。

 そのほか、日本ではVAIO Type Uに相当するUXも、Windows Vista Business搭載版が発表された。

ソニーのVGX-XL3は、Type X Livingの最新版で、CPUはCore 2 Duoになり、光学ドライブもBDドライブに変更されている デバイスマネージャの表示。GPUがGeForce 7600 GTLとなっているのが謎だが、新しいSKUが今後リリースされるということなのだろうか VAIO UXのWindows Vista Business版。BusinessのSKUを採用しているので、Windows Aeroの透過表示などに対応している

●PCの音楽を無線LAN経由で再生できるWi-Fiオーディオ

 VAIOの周辺機器として発表された「VGF-WA1」は、PCの内部に保存した音楽ファイルを、無線LAN経由で再生するWi-Fiオーディオプレーヤーだ。本体には、IEEE 802.11g/bに準拠した無線LAN機能、ステレオスピーカー、操作用の液晶ディスプレイなどが用意されており、付属のリモコンを利用して操作が可能になっている。

 音楽の再生はDLNAのスキームを利用して行なわれる。このため、PCにはDLNAに準拠したメディアサーバーの機能が必要になる。すでにDLNAに対応したメディアサーバーがあるPCではそれをそのまま使えばよいが、そうでないPCのために、DLNAに対応した「VAIO Media」のメディアサーバーソフトウェアがバンドルされている。説明員によれば、このVAIO Mediaのメディアサーバーソフトウェアは、VAIO以外のPCにも導入が可能で、それを利用してDLNAに非対応のPCを、DLNA準拠にすることが可能になるのだ。

 無線LANによる接続は、通常のようにアクセスポイントを利用した接続も可能だし、付属のUSB接続の無線LANアダプタを利用しても可能だ。

 ユニークなのは、本体にバッテリを内蔵していることで、ACアダプタから外して持って行なってもバッテリが切れるまでは利用することができることだ。説明員によれば、バッテリだけで4時間程度の駆動が可能であるという。

 デザインは白と黒の2種類が用意されており、予想市場は350ドルになる見通しだ。

VGF-WA1はPCに保存されている音楽ファイルを無線LAN経由でアクセスして再生できる 付属のリモコンとUSBの無線LANモジュール

□2007 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□関連記事
【2006年1月6日】【CES】Blu-ray 200連装のtype XやYonah搭載type SZ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0106/ces02.htm

(2007年1月9日)

[Reported by 笠原一輝]

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