マイクロソフト、Vistaのライセンス/アクティベーションについて解説
11月16日 発表 マイクロソフト株式会社は16日、報道関係者に対して、Windows Vistaのライセンスおよびアクティベーション等に関する説明会を開催した。 ●ライセンスとアクティベーション Windows Vistaは10月26日に価格が発表されたものの、日本における最終的なライセンスの発表は先送りにされており、11月になってから、米国でリテール版のライセンスが改訂されるという状況になっており、ことライセンスに敏感な自作ユーザーの間では、その成り行きが注目されていた。 こうした状況を受け同社は、Windows Vistaへのアップグレードや、インストールに際して、注意が必要となると思われる点などについて、解説を行なった。 まず、ライセンスだが、これは現在米国のサイトで公開されているものが、そのまま国内でも適用されることとなった。つまり、懸念されていた、OSのPCからPCへの移動は制限がなく、元々のPCのVistaをアンインストール/削除して、別PCへインストールということが何度でもできる。これはリテール版のみならず、DSP(OEM)版も同様である。 アクティベーションについては、現在のWindows XPと同等の仕組みが採られ、特定のパーツを増設/交換などすると、ポイントが増えていき、一定のポイントを超えると、再度アクティベーションを行なう必要がある。アクティベーションは、何度でもできるが、ネットを通じたアクティベーションの回数には制限があり、一定数を超えた場合は、電話によるアクティベーションが必要となってくる。 DSP版は、マザーボード、CPU、メモリ、HDD、ドライブ類などとセットで販売され、そのハードウェアとともにライセンスされる。そのため、原則として、セットで購入したハードウェアを使い続ける限りは、パーツを交換しても、OSを使い続けることができる。 なお、日本語のライセンスについては、1月30日の発売日以前に、Webで公開する予定はないという。 ●製品体系とアップグレード対象 Vistaの製品ラインナップだが、リテール版はすでに発表されている通り、Home Basic、Home Premium、Business、Ultimateと、それぞれのアップグレード版が用意(Home Premiumはアカデミックアップグレードもあり)。 DSP版は、Home Basic、Home Premium、Business、Ultimateのフル版のみが用意され、アップグレード版はない。ただし、Windows XPのDSP版から、Vistaリテールアップグレード版を使ってアップグレードを行なえるので、既存のXP DSP版ユーザーがVistaに移行するにあたっては、価格の面から、リテールアップグレード版かDSPフル版を利用することとなるだろう。 リテールアップグレード版の対象OSは、Windows XP Home Edition/Media Center Edition/Professional/Tablet PC EditionとWinodws 2000 Professional。アップグレード先のエディションは不問なので、XP Home EditionからBusinessやUltimateといった場合に限らず、XP ProfessionalからVista Home Basicという、機能的に下のバージョンへの移行も可能なほか、Vista自体もアップグレード対象となり、Vista Home Basicから、Ultimateへもアップグレードできる。 このアップグレード版とは別に、10月末からPCメーカーやPCショップから、優待アップグレード権がついたWindows XP搭載PC/DSP版OSが発売されている。価格はメーカーによってまちまちだが、これらはリテールアップグレード版より格安でアップグレードできる。 ただし、優待版ではアップグレードの対象があらかじめ決まっており、例えばXP Professional DSP版はVista Businessへしかアップグレードできない。また、アップグレードキットが送付されるのは、1月30日のVista発売日から約1カ月後となっている。 ●アップグレードの注意点 アップグレードに際しては、いくつか注意点がある。まず、Vistaの動作環境だが、最低環境は800MHz以上のCPU、512MB以上のメモリ、20GB以上のHDD、SVGA以上が表示できるビデオカードとなっている。XPが動作するシステムであれば、これらの条件はほとんど障害にならないと思われるが、メモリが512MBに満たない場合は、インストールが停止する。 Vista Home PremiumにはMedia Center機能が搭載されているので、XP Professionalから、Home Premiumへのアップグレードを考えるユーザーも少なくないだろう。先述の通り、Vistaでは機能が削減される(ここでは、ドメインアクセス機能など)ようなアップグレードもできるが、インストールはクリーンインストールしかできない。 この場合、Program Files、Documents and Settings、Windowsといったフォルダは、Vista新規インストールの際に、Windows.oldというフォルダに、元のフォルダ構成のままコピーが保存される。そのため、クリーンインストール時も、HDDをフォーマットさえしなければ、手動でXPで使用していたファイルやデータをVista環境にコピーできる。 XP Home EditionからVista Home Premiumへというように、完全アップグレードの場合は、上書きインストールができるので、XPでの設定をほぼ全て引き継いだ状態で、Vistaに移行できる。 なお、アップグレードした後のサポートは、アップグレード版の提供元となるので、メーカー製PCのXPやVistaをアップグレードすると、OSのサポートはPCメーカーからマイクロソフトに変わる(とともに、PCメーカーからのサポートは受けられなくなる可能性がある)。 Vistaは、リテールアップグレード版を利用する以外に、「Windows Anytime Upgrade」と呼ばれるアップグレードパスも用意される予定がある。この機能を使うと、パッケージ等を購入せずとも、ネットでの購入/認証を通じて、安価にアップグレードができる。 ただし、その提供時期や方法などは未定。また、Vistaのライセンスには、「Windows Anytime Upgradeを使った場合、PCからPCへのOSの移動は1度まで」と明記されているが、マイクロソフトでもこの点については詳細を把握していないという。 なお、Vistaのディスクの中身はエディションを問わず共通となっており、基本的にプロダクトキーに応じて、Home Basicになったり、Ultimateになったりしている。だが、インストール後に、プロダクトキーを変えるだけでエディションが変わるわけではないので、Vista Home BasicプリインストールPCを初めて使うときに、Home Premiumのキーを入力しても、Home Premiumにはならない。 ●64bit版 最後に64bit版だが、32bit版同様、1月30日から提供開始となるが、リテール版には32bit版のDVD-ROMメディアのみが収録されている。64bitのメディアについては、購入後に別途申し込みが必要で、メディアの実費を支払うことで入手できる。また、CD-ROMメディアを希望する場合も、同様の申し込みでメディアを入手できる。 DSP版は32bit版と64bit版がそれぞれ用意される。ただし、Ultimateについては、リテール版のみ、32bitと64bit両方のDVDが入っている。つまり、Vistaはどのエディションもライセンスとしては32bit/64bit両方を所有できることとなる。ただし、一度に利用できるのは一方のみとなる。 【12月27日追記】初出時に、Ultimateについては、リテール版/DSP版とも、32bitと64bit両方のDVDが入っている、としておりましたが、その後この方針が変更され、DSP版Windows Vista Ultimateも32bit版/64bit版で別製品になりました。 □マイクロソフトのホームページ (2006年11月16日) [Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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