AMD、ATI買収記者会見を開催 ~GPU統合CPUはシングルダイで実現
7月24日(現地時間)開催
米AMDは24日(現地時間)、加ATI Technologies買収に関する記者会見を開催した。参加したのはAMD会長兼CEO(最高経営責任者)のヘクター・ルイズ氏、社長兼COO(最高執行責任者)のダーク・マイヤー氏、ATI社長兼CEOのデイブ・オートン氏など。
会見の大半は質疑応答に費やされ、この中で、今回の買収の目的がIntelによる独占を打破することにあることや、リリース中で述べられた「GPU統合CPU」についてシングルチップ構成を検討していることなどが明らかにされた。
主な質疑応答の内容は以下のとおり。
【Q】 長期的な工場についての計画を教えて欲しい。
【A】 AMDはすでにChartered Semiconductorと提携しており、そこで製造されたCPUの出荷も開始された。ATIを買収したことで、TSMCおよびUMCというファウンダリも利用できることになり、製造面の強化と最適化が図れるだろう。
【Q】 ATIの最終四半期におけるAMDプラットフォーム向け製品の割合は。
【A】 3~4割だ。
【Q】 ATIは今回の件についてすでにIntelに話はしたのか。
【A】 いや、していない。
【Q】 今回の件でATIの持つIntelバスライセンスが無効になることはあるのか。
【A】 詳細は語れないが、ATIは第4四半期までのライセンスを持っており、今回の件がライセンスに影響することはないので、それまで製造を続ける。
【Q】 今回の戦略は対Intelという性格のものだと思うが、顧客がAMD CPUとNVIDIAグラフィックの組み合わせを希望する場合どうするのか。
【A】 まず第一に我々は競合他社を排除する意図はない。顧客に対しては選択の自由を与えるべきだ。インターフェイスも公開し、我々と他社が競争していくことを推奨する。NVIDIAなどがAMDエコシステムに参加することは今後も歓迎する。
【Q】 リリースの中で述べられていたCPUとGPUの統合というのは、ダイレベルでの統合を意味するのか。
【A】 そうだ。我々は1つのダイでCPUとGPUを統合することを計画している。すべての市場でこういったものが今すぐに求められているわけではないが、ニーズはある。アプリケーションによってはCPUによって加速できるものと、GPUによって加速できるものとがあり、統合といってもただ1つにするのではなく、アプリケーションごとに最適化されたソリューションを提供していきたいと考えている。
【Q】 ATIのIntelプラットフォーム向けチップセット事業は即座に終了するのか。
【A】 そのつもりはない。今後もATIのIntel向けチップセットを望む顧客に対し、製品の提供を続けていく。
【Q】 NVIDIAがAMD向けチップセットで大きなシェアを持っている中、Intelに対し、どのようなプラットフォーム化を行なっていくのか。
【A】 我々はIntelと違い、インターフェイス規格をオープンにしている。例えば、IntelはチップセットもネットワークコントローラもIntel製であることを要求する。これにより、他社のコンポーネントを排除している。我々はこういったことはしない。我々はインターフェイスをオープンにすることで、各社にAMDエコシステムへの参加を呼びかける。
【Q】 AMD CPUとATIチップセットの組み合わせを強制しないのであれば、ATIのチップセット事業がどのような利益をもたらすのか。
【A】 4社の異なるチップセットメーカーと協業して、それぞれからソリューションを市場に同じタイミングで提供するのが難しかったからだ。また、今回の買収は短期的にプラットフォームを囲い込むことにあるのではなく、長期的に両者の技術を統合し、革新をもたらすことにある。
【Q】 ATIのIntelプラットフォーム向け製品の売り上げはどれくらいあったのか。
【A】 1四半期で8千万~1億ドル程度だ。今後も顧客の要求がある限り、このビジネスは継続していく。
【Q】 特定のアプリケーションに特化したチップを作ると、PCの役割を縮小させてしまうのでは。
【A】 プロセッサにはCPUのように汎用目的なものと、GPUのように特定目的のものがある。近い将来、さまざまなプラットフォームにあわせて、CPUにいろいろなプロセッサ要素を統合していく必要が生じるだろう。例えば、10~15年前はFPUはCPUとは個別のコンポーネントだったが、今ではCPUに内蔵されてしまった。これと同じようなことが起こるだけだ。統合により我々はCPUをさらに最適化することができ、x86命令セットが使われているデバイスにPCの技術をもたらすこともできるようになる。
【Q】 次期GPUのR600はスケジュール通り出荷されるのか。
【A】 向こう半年のロードマップについて、ハイエンドGPUのR600、そしてAMDおよびIntel向けチップセットのスケジュールも変更はない。中期的な視点では、協業により、よりよいGPUや、チップセット、メディアプロセッサなどを開発できるようになるだろう。
【Q】 ATIの事業は今後もファブレスでやっていくのか。
【A】 当面はそうだ。ATIがファウンダリと持っている経験は即座に複製することが困難だからだ。
□AMDのホームページ(英文)
http://www.amd.com/
□ATIのホームページ(英文)
http://www.ati.com/
□関連記事
【7月24日】AMD、ATIの買収を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0724/amdati.htm
【7月24日】AMD、ATI買収を今日にも発表か
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0724/amd.htm
(2006年7月25日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]
PC Watch編集部
pc-watch-info@impress.co.jp
お問い合わせに対して、個別にご回答はいたしません。
Copyright (c)2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.
|