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Freescale、次世代車載LAN「FlexRay」搭載32bitマイコン5月22日 発表 米Freescale Semiconductorの日本法人であるフリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社は5月22日、次世代自動車内ネットワーク「FlexRay」のコントローラを搭載した32bitマイクロコントローラ「MPC5567」を開発し、サンプル出荷を開始したと発表した。サンプル価格は65ドル。2007年中には量産を開始する予定。 現在、自動車内のネットワークとして最も普及しているのは「CAN(Controller Area Network)」と「LIN(Local Interconnect Network)」である。比較的高速な通信速度を要求するパワートレイン制御(エンジン制御ユニット、アンチロックブレーキシステム、エアバッグ、オートマチックトランスミッションなど)にはCANを使い、低速な通信速度で済むボディ制御(パワーウインドウ、ヘッドライト、ドアロック、パワーシートなど)にはLINを使うことが多い。車載用の制御系マイコンでは、CANまたはLINのコントローラを内蔵することは現在では標準となっている。 これに対してFlexRayは、これまでよりも複雑な電子制御を対象としたネットワークである。例えば従来は油圧で駆動していた制御系をデジタル回路とアクチュエータで制御しようとするときにリアルタイム通信の手段として、FlexRayが必要となる。電動ステアリング制御、車両挙動安定化システム、電子スロットル制御などの用途が考えられている。当然ながら、FlexRayの通信速度はかなり高い。最大データ転送速度は10Mbps。CANの最大データ転送速度が1Mbpsなので、FlexRayはその10倍の転送能力を備える。FlexRayにはこのほか、タイムトリガー方式なので転送遅延が固定されている2チャンネル(AチャンネルとBチャンネル)で同じデータを転送でき、信頼性を高められるといった特徴がある。
Freescale Semiconductorは半導体ベンダーの中ではFlexRayに積極的に取り組んでおり、2005年12月にはFlexRayコントローラ内蔵の16bitマイクロコントローラ「MC9S12XFR」とFlexRayコントローラLSI「MFR4300」を開発し、サンプル出荷を始めたと発表していた。そして今回、FlexRayコントローラを内蔵した32bitマイクロコントローラ「MPC5567」を開発した。MPC5567は、PowerPCコア「e200」と2MBフラッシュメモリ、64KB RAM、5チャンネルのCANコントローラなどを内蔵する。最大動作周波数は132MHzである。 なお、フリースケール以外の半導体ベンダーもFlexRay対応の半導体製品を開発中である。Royal Philips Electronicsは2005年12月に、FlexRayコントローラを内蔵した32bitマイクロコントローラ「SJA2510」を開発し、サンプル出荷を始めたと発表した。SJA2510は、ARM968Eプロセッサコア(動作周波数80MHz)、2チャンネルのバージョン2.1対応FlexRayコントローラ、1MBのフラッシュメモリ、64KBのRAM、6チャンネルのCANコントローラ、8チャンネルのLINマスタコントローラなどを内蔵する。 また富士通は、2005年9月にFlexRayのコントローラLSI「MB88121」を発売したと発表した。同社は2006年には、FlexRayコントローラ内蔵の32bitマイクロコントローラを開発すると表明している。このほかルネサス テクノロジやNECエレクトロニクスなども、FlexRayコントローラ搭載のマイコンを開発中である。
□Freescaleのホームページ(英文) (2006年5月23日) [Reported by 福田 昭]
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