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三洋エプソン、上下/左右約180度の広視野角ディスプレイ

5月17日 発売



10.1型モデル。筐体が大きいのは、開発中でモジュールの縮小が終了していないため

 セイコーエプソングループの三洋エプソンイメージングデバイス株式会社は17日、上下/左右約180度の広視野角技術「Photo Fine Vistarich」を搭載した液晶ディスプレイを開発したと発表した。

 2.4/2.5/2.8/7/10.1型の5モデルが用意され、それぞれ携帯電話やデジタルカメラ、車載向けなどの用途で利用が見込まれている。製品の量産は2006年秋からの予定で、小型のものから量産開始される。

 Photo Fine Vistarichは、正面(0度)のコントラストが500:1、±80でのコントラストを100:1に保ち、広い視野角を実現した技術。新配向膜の開発により、応答速度の中間諧調でのムラが抑制され、動画の写りが鮮明になった。また、開口率の向上によりバックライトの出力を抑えることが可能になるなど、省エネ設計が可能になっており、ワンセグ搭載機などモバイル機器に最適だとしている。

 さらに、液晶モジュールに光学補償を行なう位相差板が不要なため、従来より薄くできるほか、液晶表面を押したときの表示のゆがみを抑える「リップルフリー」構造になっており、タッチパネルなどにも最適だという。

 各ディスプレイの主な仕様は以下のとおり。携帯電話での利用が見込まれる2.4型ディスプレイは、480×640ドット(VGA)表示対応で、低温ポリシリコン液晶を採用、表示モードは透過型、精細度は約333ppi、表示色は1,677万色で、高速シリアルインターフェイスに対応する。

 車載用途向けの7型ディスプレイは、800×480ドット(W-VGA)表示対応で、アモルファスシリコンTFTを採用、表示モードは透過型、精細度は約134ppi、表示色は26万色。

 このほか、デジタルカメラ向けの2.5型、2.8型、Photo Fine Vistarichに加え同社開発の広色域を実現する「Photo Fine Chromaticrich」を搭載した10.1型もラインナップされている。

車載向けの7型モデル 2.8型モデル
デジカメ向け2.5型モデル 携帯電話向け2.4型モデル

●ワンセグに有効なPhoto Fine Vistarich

三洋エプソン 技術開発統括部長 遠藤甲午氏

 同日行なわれた発表会では、三洋エプソン 技術開発統括部長 遠藤甲午氏が他の広視野角技術であるVA方式、IPS方式などと比較しながら、Photo Fine Vistarichについて説明した。

 まず同氏は、Photo Fine Vistarichを「広視野角でありながら広開口率で低消費、さらに薄型モジュールが可能である」と紹介し、「特にこれから世の中に広まってくると思われる、ワンセグ搭載機において有効である」と語った。

 Photo Fine VistarichをVA方式/IPS方式と比較して、「低視野角でもコントラスト100:1が保たれることが特徴で、VA/IPS方式はともに開口率が低く、±80度のコントラストが10:1程度に落ち込み、さらにVA方式では表示が“しらっちゃける”などの問題が、IPS方式には色が変化するという問題があった。Photo Fine Vistarichはその開口率の高さゆえに、高いコントラストと低視野角でのコントラスの低下を防ぎ、どの方向から見ても色の変化がない液晶になっている」と述べた。

 続いて、「Photo Fine Vistarichは、インシュレータ(絶縁層)を挟んで電極が配置されている。それに電解を掛けると液晶分子がいろんな方向に動いて光学補償ができ、視野角が広くなる」と、構造を解説した。

Photo Fine Vistarichの特徴 Photo Fine Vistarichの構造図

 そのほかの特徴として応答速度を挙げ、「全面において応答速度がほとんどかわらず、低温においてはもっとその差が顕著である。実際の画面では中間色が多いから、見た目でかなり優れている。こういった意味でも動画対応に優れる」とした。

 低消費電力については、駆動電圧に対して光の透過率が高く、バックライトの出力を抑えるとともに、液晶モジュールの駆動電圧を引き下げられるため、トータルで電力消費を引き下げることができるとした。

 そのほか、同社のPhoto Fine Chromarichと組み合わせることで、NTSC比が100%超となる、全視野角で高い色再現性を実現した10.1型液晶ディスプレイも開発したことを明らかにした。

 質疑応答で価格について問われると、同社は「市場の価格やユーザーの意向を考慮し、新しい技術なので付加価値を付けつつも、マーケットに応じて決めて行く」とした。同技術の大型ディスプレイへの採用について問われると、大型化は技術的に可能としながらも、会社の方針として中・小型のものに集約しているため、大型のものについては考えていないとした。

応答速度の比較 開口率・透過率の高さで低消費電力に Chromarichとの統合

□三洋エプソンのホームページ
http://www.sanyo-epson.com/
□ニュースリリース
http://www.sanyo-epson.com/newsroom/060517/index.html
□関連記事
【2005年10月17日】三洋エプソン、NTSC比100%超の広色域小型液晶(AV)
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20051017/sanep.htm

(2006年5月17日)

[Reported by matuyama@impress.co.jp]

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