|
エルピーダ、インドにDRAMの設計拠点を設立
4月12日 発表 エルピーダメモリ株式会社は4月12日、インドのバンガロールに設けた設計拠点が4月3日に操業を開始したと発表した。エルピーダメモリはこれまで、神奈川県相模原市、大阪府大阪市、米国カリフォルニア州サンタクララに設計拠点を擁していた。 バンガロールの設計拠点には、エルピーダメモリは出資していない。シンガポールの半導体設計企業であるFTD Technology Pte. Ltd.と提携し、設計業務を行なう。すなわちFTD Technologyがバンガロールに100%出資のDRAM設計会社Edison Semiconductorを設立し、エルピーダメモリはこのEdison SemiconductorにDRAMの設計業務を委託する。Edison Semiconductorの業務はすべてエルピーダメモリ向けのDRAM設計業務であり、資本関係はないものの、エルピーダメモリが擁する設計拠点の1つとなる。なおこのDRAM設計拠点は、インドで初めてのDRAM設計拠点である。 エルピーダメモリは2006年1月に大阪市に関西デザインセンターを設立して業務を開始するなど、設計拠点を増強しつつある。記者会見に出席したエルピーダメモリの安藤学氏は、今回の拠点設立について以下のように説明した。 「日本では設計者をさらに増やそうとしても技術者の流動性が低く、中途採用が難しい。また日本にはDRAMの設計経験者が少ない。DRAM設計の経験者以外に採用の幅を広げるのであれば、拠点を日本に限定する理由はなくなる。そこで海外で設計者を確保することにした。ソフトウエア設計者が多いことと人件費が低いことからインドに決め、さらに日本企業と協業の経験があることから、FTD Technologyをパートナーに選んだ」。
FTD Technology最高経営責任者(CEO)のP. Bala氏は記者会見で「低消費のコモディティDRAMを設計する」と述べたが、エルピーダメモリの安藤氏は「設計対象の製品を限定するつもりはない。現在は設計者の力量を把握する段階。設計者の技術力を見極め、どの製品を対象にするかを決めていく」と補足した。Edison SemiconductorはSRAMやROMなどの設計経験者を中心に10名程度のエンジニアを採用しており、エルピーダメモリが日本でDRAM設計のトレーニングを実施した。 なおFTD Technologyは、'94年に設立された。'95年にはバンガロールに支所を設立。FTDはこれまで、複数の海外企業を相手にインドの拠点設立を支援する事業(「インソーシング」と呼んでいる)を展開してきた。最初はFTD Technologyの子会社としてインドに拠点を立ち上げ、運営が軌道に乗ってから、顧客である海外企業がFTD Technologyの子会社を買収するという図式である。 インドに不慣れな海外企業が直接投資で拠点を設けるには、リスクが伴う。インドに通じたFTD Technologyの助けを借りることで、海外企業は投資額とリスクを抑えながら、拠点を設立できる。日本企業の事例としては、東芝の組み込み用ソフトウエア開発拠点SoCrates Software Indiaがある。 □エルピーダメモリのホームページ (2006年4月13日) [Reported by 福田昭]
【PC Watchホームページ】
|
|