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IDF Japan 2006基調講演レポート
今後も電力効率を継続的に向上
会期:4月6日~7日 会場:東京プリンスホテル パークタワー インテル株式会社が主催するIntel Developer Forum Japan 2006が4月6日、7日の2日間、開催される。 初日にあたる6日に行なわれた基調講演では、同社が今後投入する予定の製品のロードマップおよびコンセプトが公開された。3月に米国で開催されたIDFと同じように、同社は今後も低電力/高性能を両立させたCPUを投入することが強調された。 ●技術革新が将来を創造する
基調講演の冒頭では、インテル代表取締役 共同社長の吉田和正氏が挨拶。 同氏はまず、「バブル崩壊後の経済の再建には、技術革新が欠かせない」と説明。アラン・ケイ氏の「未来を予測する最善の方法は、未来を創りだすことだ」という言葉が自身の理念であると紹介し、「今後も当社でさまざまな技術革新の提供により未来を創りだし、経済の再建を手伝っていきたい」と同社のビジョンを語った。 また、これまではパフォーマンスの向上にのみ注力してきたが、インテルのCPUがさまざまな機器で使われていくためには消費電力にも注力させなければならない。今後はこの低消費電力が重要なテーマになるだろうとし、同社の新しい「Core Microarchitecture」の提供により、消費電力の問題を解決できると述べ、今後のCPUの開発方針を明確に示した。
●今後も電力効率は継続的に向上 続いて、本社 上席副社長 兼 セールス&マーケティング統括本部長アナンド・チャンドラシーカ氏が、今後投入する予定のCPUのロードマップおよび開発コンセプトについて説明した。 同氏はまず同社から見た世界における日本市場のポジションについて、「PCの出荷台数は年々成長し続けており、ITに関する投資では世界の2番目に位置する巨大な市場である。また、ブロードバンドやインターネット、携帯、テクノロジーの普及率は世界を上回るペースで進行しており、当社にとっても重要な市場である」と話し、今後も日本に対して多額な投資を継続していく意向を示した。
Intelが2005年に行なった事業再編についても触れ、再編により市場の要求に迅速に反応できるようになったと説明。この結果、「消費電力とパフォーマンスに優れたプロセッサがもっとも市場に求められていると認識し、解決に向けてYonahをはじめとする製品を2006年度中に市場に投入することができる」とアピールした。 デュアルコアCPUを投入した理由について同氏は、「動作周波数を20%向上させると、13%の性能向上に対し消費電力は73%増加してしまい、効率が悪い。しかし周波数を20%を低下させると性能は13%低下するが、消費電力は約半分に抑えられる。つまり、80%の周波数でもデュアルコア構成を取ることで、シングルコアとほぼ同じの消費電力で73%の性能向上が見込める。デュアルコアを採用するメリットは極めて明確だ」と述べ、「Conroe」や「Woodcrest」をはじめとするデスクトップ/サーバー向け製品にデュアルコアを普及させていく方針を明確にした。
また、65nmプロセスを採用した製品では、90nmプロセス製品と比較し20%のトランジスタ性能の向上と30%のスイッチング電力の低下が実現できたとアピール。2007年に採用が見込まれる45nmプロセス製品についても同様に、65nm製品と比較し20%の性能向上と30%の電力低下が可能になると示した。
今後のロードマップについては、現存のNetBurstマイクロアーキテクチャとモバイルアーキテクチャをすべて「Core Microarchitecture」に統一させる方針。モバイル向け「Merom」では、既存のCore Duo T2600と比較し20%以上の性能向上とさらなるバッテリ駆動時間の延長が可能となり、デスクトップ向け「Conroe」ではPentium D 950(3.4GHz)と比較し40%の性能向上と40%の消費電力削減が可能になるという。ここで、Conroe(2.67GHz)の3DゲームにおけるベンチマークがPentium D 950の約1.5~1.7倍と示したスライドも公開された。
続いて同氏はConroe搭載PC、Viiv対応の小型PCを披露し、「Core Microarchitectureによりこれらの素晴らしい製品が誕生した。いずれの製品も消費者のニーズに応えた製品だ」とアピール。また、クアッドコアの「Kentsfield」を搭載したPCも壇上に登場し、初のクアッドコア動作品の展示とした。
同氏は、「2006年はデュアルコアへ移行する年となるだろう。そして2007年にはクアッドコアCPUも投入する。これらのマルチコアCPUの性能発揮にはアプリケーションがもっとも重要であると当社は認識しており、今後も綿密にソフトウェアベンダーと協業し、マルチスレッドを推進していきたい」と話した。 最後に同氏は、プラットフォームを推進する企業として、CPUだけでなくプラットフォーム全体の消費電力の削減も同社の課題だと話し、「OSやディスプレイ、通信/ストレージなどを含めた要素を標準化していくことが解決策になるだろう」と話しをくくった。
●仮想化技術はTCO削減の鍵 企業向け製品の概要やロードマップについて、本社 デジタル・エンタープライズ事業本部 副社長 兼 サーバー・プラットフォーム事業部長のカーク・スカウゲン氏が登壇し説明を行なった。 同氏はまずXeonやItaniumなどの企業向け製品の出荷が順調だと話し、SPARCやPowerを採用する企業が減少していると説明。これについて「XeonやItaniumは他社製品と比較して、ハードウェア、OS、ソフトウェアを幅広い選択肢から選択できる。これが採用数が増大する原因だ」と強調。また、「他プラットフォームではCPU数に応じて性能が向上しないものが多いが、Itaniumなどではスケーラブルに性能が向上する。これも他にはないメリットだろう」と誇った。
2005年後半から出荷されたPentium 4 6x2シリーズやPentium D 9xxシリーズ、2006年前半に投入されたCore Duoでは、全製品に仮想化技術(VT)を搭載している。この仮想化技術を採用したメリットについて同氏は、「クライアントユーザーはセキュアなパーティションを使い、管理者などは全権限を持ったパーティションを使うといったことが可能。アクティブマネジメントと組み合わせれば、ユーザーのOSがフリーズした時でも遠隔からクライアントを操作し修復することができる。企業が求めるTCO削減に大いに役に立つだろう」と説明した。 続いて日本ヒューレット・パッカード(HP)の執行役員 松本芳武氏が登壇し、Woodcrest(3GHz)を搭載したHPのサーバーとOpteron 280(2.4GHz)を搭載したSunのサーバーをベンチマークで比較。Opteronでは34.98秒で終えた処理をWoodcrestでは24.35秒で完了し、性能面での優位性をアピールした。
次にスカウゲン氏は、実際にTigerton-MPを搭載したシステム(4コア/2way、計8コア)によるCineBenchの8コアによる3Dレンダリングや、ConroeとPentium Dとの比較ベンチも見せ、新CPUはTCOの削減だけでなくパフォーマンス向上も可能だとした。
最後に同氏は、「低消費電力やアクティブマネジメント、仮想化技術などの提供により、企業のTCO削減に役立つような製品を投入していきたい」と述べ、講演を終えた。 □インテルのホームページ (2006年4月6日) [Reported by ryu@impress.co.jp]
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