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CeBIT 2006レポート

CeBIT会場レポート【AMDプラットフォーム編】
~Socket AM2、Socket Fマザーが事実上解禁に

DDR2 SDRAM対応版Athlon 64で採用されるSocket AM2ソケット

会期:3月9日~15日(現地時間)

会場:独ハノーバー市ハノーバーメッセ(Hannover Messe)



 Intelプラットフォーム同様、AMD向けのプラットフォームにおいても次期CPUに対応したマザーボードが事実上の解禁となった。すでに周知されているとおり、AMDは今年第2四半期にDDR2 SDRAMに対応したAthlon 64シリーズを投入する。これに合わせて現行の939ピンから940ピンの「Socket AM2」と呼ばれるソケットへ変更されることになっている。また、デュアルプロセッサ以上のOpteronシリーズにおいても、同様にDDR2 SDRAM対応版が投入され、ソケット形状が変更になる。

 今回のCeBITでは両対応製品とも多数の展示がなされているので、ここで一挙紹介したい。

●nForce 5xxシリーズを搭載するマザーも多いSocket AM2

 まずはDDR2 SDRAM対応版Athlon 64に向けたマザーボードについてである。開幕直前にNVIDIAが「nForce 500シリーズ」のデモを行なうと発表したことを受け、このチップセットを搭載したSocket AM2が非常に多く展示されている。

 ただ、今回、NVIDIAはライブデモを行なうのが主題で、製品のスペックなどについては詳しい話を公開しておらず、後日公開するとしている。また、マザーボードベンダーも(とくに展示パネルをコードネーム表記しているメーカー)は正式な製品名やスペックについて詳細は伏せている。それでも、各メーカーとも少しずつ話を聞かせてくれたので、会場の取材で分かった点や、現時点で不明な点を簡単にまとめてみたい。

 今回発表されたnForce 500シリーズのラインナップは下記のとおりで、各開発コードネームは括弧内に記したとおりになるようだ。

・nForce 590 SLI(C51XE+MCP55PXE)
・nForce 570 SLI(MCP55P)
・nForce 570(MCP55)
・nForce 550(MCP55S)

ハイエンド向けチップセットのノースブリッジとなる「C51XE」 サウスブリッジの「MCP55P」

 “ようだ”と表記したのは、最上位のnForce 590 SLIについて、少し情報が錯綜しているところがあるためだ。こうしたこともあって、後述のマザーボードの紹介においても、マザーボードのメーカーの展示やコメントに合わせてチップセット名を表記している。

 このコードネームと製品名の照合でとくに問題になっているのがnForce 590 SLIである。nForce4 SLI X16と同様に2チップ構成である点から分かるとおり、SLI利用時にPCI Express x16×2の状態で利用できるチップセットである。上記のコードネームの組み合わせだと、ノース/サウスともに新たにリリースされたチップで構成されているわけだが、nForce4 SLI X16のノースである「C51D」と、今回のMCP55Pを組み合わせた製品も存在している。これをnForce 590 SLIとするメーカーがあるため、nForce 590 SLIの正確な構成要件が見えてこないのである。

 また、C51XEとC51Dについての違いについても、Socket AM2への正式対応のみというメーカーと、PCI Expressのレーン数が増えているというメーカーの2つに分かれている。もっとも、ノース側は従来のC51DではPCI Express x16を持つトンネルチップでしかなかったわけで、今回レーン数が増えているとするとMCP側の可能性が高いようにも思われる。

 残る3製品は、それぞれnForce4 SLI、nForce4 Ultra、nForce4-4Xの後継に当たると見られる。ただし、主にSempronで利用されることになるであろう最廉価モデルのnForce 550(MCP55S)を搭載した製品は今回1製品のみだが、この製品が1,000MHzのシステムバスをサポートしているので、この点はnForce4-4Xのスペックを引き継いでいない可能性がある。

 このほか、主な仕様としてIDE×1、シリアルATA×6、ActiveArmor/MediaShield対応といったところが発表されているが、最廉価モデルのMCP55SはシリアルATAポートが4基に制限されているようである。

 NVIDIA以外のチップセットに目を向けてみると、ATIの次期サウスブリッジを搭載する製品が見受けられた。SB600のコードネームで呼ばれているチップで、搭載製品を展示したECSの担当者によると、すでにエンジニアリングサンプルを入手しており、量産品はおそらく5~6月にかけて供給が開始されると見ている。機能面では、IXP460とピン互換(IXP450とは非互換)で、シリアルATAIIをサポートするという。

 ATIのチップセットではサウスブリッジにULi製品と搭載する例が多かったが、ULiがライバルのNVIDIAに買収された今、後々の供給がどうなるか不透明の状況といえ、ATIのサウスブリッジの機能強化や信頼性向上も、今後注目を集めるポイントになりそうだ。

C51XE+MCP55PXEを搭載する、ASUSTeKの「M2N32-WS Professional」。製品名からも分かるとおりワークステーション用途を意識した製品で、PCI-X×2スロットを装備。8フェーズのVRMやStackCool2なども採用している C51XE+MCP55を搭載する、FOXCONNの「C51XEM2AA」。オンボードサウンドによるDTSデコードに対応する C51XE+MCP55XEを搭載する、ECSの「KN3 SLI2」。外付けSATAを含め、計8ポートのSATAポートを搭載している
nForce 590 SLIを搭載する、ABITの「Fatal1ty AN9 32X」。オーディオを別基板に持つ仕組みをとることでノイズの少ないサウンドが可能。Dolby Digital Live準拠の製品となる予定で、現在承認待ちとのこと nForce 590 SLIを搭載する、EPoXの「MNF55P SLI2」。拡張カードスロットやデュアルギガビット、外付けSATAなど、機能面もさることながら物理的なインタフェース類の多さが目に留まる製品 C51D+MCP55Pを搭載する、ASUSTeKの「M2N32-SLI Deluxe」。コンシューマ向けハイエンドモデルとなり、デュアルGigabit Ethernet、RAID対応のSATA×6、外付けSATA、IEEE 1394、8chサウンド、8フェーズのVRM、StackCool2といった構成
C51D+MCP55Pを搭載する、DFIの「LP UT MCP55-D2R」。LanPartyシリーズにラインナップされる製品で、別基板によるオーディオ端子や、オンボード上の電源/リセットスイッチも健在 MCP55Pを搭載する、ASUSTeKの「M2N-SLI Deluxe」。RAID対応SATA×6、Gigabit Ethernet、IEEE 1394、8chサウンドなどの構成。nForce4 SLIに比べてチップセットクーラーがシンプルなのが印象的 nForce 570 SLIを搭載する、GIGABYTEの「GA-MXE-S4」。デュアルGigabit Ethernet、デュアルBIOS、IEEE 1394bを搭載するGIGABYTEらしい製品
MCP55Pを搭載する、FOXCONNの「MCP55P2AA-8EKRS2」。VRMにデジタルPWMを採用しており、これによる信頼性の高さをうりにしている nForce 570 SLIを搭載する、Bravo Technologyの「JWNF570SLI」。このクラスでは珍しい幅の狭いATX仕様ということで気になったが、日本への出荷はシステムディストリビュータ向けへの可能性はあるものの、コンシューマ向けには考えていないとのこと nForce 570 SLIを搭載する、ABITの「KN9 SLI」。同社のチップセット以外はFatal1ty AN9 32Xと似た仕様で、Dolby Digital Live準拠予定も同じだが、サウンドは完全にオンボード実装になっている
MSIの「K9N Platinum」。おそらくnForce 570 SLIと思われるチップセットを搭載しているが、CMOSクリアを行なえるスイッチを備える nForce 570 SLIを搭載する、EPoXの「MNF55P SLI」。主な仕様は同社MNF55P SLI2に近いが、PCBがまったく異なっており、PATAポートのみが1基削減されている MCP55Pを搭載する、AOpenの「nMCP551-SLi」。PCI Express x1スロットの多さと、外付けSATAの搭載が特徴
MCP55Sを搭載する、ASUSTeKの「M2N」。廉価モデルとはいえRAID対応のSATA×4、Gigabit Ethernet×1などを装備している GeForce 6150+nForce 430を搭載する、ASUSTeKの「M2NPV-VM」。リアパネルにDVI端子を備えていることから、日本でも人気を集めそうな製品 nForce 6150+nForce 430を搭載する、Albatronの「KM51PV-AM2」。DVI端子を搭載することで話題を集めた「KM51PV」のSocket AM2版で、主な仕様は同じ
GeForce 6150+nForce 430を搭載する、FOXCONNの「6150M2MA-8EKRS2」。同社ではHDTV対応のソリューションとしているが、会場ではHDTV出力が可能な端子類は実装されていないモデルが展示されていた GeForce 6150+nForce 430を搭載する、DFIの「C51PV-AM2 INFINITY」。D-Sub15ピンに加え、DVI、HDTV対応のビデオ出力もリアパネルに装備する MSIの「K9NGM」。GeForce 6150とnForce 430または410を搭載すると思われる製品。リアパネル部にはDVI端子を備えている
GeForce 6100+nForce 430を搭載する、GIGABYTEの「GA-M51GM-S2」。RAID対応のSATA×4、IEEE 1394、Gigabit Ethernet、8chサウンドと最近のマザーのトレンドを無難に押さえた印象の製品 GeForce 6100+nForce 410を搭載する、FOXCONNの「6100M2MA-RS2」。展示機にはGigabit Ethernet、IEEE 1394が実装されていないが、これらを搭載したモデルもOEM向けには投入されるとのこと GeForce 6100+nForce 410を搭載する、Bravo Technologyの「JWGF61M2M」。こちらはmicroATXの製品
GeForce 6100+nForce 410を搭載する、ECSの「C51G-M940」。ローコストを売りにするmicroATXの製品で、メモリスロット×2、6chサウンド、Ethernetなど機能は最低限 GeForce 6100+nForce 410を搭載する、FICの「K2MC51」。同じレイアウトで、GeForce 6150、nForce 430を搭載した製品も用意しており、OEM先の要求に合わせて出荷する GeForce 6100+nForce 430を搭載する、EPoXの「MGF6100-MJ」。アドオンビデオカードを意識してか、ヒートシンクがユニークな形状になっている
GeForce 6100+nForce 410を搭載する、Jetwayの「JM2GT6-GTD」。DVI端子、HDTV対応ビデオ出力を装備する一方、PCI×5という今どきのマザーでは極めて貴重な構成 nForce4-4Xを搭載する、Albatronの「K8NF4X-AM2」。チップセットの機能としては800MHzのHT Linkまでしかサポートしないはずだが、本製品は1000MHz以上のHTをサポートするとしている ATI CrossFire Xpress 3200+ULi M1575を搭載する、ASUSTeKの「M2R32-MVP Deluxe」。ULi M1575によるSATA×4に加え、別コントローラによる内部×1、外付け×1のSATAポートを装備。同社のハイエンドマザーでは珍しくVRMは4フェーズとなっている
ATIのCrossFire Xpress 3200+SB600を搭載する、ECSの「KA3 MVP」。SB600はいまだリリースされていないが、すでに実装製品をラインナップしてきた ATI CrossFire Xpress 3200+SB460を搭載する、EPoXの「MD580 XR-J」。展示機にはSB460が搭載されているものの、SB600がリリースされ次第、切り替える予定とのこと ATIのRS485+SB600を搭載する、ECSの「RS485-M940」。RS485は従来のRADEON XPRESS 200の高クロック版とのこと
MSIの「K9AGM」。今回MSIのブースでは連日、マザーボードに詳しいスタッフがおらず、詳しいチップセット名を確認できていない。本製品はRADEON XPRESS 200を搭載すると見られる製品で、DVI端子を備えているのも特徴 K8M890+VT8237R+を搭載する、PCCHIPSの「A25G」。グラフィック内蔵、SATA×2、Ethernetといった構成の廉価製品 VIAのK8T890+VT8237Aを搭載する、ASUSTeKの「M2V」。SATA×4、8chサウンド、Gigabit Ethernetなどシンプルな構成の製品
VIAのK8T890+VT8237R+を搭載する、ECSの「K8T890-A940」。ECSのSocket AM2製品の多くはDDR2-800対応をうたっているが、本製品のみDDR2-667までの対応となっている ULi M1697を搭載する、EPoXの「MU1697 GLI/-J」。最近のマザーではBIOS制御が当たり前になった、PCI Expressのレーン切り替えを、ジャンパブロックを使って行なう方式をとっている
ASRockが展示した、同社のマザーボードに用意されているCPUアップグレード用スロットに挿して利用するSocket AM2対応ボード「AM2 CPU Board」 ASRockのULi M1697搭載マザー「K8NSLI-eSATA2」に、AM2 CPU Boardを挿して使用している例。AM2 CPU Board自体の幅が144mmなので、ケースの幅が狭いと窮屈になりそう

●Socket Fと呼ばれるLGAソケットを採用する次期Opteronマザー

 OpteronもAthlon 64同様にDDR2 SDRAM対応版が予定されており、これに対応したマザーボードも今回のCeBIT会場で展示された。

 シングルプロセッサ用のOpteron 1xxについては、Athlon 64同様にSocket AM2と呼ばれるソケットを採用しており、Registerd DDR2 SDRAMのサポートなどに違いある程度。デュアルプロセッサ以上のOpteronでは、ソケットがSocket FまたはSocket L1と呼ばれる1,207ピンのLGAタイプに変更されており、より高い注目を集めている。

 ただ、これに合わせたチップセットをNVIDIAがリリースし、それを搭載したマザーボードも展示はされているのだが、やはり正式なチップセット名は不明で、マザーボードメーカー各社は「nForce Professional!」と口を揃えている。こちらも詳細については、正式な発表を待ちたい。

次期Opteron 2xxシリーズなどで利用されるSocket F(L1) Socket Fデュアルのサーバー製品となる、ASUSTeKの「KFN5-DL SLI」。PCI Express x16×2、x1×1、PCI×1のスロット構成で、製品名からも分かるとおりSLIをサポートしている 同じくSocket Fデュアルのサーバー製品、ASUSTeKの「KFN4-DRE」。チップセットはnForce Professionalで、従来とは異なる新しいチップセットになるという
Serverworksのチップセットを利用した、MSIの「K9SD Master-A8R」。チップセットのSATA×4に加え、Adaptecのコントローラを用いて4ポートを追加搭載している。オンボードグラフィックにはMobility RADEON 7000を搭載 Serverworks HT-1000を搭載する、TYANの「Tiger K9HE」。オンボードグラフィックにVolari Z7を備えるほか、DDR2-533/667×8、SATA×4、Gigabit Ethernet×2といった構成 ServerworksのHT2000+HT1000を搭載する、TYANの「Tiger K8SSA」。133MHz PCI-X×1、100MHz PCI-X×2、PCI Express x16(内部はx8)×2を備えるサーバー向け製品
nForce Professionalを搭載する、TYANの「Tiger K8WE」。展示されていた他製品には付いていない、クーラー用のリテンションが取り付けられている GeForce 6150+nForce 430を搭載する、GIGABYTEの「GA-3PXSL」。ワークステーション用の製品で、最大4GBのECC付きDDR2 SDRAMをサポート ULi M1697を搭載する、MSIの「K9N Master-A4R」。Socket AM2を利用したワークステーション向け製品で、Athlon 64とOpteron 100シリーズをサポートする。オンボードグラフィックにXGIのVolari Z7(16MB)を搭載

□CeBIT 2006のホームページ(英文)
http://www.cebit.de/

(2006年3月13日)

[Reported by 多和田新也]

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