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IDFレポート

【展示会場レポート】
次世代モバイルプラットフォームのコンセプトモデルを展示

会期:3月7日~9日(現地時間)

会場:米San Francisco
   Moscone Center West



 IDFでは、ShowCaseと呼ばれる展示会場がある。ここには、Intel自身の出展や関係する各社の展示がカテゴリごとに別れて行なわれている。ただ、CeBITと期間が重なった関係か、いつもより出展が寂しい感じだ。特にグラフィックスベンダーやマザーボードベンダーがほとんど参加しておらず、何だか部品の見本市みたいな感じである。

 気になったものは、以下に写真レポートという形で紹介するが、その他に気になった点などをレポートすることにしよう。

 会場内で人気があったのは、モバイル系のブースである。特にUMPCのまわりには人が多かった。さすがに会場内では、Origamiのデモは行なっていなかったし、CeBITで試作機を展示したメーカーも出展しておらず、Intelのコンセプトモデルが中心だった。

 展示会場をまわっていて気になったのだが、省電力技術には、ラトナー氏の基調講演にも登場したSelf Refresh Displayのようにシステムを止めてしまう技術が少なくない。しかし、IntelがHyper Threadingを提唱して以来、マルチスレッドのアプリケーションや、マルチスレッド化してバックグラウンドで処理を進めるソフトウェアも増えてきた。こうした状況を考えると、システムを簡単に止められない状況がそこにある。

 すでにWindowsやLinuxでは、サービスやデーモンといった形でバックグラウンドで動作するタスクがあり、簡単にはシステムを止めにくい。こうしたソフトウェア側の動きと省電力は、それほど相性が良くないのではないだろうか。逆に、省電力を重視するマシンでは、省電力対応のアプリケーションが必要なのかもしれない。たとえばOfficeの次のバージョンやWindows Vistaでは、GUIがよりグラフィックス重視となるが、これを低消費電力向けに作られたGPUで行なうのは辛いものがあるだろう。

 基調講演でもちょっと紹介があった2007年に登場する新モバイルプラットフォーム「Santa Rose」用のコンセプトモデル「Montevallo」は、動作するプロトタイプ(ただし中身はSanta Roseではない)が置かれ、単なるモックアップだけの展示とは違っていた。これまで、コンセプトモデルというとかなり奇妙なものが多く、こんなの誰が使うんだ、といった感じだったが、今回のコンセプトモデルは、ヒンジ部分は特殊だが、それ以外はわりと普通のモバイルPCに仕上がっている。

 Intelの研究開発関連の展示も行なわれていた。ただ、モノを見せるというより、PowerPointでのプレゼンテーションが中心で、悪く言えば、理系大学の真面目なクラブの研究発表みたいな感じ。Tera-Sacle世代にむけた、低消費電力のレジスタファイル(CPUのレジスタを実現する回路)などの発表もあったのだが、なにせ実物は、試作した回路のウェハしかない。説明員の話によると、CPUの中では、最も電力を消費する部分で、全体の25%にもなるそうだ。また、IntengerのALUと合わせて全体の半分を消費し、CPU内部で最も熱い部分となる。ここを改良することで、消費電力を削減できるのだという。

■High Isoration アンテナ

LCDの横に付いている基板がIntelが研究中のHigh Isorationアンテナ。ノートPCなどに内蔵する無線LAN用のもの。他の信号からの妨害を受けにくくなっているという 同じアクセスポイント(ディスプレイ上のボックス)からの電波に対して、通信を妨害する信号を送り、双方の通信速度を測定するデモ。通常のアンテナ(グラフ左)では通信が不可能になったのに対してHigh Isorationアンテナ(グラフ右)では通信が続いている

■UMPCプロトタイプ「Erath」

IntelのUMPCプロトタイプ「Erath」。液晶部分が回転するようになっていて、キーボードを使っての操作も可能になっている。キーボードは、斜めに配置されたキートップを持ち、PDAなどのオプションキーボードなどでよく見かけるタイプ。クリック感があって押しやすい。両手で持って、親指での入力が可能

■FB-DIMM

Memory Implementers Forum加盟各社のFB-DIMM。コントローラを持ち、CPUとはP2P接続するのだが、どうもコントローラであるAMB(Advanced Memory Buffer)の発熱が多くなってしまったらしく、一部のメーカーはヒートシンクを付け始めた

■Intel Storage System SS4000-E

PCIインターフェースを持ったXscaleプロセッサ80219を使ったネットワークストレージ。最大4台までのHDDが接続可能で、RAID 0,1,5,10をサポートする。HDDにはシリアルATAが採用され、Gigabit Ethernetを持つ

■2006モバイルコンセプトモデル「Montevallo」

 Santa Rosaプラットフォーム向けのコンセプトモデル。ヒンジ部に特徴があり、タブレット型、クラムシェル型などに変形する。これまでのモバイルコンセプトモデルに比べると、割と大人しく奇抜な感じがしない。

Montevallo 12型プラットフォーム。デスクトップ液晶ディスプレイのアームのような構造を持ち、本体側と液晶側にヒンジがある。またその間の部分は伸縮が可能で、キーボードの上をおおうような配置が可能。なぜ、こんな複雑になっているのかというと、飛行機の中で利用する「Airline Seat」対応のため。狭いエコノミークラスの座席だと、前の人がイスを倒してしまうと、クラムシェル型では、液晶を手前に倒さなければらならくなる。しかし、この形状にすれば、液晶の角度を見やすいままにできる Montevallo 14型プラットフォーム。自宅でAVコンテンツを楽しむ場合も想定した大画面モデル。ドッキングステーションを使用した状態

Montevallo 14型プラットフォーム。単独使用時。液晶ヒンジが本体側面のレールに取り付けられていて、液晶全体を前後にスライドさせることができる。一番手前に持ってきて倒せばタブレット型になる

■Florenceの実機が登場

2004年に提案されたコンセプトモデルFlorenceをベースにしたWinBookのMobile Entertainment PC(左)とAlianwareのマシン。液晶の下にキーボードを格納できる

■Intelの水冷CPUクーラー

Intelの水冷CPUヒートシンク。ATX(写真右)とBTX(写真左)用がある。ただ、この水冷CPUクーラーは、CPUだけしか冷却できないので、電源ファンやビデオチップのファンも当然必要。冷却能力自体は高いが、静音のためのソリューションではないようだ
ATX系では、匡体背面のファン部分にラジエーターを装着、パイプでCPU側のモーターモジュールと接続する。BTXでは、匡体前面のファン部分にラジエータを装着する
モーターは、クーリングファン用のものを応用したもので、タンク内に設置されたインペラー(羽根車)をタンクの外側に付けた電磁石で回転させる。このため、電源はファン用のものがそのまま利用できる

□IDF Spring 2006のホームページ(英文)
http://www.intel.com/idf/us/spring2006/
□IDF Spring 2006レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/link/idfs.htm

(2006年3月10日)

[Reported by 塩田紳二]

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