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Mobility Radeon X1600は最新の省電力技術を搭載
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12月7日 開催
ATIテクノロジーズ・ジャパン株式会社は7日、米国時間の5日に発表されたノートPC向けGPU「Mobility Radeon X1600」の国内発表会を開催した。
信垣育司氏 |
既報の通り、同GPUは同名のデスクトップ向けのGPUのアーキテクチャをほぼそのまま踏襲し、モバイル環境に必要な省電力技術などを実装したもの。ピクセルシェーダ数は12、バーテックスシェーダー数は5とデスクトップ向けと同スペック。リリースではコアクロックは不明だったが、今回475MHzであることが明らかにされ、これもデスクトップ向けに近いクロックとなる。メモリバス幅は128bit。
省電力機能は「PowerPlay 6.0」にバージョンアップ。これまでのクロックや電圧の動的な最適化や、バッテリ駆動時にPCI Expressの接続レーン数を16から1に減らして消費電力を削減する「Dynamic Lane Count Switching (DLCS)」などを踏襲。加えて、シリコンにバイアスをかけることで、リーク電流を減らす「Back Bias」技術を搭載。動作していない部分への電力供給を停止する、クロックゲーティングについても適応箇所を増やした。
説明にあたった同社マーケティング部部長の信垣育司氏によれば、Back Biasにより、若干性能は犠牲になるものの、消費電力は2割程度削減できるという。また、DLCSでも1~2Wの省電力効果があるという。
90nmプロセスの採用も低消費電力化に寄与しているが、微細化でダイサイズが0.13μmプロセス製品のおよそ半分になったことで、歩留まりも向上し、コストも低下した。
Mobility Radeon X1600の概要 | クロックは475MHzに到達 | PowerPlay 6.0の概要 |
機能面では、DirectX 9.0cによるShader Model 3.0にフル対応。競合製品はHDR(High Dynamic Range)レンダリング時にアンチエイリアスが効かないが、ATI製品ではそういった制限がないとした。
同社独自の動画高画質化機能「Avivo」にも対応。この点についても、ベクタ適応型のデインタレーシングの採用により、競合製品よりエッジのジャギーを抑え、ベンチマークも約2倍のスコアを達成したと、その優位点が示された。
Mobility Radeon X1600の3D機能 | ブロックダイヤグラム | アンチエイリアスの有無による画質の差 |
Avivoの概要 | デインタレーシングの適用結果 | HQVベンチマークの結果 |
発表会には、同社代表取締役社長の森下正敏氏と、ATI Technologies本社でPCビジネスユニット上級副社長を務めるリック・バーグマン氏も参加し、同社の近況や、2006年のビジョンなどを示した。
森下氏によれば、2005年度のモバイル向けディスクリートチップにおける同社シェアは10四半期連続で7割を超えるといい、ノートPC市場はデスクトップPCの年率5%に対し、18%の勢いで伸びることが見込まれていることから、今後もこの分野に注力していくとした。
バーグマン氏は、2006年のトレンドについて、Intelが提唱するデジタルホーム向けのプラットフォームブランド「Viiv(ヴィーブ)」や、Blu-ray/HD-DVDの登場により、PCと家電の融合がさらに加速するとコメント。
また、Windows VistaやDirectX 10の登場により、PCグラフィックスが新たな局面を迎え、新しい需要を生み出すとの展望を示した。
同社自身の目標としては、PCグラフィックスにとどまらず、ゲームコンソール、デジタルTV、ハンドヘルド機などグラフィックスが用いられるすべての市場でリーダーとなるべく、究極のビジュアル体験をもたらすGPUを提供していくと語った。
森下正敏氏 | リック・バーグマン氏 | 会場に展示されたASUSTeKのMobility Radeon X1600搭載機「A7G」。Pentium M、Intel 915PMチップセット、ワイド17型液晶を搭載 |
□ATIテクノロジーズ・ジャパンのホームページ
http://www.ati.com/jp/
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【12月6日】ATI、ノートPC向け12ピクセルパイプのMobility Radeon X1600」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1206/ati.htm
【8月26日】【IDF】デジタルホーム向けの新ブランド「Viiv」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0826/idf05.htm
(2005年12月7日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]