[an error occurred while processing the directive]

インフィニオン、戦略的事業再編説明会を開催
~メモリ事業を分社化

森康明 代表取締役社長

11月22日 開催



 インフィニオンテクノロジーズジャパン株式会社は22日、2005年度の業績、およびドイツ時間の17日に発表されたメモリ事業の分社化などについて、報道関係者に対し説明会を開催した。

●セキュリティチップでゲーム市場へ参入

2005年および2004年度の業績

 2005年度の売上高は前年比6%減の67億5,900万ユーロ、税引前損益は1億8,300万ユーロの損失で、2億5,600万ユーロの利益を出した前年度から大きく減益した。日本法人の売上高の推移は、2005年度こそ前年度を割り込んだものの、市場全体の成長率が落ち込む中、売上を伸ばしつつある。

 事業分野別にみると、自動車/産業/マルチマーケット事業は、競合他社によるセキュリティチップカードの価格押し下げの影響を受け、収益が伸び悩んだが、好調な自動車分野の牽引により、黒字となった。

 '94年以降、自動車向け半導体製品の市場成長率がおおむね10%にとどまる中、同社の成長率は平均20%の勢いで伸びており、欧州は1位、米国では3位、日本でも8位のシェアを誇るという。

 クレジットカードなどに使われるチップカードは、他社の価格攻勢による影響で赤字となっているが、すでにリストラを行なっており、来年度以降黒字化を見込んでいる。また、MicrosoftのXbox 360に同社のチップが採用されるなど、今後ゲーム市場へも参入を図る。

自動車関連での売上と利益の推移 セキュリティチップでゲーム市場へ参入

●プラットフォーム化のあおりで通信事業は赤字

通信事業の売上と利益の推移

 通信事業は、携帯電話のプラットフォームビジネスの浸透による影響で、在庫がたぶつき、大きな損失を出す結果となった。

 説明を行なった森康明代表取締役社長によれば、これまで携帯電話向け半導体メーカーはキャリアーに対し、チップのみを提供していたが、昨今では基板やソフトウェア、果ては本体までを設計/開発し、プラットフォームとして納入するビジネスへと転換を図っているという。

 これにより、キャリアーは製造技術をもたずとも、携帯電話の開発ができるようになった。一例として、中国では2002年にはGSM端末は数十機種程度しかなかったものが、2004年には800機種にまで膨れあがったという。

 同社は、この影響をもろに受ける形となったが、製品の付加価値を高めることで収益の改善を目指す。

 森氏は、同社のRF製品がNTTドコモの「FOMA 900シリーズ」5製品中4製品に採用されていることを引き合いに出すとともに、「当社は(設計が難しい)アナログ部分について他社にない高い技術力を持っている。ソフトウェアの開発力もあり、プラットフォームとしての提供するのみにとどまらず、製品としての承認を取得するノウハウも持っている」と、技術力/開発力に大きな自信をみせており、巻き返しを狙う。

 また、先行投資をしているVDSL2についても、2006年度第1四半期以降、量産を開始する予定で、収益への寄与が見込まれる。

●メモリとロジックのプロセスに乖離

 メモリ事業は、大幅な価格下落により、第3四半期に大きな損失を出したが、通年では黒字。90nmプロセスの立ち上げ成功や、技術的なハードルの高さから競合の少ないビデオカードメモリでの好調な売上が貢献した。

メモリ事業の売上と利益の推移 ビデオメモリのシェア推移

 その好調なメモリ事業を分社化する理由について、森氏は、「カスケーディングモデル」と呼ばれる、工場の転換プロセスがうまく働かなくなったことを挙げた。

 半導体製品は、「ムーアの法則」の表現で知られるように、年々微細化が進み、その集積度が増している。しかし、アナログ系CMOSなどは、DRAMやプロセッサ、ロジック回路などと比べ、微細化が要求されておらず、微細化の度合いが乖離しつつあると森氏は指摘。

 従来であれば、DRAM用として立ち上げた工場が陳腐化すると、次にCMOSロジックへ転用し、ロジック用としても陳腐化したら、自動車や電力用製品へと転用を図り、長期間投資を活かすことができたが、現在では微細化レベルの乖離から、転用が難しくなってきているのだという。

各種半導体製品の微細化の推移 カスケーディングモデル

 もう1つの要因は、ウェハサイズの違い。DRAMでは300mmウェハが主流となりつつあるが、ロジック用で300mmウェハを用いると完全なキャパシティ過多になるという。

 これらの理由から、同社ではメモリ事業をそのほかのロジック事業から分離し、2006年7月にメモリの新会社を設立する。

 メモリ事業は、微細化の維持に莫大な投資が必要となるが、新会社では積極的に他社と提携を行ない、生産委託することで、最新プロセスへの対応を維持するとともに、研究開発投資を確保し、差別化を図っていく。

□インフィニオンテクノロジーズジャパンのホームページ
http://www.infineon.jp/
□関連記事
【11月18日】独Infineon Technologies 、メモリ事業を分社化
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1118/infineon.htm

(2005年11月22日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
お問い合わせに対して、個別にご回答はいたしません。

Copyright (c)2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.