●急な旅立ちでノートPCが必要に 家庭の事情で、急に1週間近く東京を離れることになり、しかたなくノートPCを購入した。 例によって、予算は少ないので、今回も10万円をめどに製品を探した。また、かなり急で4日しか余裕がなかったので、仕様についてはある程度出来合いのもので諦めることにした。 それでも、長期の持ち歩きになるのがわかっているので、できるだけポータブルな製品をこころがけたのだが、なかなか難しい。 結局、落ち着いたのがhpの「nx4820」という製品で、Amazonで89,990円だった。ざっと、仕様を書き並べると、CPUにCeleron M 360(1.40GHz)、メモリにPC2700 DDR SDRAM 256MB、40GB HDD、DVD/CD-RWコンボドライブ、IEEE 802.11b/g対応無線LAN、1,280×768ドット(WXGA)表示対応14型ワイドTFT液晶、Windows XP Home Editionなどだ。 HPの直販サイトでも89,880円からなのだが、その場合は光ドライブがDVD-ROMになる。CDぐらいは焼く可能性があるのと、BTOにすると間に合わないタイミングだったので、Amazonに頼んでしまった。 いわゆるツルピカタイプのワイド液晶は初めてだし、HPのラインナップの中では小さい方とはいえ、重量は約2.3kgある。やや不安がないわけではなかったが、背に腹は代えられないというところだ。 ●初めてのワイド液晶体験 オーダーしたときのAmazonのステータスは“24時間以内に発送”モードとなっており、翌々日の朝に到着した。 前回のnx5000とは異なり、ごくふつうのサイズの段ボール箱だ。パッケージ内容もごくふつうで、nx5000のときのようにドライブが別梱包になったりはしていない。AmazonもPCを売り慣れたのかもしれない。 箱から取り出したnx4820は、おもっていたよりも一回り大きかった。奥行きは少ないが、幅はたっぷりしている。ボディカラーはシルバーグレーで、液晶裏の部分だけ黒のツートンカラーとなっている。
ツルピカタイプの液晶は、実際に使ってみると、割と早く慣れることができた。ときおり、自分自身が写り込むのが、やや気になるが、デジカメの写真などを見るときは、ノングレアタイプよりも見栄えがすることはたしかだ。 ただし、液晶自体の視野角は狭い方で、動画を見るときなどはパネルの角度で調節する必要がある。また、液晶の左右下隅はわずかに暗くみえる。個人的には気にならないが、一応、記しておく。
1,280×768ドットのワイド液晶は、1,024×768ドットの左右に、ちょっとおまけがついたぐらいの感じだ。最初の数日はワイド液晶に違和感があったのだが、旅先から帰って通常の液晶を見ると幅が狭く感じたほどに慣れてしまった。ブラウザの横にメッセンジャーを表示しておくのに、ちょうどいい広さだ。 余裕のある横幅を生かして、キーボードは19mmのフルピッチで、中心となる文字キーの部分はすべて等間隔だ。最下段のctrlやaltキー周辺は、やや詰まったピッチになっているが、このあたりはWindowsキー付きの日本語配列キーボードとしては、いたしかたのないところだろう。 カーソルキーは上下が短いタイプだが、独立していて使いやすい。insertやdeleteはちょっと遠いが、隅に近いので、なんとか打てる。home/end/pg up/pg downはenterキーの右側に配列されている。配列はやや独特だが、余裕のある横幅を生かして、enterとの間を空けており、打鍵ミスを減らそうという配慮は見られる。 キートップ自体は薄い方だが、キーストロークは、ノートPCにしては深いタイプ。タイピング時のクリック感もそれなりにちゃんとあるので、ブラインドタッチしやすい。
ポインティングデバイスはタッチパッドで、マウス使用時のためにオフにするスイッチがついている。パッドの右側と下側はスクロールのエリアとなっている。パッド全体の位置はやや右寄りで、パッドの中心がキーボードのHとJの間あたりになる。 旅先で使っているときはパッドを使っていたが、多ボタンマウスに慣れているので、机上で使うときはマウス中心になっている。右の手のひらが触れやすい位置なので、オフスイッチはありがたい。 ●独立した無線LANやミュートスイッチ キーボード上部には、無線LAN、電源、ボリューム上下、ミュートの各ボタンが配置されている。無線LANのON/OFFと、音声のミュートが独立したボタンで操作できるのは好感が持てる。 nx4820では、インターフェイス類はボディの左右に配置されている。 USBインターフェイスは3つで、左1つ、右に2つ、ばらけた形で配置されている。右の2つも光ドライブの左右に分かれているので、USB機器類がお互いに干渉することなく使いやすい。 ほかにも、Ethernet、モデム、VGA、Sビデオ、IEEE 1394を、それぞれ1個ずつ備える。右手前にはメモリカードリーダーがあり、SDカード/メモリースティック(PRO)/xD-Picture Cardの兼用スロットとなっている。デジカメのデータの吸い上げにはとても便利だ。ただし、これらのスロットはカードの頭を押すと飛び出てくるプッシュオフタイプではないので、最初はちょっととまどう。おかげで、SDカードにはひっぱり出しやすいように、爪をかけるための溝があるのに、初めて気づいた。CFについては、本体左側のPCカードスロットに別売のCFアダプタを入れることになる。 ACアダプタは、65Wタイプで比較的小さい。ただし、ACケーブルは極太で、かさばる感じだ。出張などの場合は、ACケーブルの代わりに差し込むプラグが付属しており、これを使うとACアダプタを直にコンセントに接続でき、太く重いACケーブルを持ち歩かなくてすむので、こちらをお勧めする。 ちなみに会社と自宅のそれぞれにACアダプタを置くために、ACアダプタを単体で購入しようとすると、Amazonでは販売されていなかった。結局、hpの直販サイトで注文したが、こちらでも在庫がなく、到着までに4日かかった。ちなみにACアダプタの型番は「DC359A#ABJ」で、直販価格は4,410円だ。
●シンプルなソフトウェア環境 プリインストールされているアプリケーションソフトはごく少ない。MyDVDをはじめとする一連のオーサリングソフトと、DVDプレーヤーのWinDVDぐらいだ。ちょっと変わっているのはSunのJavaとAppleのQuickTime Playerが入っていることだろうか。 私自身は自分自身で環境を作るのが好きなタイプなので、こういう方向は好ましい。 動作速度は、特に不足はないが、グラフィックスがチップセット組み込みで、メインメモリから最大128MBがグラフィックス用に取られてしまう。ユーザー側でグラフィックス用の領域の大きさを指定することはできない。メインメモリの増設をしておかないとスワップが発生して使いにくい。 結局、512MBのSO-DIMMモジュールをすぐに追加してしまった。メモリモジュールの交換は、本体裏側のフタを開けるだけで、簡単にできる。
合計768MBとすることで、フォトレタッチ用のグラフィックソフトも、余裕をもって使えるようになった。 ●必要かつ十分な実用ノート 都合3カ月ほど使った感想を言えば、「必要かつ十分な実用ノート」ということだろう。メモリ増設をしたあとは、実用面で困ったことはほぼない。 ただし、思ったよりも大きいファンの音とか、意外なほど熱くなる本体左のパームレスト、視野角の狭い液晶など、チープさを感じる点も多い。 品質には問題を感じないが、モノを持つ楽しさとか、愛着を呼ぶような部分にはコストがかかっていないということだろう。 言ってみれば、ビジネスホテルのような性格のPCなのだと思う。シティホテルのような厚みのあるサービスや豪華さは得られないが、宿泊するにあたっては何らの不都合も感じない、というところだ。自分が何を必要としているかをきちんと把握して選択すれば、よい買い物だと思う。でも、時間と予算に余裕があれば、ノングレアの液晶やPentium Mの搭載も考慮するといいだろう。 □製品情報 (2005年10月20日) [Reported by date@impress.co.jp]
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