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キングソフト、中国発のセキュリティソフト
~100万本を無償で提供

ダウンロード開始のカウントダウンを行なう中国キングソフト幹部とキングソフト・広沢社長

9月14日 発表



 キングソフト株式会社は、中国の金山軟件(英語名=King Soft)が開発したセキュリティ対策ソフト「金山毒覇」の日本語版、「キングソフトインターネットセキュリティ2006」の日本での提供を開始。同社のWebサイトやベクター、窓の杜などを通じ、100万本を無償でダウンロード提供していく。

 中国のキングソフトは、'89年に設立したコンシューマ向けPCソフトの開発、販売を行なっているメーカー。IBMのPC事業を買い取ったLenovoのグループ会社であるLenovo Holdingsが株式の30%を所有する筆頭株主となっている。

 中国では1,200人の従業員を抱え、うち600人が研究開発エンジニア。セキュリティソフトだけでなく、オフィスソフト、オンラインゲームソフトの3つの事業分野のソフトを開発している。

中国キングソフトの組織図 中国でのセキュリティソフトに関する説明

中国キングソフトの雷軍社長

 セキュリティソフトは'97年から開発を開始。「2000年にリリースを開始したが、5年間で中国で最も人気の高いセキュリティソフトとなった。中国のセキュリティソフト市場は、Symantec、TrendMicroといった海外メーカー、さらには中国のメーカーが商品を提供し、世界で最も競争の激しいマーケットだが、当社の製品は他社製品に比べて使い心地の良さが大きく評価され、人気を獲得することができた」(中国キングソフト・雷軍社長)

 日本市場への進出を決めた理由については、「日本は知的財産の権利が守られている国であり、世界でも有数のマーケット規模を持つ国であり、参入のメリットは十分にあると判断した。日本での事業展開については、中国の当社と日本企業、投資家などによる合弁会社『キングソフト株式会社』を設立した。ソフトとインターネットを融合させた戦略により、シェア拡大を目指し、将来的には日本市場でのIPOを目標としていく」(雷軍社長)と説明している。

 キングソフトインターネットセキュリティ2006は、「アンチウイルス機能」、「迷惑メール防止機能」、「アンチスパイ機能」、「個人情報保護機能」、「不正侵入防止機能」という5つの機能を持つ。

OSよりも先にキングソフトインターネットセキュリティ2006が起動

 「製品の最大の特徴は、OSを立ち上げる前にキングソフトインターネットセキュリティ2006が立ち上がること。ウイルスが動き出す前に機能する仕組みとなっているので、OS起動時に動き出すタイプのウイルスにも対抗できる。アップデートについても、平日は1日あたり3回、休日でも1回はアップデートを行ない、ほぼリアルタイムで脅威に対処できる」(雷軍社長)

 その他の特徴として、次の3点を挙げる。

 (1)中国で1,000万人以上のユーザーに利用されていることによる信頼性の高さ
 (2)他社のソフトに比べ重さがない。メール受信にかかる時間を実験したところ、他社製品に比べ、最短時間で受信。インストールの時間も短時間で済み、再起動の必要もない
 (3)インストールの際に個人情報の入力を求めない

 「アンチウイルス機能」は、軽快な動作が特徴。全てのウイルスについて完全にスキャンを行なう機能、よく出回っているウイルスのみを対象に高速スキャンを行なう機能の両方を持っているので、ユーザーの状況に応じて使い分けることができる。スキャンしたい箇所についても指定ができるので、急いでいる場合は一部分のみをスキャンすることも可能となる。アップデートファイルは、1日に約3回更新版が提供され、ユーザーは自動受信によりアップデートを行なう。

 「ファイアウォール機能」は、ファイアウォールに関するログを表示。接続されているネットワークについて、受信、送信のデータ量をリアルタイムに表示する。起動中のアプリケーションについても、個別にネットワークのアクセス許可設定ができる。

 「アンチスパイ機能」は、スキャンする場所を指定してスパイウェアの有無をスキャンすることができる。プロセス管理では、起動中のプログラムを管理。スタートアップ機能で、自動的に起動するアプリケーションに制限をかけることができる。

キングソフトインターネットセキュリティ2006の主な機能 キングソフトアンチウイルスの画面と主な機能
キングソフトファイアウォールの画面と主な機能 キングソフトアンチスパイの画面と主な機能

 日本では、100万本をダウンロードによって無償提供。無償提供であっても、1年間アップデートを提供し、メールを使ったサポートも行なっていく。利用期間が1年を経過したユーザーに対しては、年間980円の更新料金を徴収する計画だ。

 提供本数が100万本を突破した場合には、無償アップデート期間を半年にして提供していく。

 ダウンロードできるサイトは、キングソフトのWebサイトのほか、インプレス窓の杜、ベクター、エキサイト、シーサー、ナスカ、ティーカップ・コミュニケーション、ベアコミュニケーションズ、ツボックス、インビジブルバンド、エーシーアール、遊ぶネット。

日本ではキャンペーンとして100万本を無償で提供開始 無償提供ながら、アップデートについても1年間は無償で提供する 次年度からは980円支払えばアップデートが可能となる

日本法人の広沢一郎社長

 100万本を無償でダウンロード提供することを決定したのは、「日本のコンシューマ向けセキュリティソフト市場を見ると、Symantec、TrendMicro、ソースネクスト、McAfeeの大手4社だけで9割以上のシェアを獲得。さらに残りの10%以下のシェアを7社で分けあっている状況。当社の製品は、品質には自信はあるものの、これまでの知名度がないこともあって、そう簡単に市場では受け入れられないと判断した」と日本法人の広沢一郎社長は説明する。

 無償で提供することで、利用者の数を増やし、「市場は大手メーカーの寡占化が進展してはいるものの、何の対策も採っていないというユーザーも2割程度存在するという調査結果もある。その理由として、セキュリティソフトの価格が高いことがあげられている。今回、100万本を無償提供することで、何の対策も採っていないというユーザーに当社の製品を利用してもらいたい」(広沢一郎社長)という方針だ。

□キングソフトのホームページ
http://www.kingsoft.jp/
□ニュースリリース
http://www.kingsoft.jp/release/05_0914.htm
□製品情報
http://www.kingsoft.jp/products.htm
□関連記事
【8月10日】キングソフト、セキュリティソフトで日本市場に参入
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0810/kingsoft.htm

(2005年9月15日)

[Reported by 三浦優子]

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