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IDF Fall 2005会場レポート
Intel 955X搭載マザーがATIのCrossFireをサポート
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IDF会場内に設けられた展示場である「Technology Showcase」 |
会期:8月23日~25日(現地時間)
会場:Mosconeコンベンションセンター
(米国カルフォルニア州サンフランシスコ)
Intel Developer Forumの展示会場である「Technical Showcase」をはじめ、会場内にはさまざまな最新/次世代機器が展示されている。ここでは、それらの中から興味深いものをピックアップして紹介したい。
●D955XBKがATIのCrossFireをサポート
NVIDIAのSLI、ATIのCrossFireといったマルチビデオカード技術が次々に発表され話題になっている。これらの技術は対応チップセットとPCI Express x16スロットを2基搭載するマザーボードによって実現可能な技術だが、その対応チップセットは、NVIDIA、ATIの各ベンダーがリリースしているチップセットに限られていた。
しかしながら今回のIDFにおいて、Intel 955Xを搭載する「D955XBK」がATIのCrossFireをサポートすることが正式に発表された。元々D955XBKはPCI Express x16スロットを2基装備したマザーボードにも関わらず、こうしたマルチビデオカード技術のサポートについて正式な言及がなかったわけだが、ようやく2つ目のPCI Express x16スロットの有効な使い方が示された格好だ。あとは、CrossFire対応ビデオカードの登場を待つばかりとなった。
ちなみに、対するNVIDIAもTechnical Showcase内においてブースを構えており、先日発表された「nForce4 SLI X16」を搭載する、Dellの「XPS600」のデモを行なった。ただし、Intel 955XのNVIDIA SLIサポートについては、プランがないとしている。
●Intel 854を搭載したマザーボードが展示
デジタルホーム向けPCのプラットフォームブランド「Viiv」が発表され話題を集めているが、デジタルホームではコンシューマエレクトロニクス(CE)向けのプラットフォームも策定している。春のIDFではCE向け製品としてIntel 830/815といったチップセットを利用したセットトップボックスなどが展示されたが、今回のIDFでは、4月に発表されたIntel 854を搭載したマザーボードが展示されている。
展示されたのは2枚で、一枚はIntelが発表したIntel 854 Developer Platformの基本構成モデル。超低電圧版Celeron M 600MHzを搭載するほか、512MBのDDR333メモリをオンボード実装しているのが特徴。背面部にはRCAタイプのオーディオ入出力やS/PDIF出力も備えている。
もう1製品はGIGABYTE製の「GA-IV01」と名付けられた製品。Intel 854 Developer Platformの基本構成モデルよりも一回り小さいのが特徴。CPUは実装されていないが、チップセットのスペックとしては400MHz FSBのPentium M/Celeron Mが搭載可能となる。やはりメモリをオンボード実装しているほか、RCAタイプのオーディオ入出力を装備。さらに本製品ではDVI出力も備えている。
超低電圧版Celeron M 600MHzを搭載するIntel 854 Developer Platformの基本構成モデル | さらに小型のセットトップボックスなどに利用できそうな、GIGABYTEの「GA-IV01」 |
●モバイル向けのRAID対応ICHを展示
Intelのデスクトップ向けチップセットは、Intel 875P/865シリーズと組み合わせられたICH5以降、ICH5R/6R/7RといったRAID対応のICHもラインアップしている。こうしたこともあって、複数台のHDDを搭載することが難しくないデスクトップでは、RAIDが身近な存在になっている。
一方のノートPCでは、現在発売されているIntel 915PM/GMと組み合わせられるICH6-Mにいたるまで、RAID対応版はラインナップされていない。だが、今回のIDFで、RAID対応の「ICH7M-DH」を使い、実際にRAIDを構築したデモが実施された。
ICH7M-DHの「DH」は、その名のとおりDigitalHomeの略。つまり、Napaプラットフォームを利用したデジタルメディアサーバーなどを製品化する際に、RAIDを利用することができるわけだ。シリアルATAは2ポートを装備し、RAID0/1に対応。1つのRAIDアレイ内に複数のボリュームを作るMatrix RAIDもサポートしている。
ここでは、ICH7M-DHを搭載したNapaプラットフォームのPCに、2台の2.5インチHDD(富士通のMHT2040BH)を使い、RAID0を構築したデモが行なわれた。また、この環境における、シングルドライブ/RAID0/RAID1の各ベンチマーク結果も紹介されている。
ICH7M-DHを搭載したNapaプラットフォーム上で実施された、シリアルATA接続の2.5インチHDDを利用したRAIDのデモ | シングルドライブ、RAID0、RAID1の各構成時におけるベンチマーク(PCMark04のHDD Test)の結果も示されている |
●6GbpsのSATAや、5フィートのPCI Expressボードなど
最後に、そのほかに目に留まったものを3つほど紹介しておきたい。Silicon Imageのブースでは、同社の外付けRAIDサブシステム「SteelVine」用に開発された、「SiI4723」と呼ばれるコントローラのデモを行なった。
このチップを搭載したボードには、ノートPCのPCカードスロットに搭載したSATAホストアダプタと2台のHDDが接続されており、ノートPC側から2台のHDDへアクセスできる。この2台のHDDは、RAID0/RAID1、スパン、JBOB(Port Multiplierモードとなる)のそれぞれのモードで利用できるが、この構成をジャンパピンのみで変更できるのが特徴。シリアルATA IIの3Gbps転送にも対応している。
SteelVine自体はビジネス色の強いソリューションだが、コンシューマユーザーにとっても外付けシリアルATA(eSATA)を利用してUSB以上の速度を持つ外付けHDDなどにも使えるとブーススタッフは話している。
また、6Gbps転送に対応したシリアルATA PHY(物理層)をデモ。このPHYは「Jupiter」というコードネームが付けられている。
デモでは、3Gbps転送に対応した4台のシリアルATA接続HDDと、4基のシリアルATAポートを使った仮想的な6Gbps対応環境を構築。このテストにおいて、500MB/sec近い性能をたたき出していた。
Silicon Imageのブースで展示されたSiI4723のデモ。ホストアダプタとHDD×2を接続している。チップ脇のジャンパを変更するだけで、RAIDやスパンなどの構築が可能 | 同じくSilicon Imageがデモを行った6Gbps転送対応のシリアルATA PHY「Juipiter」 | 仮想的な6Gbps環境で、500MB/secに迫る性能を出している |
最後に、下の写真をご覧をいただきたい。寝かせた状態で設置されているIntel 955X搭載マザーに5フィートのボードを接続。その先にRADEON X800 PROを接続するというデモ。これは、Pericom Semiconductorのブースで行なわれた、減衰した信号を再増幅させるPCI Express向けRe-Drivingチップ「PI2EQX4402NB」のデモである。チップあたり2レーンの再増幅が可能となっている。
マザーボードのPCI Expressスロットから約5フィートを介してビデオカードを正常に動作させる、再増幅チップのデモ | 再増幅チップはPericom Semiconductorの「PI2EQX4402NB」。2レーンの再増幅が可能 |
□IDF Fall 2005のホームページ(英文)
http://www.intel.com/idf/us/fall2005/
□IDF Fall 2005レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/link/idff.htm
□Silicon Imageのホームページ(英文)
http://www.siliconimage.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.siliconimage.com/news/press/detailpressrelease.aspx?id=321
□関連記事
【6月2日】【COMPUTEX】ATI、「CrossFire」発表会レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0602/comp05.htm
(2005年8月26日)
[Reported by 多和田新也]