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Spring Processor Forum 2005前日レポート
~組み込みプロセッサ界最大のイベント

DoubleTree Hotel入口

カンファレンス会期:5月17日~18日(現地時間)

会場:米カリフォルニア州サンノゼ
DoubleTree Hotel



 今週最大のイベントといえばLAで開催されているE3であるが、筆者はサンノゼに居る。17日(現地時間)から開催される、In-statのSPF(Spring Processor Forum)2005に参加するためだ。

 このSPF、昨年はEPF(Embedded Processor Forum)という名称で開催され、筆者もレポートした。これと対になる秋のMicro Processor ForumがFall Processor Forumと名前を変えたのを受け、こちらもSpring Processor Forumという名称になったのだ。

 このイベントは、サンノゼ中心部にあるFairmont Hotelで開催されるのが恒例だったが、今回からサンノゼ国際空港脇にあるDoubleTree Hotelに会場を移しての開催である。

 Fairmont Hotelは、繁忙期ともなると1泊400ドルを超える(サンノゼの中では)格式高い由緒あるホテルであったが、DoubleTree Hotelはもっとカジュアルというか、率直に言えば安いホテルであって、このあたり開催団体のIn-Stat(というか、MicroProcessor Report)の苦しい台所事情が伺えてしまうのはちょっと悲しいところ。x86系はともかく、Embedded系では重要なニュースソースなだけに、なんとか踏みとどまって欲しいものである。

 FPFの日程は、従来どおり2日間のカンファレンスを挟み、前後に1日ずつのセミナーがある。昨日16日にホテルに寄った時はすでに初日のセミナーの開催中で、ホテルのそこかしこにも案内が出ていた。

DoubleTree Hotel外観 セミナーを案内するホテル内の掲示

 では、今回のSPFで注目される話題を紹介しよう。

●High-Performance Embedded Processors

 このジャンルでは、FPF2004でいきなりPowerPCベースのSoCを発表して驚かせたAMCC(Applied Micro Circuits Corporation)が、またもやPowerPC440ベースの新製品を発表するとしている。この新製品、PowerPC 440にSafeNetの SafeXcel IP Packet Engineを組み合わせたもので、SSLやTLSのみならず、SRTP(Secure Real-Time Transport Protocol)のアクセラレーションを可能にするというあたり、PowerPC 440をベースにしたネットワークプロセッサなのかもしれない。

 一方、GbEコントローラでお馴染みのMarvell Semiconductorは、ARM ISAをサポートしたスーパースケーラプロセッサであるFeroceonを、そしてRaza MicroelectronicsはMIPS64ベースの次世代マルチプロセッサをそれぞれ発表予定だ。ただそれよりも興味を引くのは、松下電器産業が発表する“An Instruction Parallel-Processor (IPP) Architecture on the Panasonic Integrated Platform for Digital Consumer Electronics.”であって、これがUniPhierプロセッサそのものなのか、それともUniPhierの次世代製品なのかは、ちょっと判断できないが、かなり興味深い話題になりそうだ。

●The Return of Cool Technology

 普通に考えれば、低消費電力プロセッサがメインとなりそうなこのジャンル、なぜかここでSun Microsystemsの8コア構成のハイエンドプロセッサ“Niagara”が発表されることになる。ManyCore Architectureとしては最先端(というか、一番製品に近いところにいる)Niagaraが出てくるということは、絶対的な消費電力が低いプロセッサだけではなく、相対的に低消費電力なプロセッサも含んでいるようだ。

● Digital-Signal Processing

 ARMはEPF2004で発表したOptimoDEの発展系を発表するほか、最近勢いがあるFreescaleが(2003年に発表したきりになっていた)MXCアーキテクチャの実際の製品を、TIがC55xアーキテクチャの新製品とC6xxxアーキテクチャをそれぞれ発表する模様だ。

●High-Performance Licensable-IP Processor Cores

 要するにFPGAなどの上で構成したりできるSynthesizable CPUのジャンルだが、Silicon Hive/Elixentなどのちょっと目新しい製品に加え、遂にXilinxもMicroBlazeを公開する。スペック的にはAlteraのNios/Nios IIと真っ向勝負になると思われるだけに、ちょっと興味あるところだ。一方MIPS TechnologiesはDSP内蔵のコアでこのマーケットに再参入(?)しようとしているあたりが見所だろう。

●その他

 IBM Microelectronicsが、Cellに関するスペシャル・プレゼンテーションを予定している。既にISSCCなどでかなり詳細は発表されており、またE3ではPS3のプロセッサとしても詳細が公開されると思われるが、これらと重複するものになるのか、全く異なる新しい情報なのか、現状では不明である。

 また、最終セッションである“Birds of a Feather”は、要するにパネルディスカッションなのだが、ここしばらくはベンチマーク系話題が続いている。前回のFPF2004では、VIAのGrenn HenryとAMDのErik Saloの激しい議論(というか、率直に言えばSalo氏が頑張って噛み付くものの、Henry氏にいなされていた)で会場を沸かせたが、今回もテーマはベンチマーク。

 メンバーはというと、AMD/BDTI/EEMBC/FutureMark/SPECという、どちらかというとベンチマーク策定側にやや偏ったものになっている。個人的にはFutureMarkのExecutive Vice Presidentを務めるTero Sarkkinen氏が出てきたのは興味深いところで、ちょっと期待が持てるところだ。

 これらのテーマについて、随時レポートをお届けするので、ご期待いただきたい。

□SPF2005のホームページ(英文)
http://www.instat.com/spf/05/
□関連記事
【2004年5月】Embedded Processor Forum 2004レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/link/epfs.htm

(2005年5月18日)

[Reported by 大原雄介]

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