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JEITAなど3団体、中古PC流通のガイドライン策定へ4月27日 発表 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)、社団法人日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)、社団法人日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA)の3団体は27日、「中古PCに関するガイドライン~安心・安全な普及を目指して~」を策定。その内容について公表した。今後、継続的に改訂を加えていくことになる。
中古PC市場は、2003年度の86万台から、2004年度には95万台へと拡大、今後も拡大傾向にあると見られている。しかし、中古PCとして、ユーザーがPCを売却したり、購入したりする際に、セキュリティや、ソフトウェアのライセンス、アフターサポートの問題などが浮上している。これについて、業界として統一したガイドラインがなく、具体的にいくつかの問題が表面化してきた。 例えば、サポートという面では、購入したWindows XP搭載の中古PCを修理に出したところ、前利用者のOSがアップグレード版だったため、修理から戻ってきたら、発売時のWindows 98がインストールされていたという問題があったという。 業界側では、昨年11月にJEITAをはじめとする業界6団体が協力している「PCコンシューマ・サポート連絡協議会(PC-SOS)」の主催により「中古PCに関するシンポジウム」を開催し、PCメーカーや販売店、消費者団体の代表などが討議した経緯があるほか、JEITAのPC事業委員会ユーザーサポート専門委員会がガイドラインづくりに着手していた経緯があった。 今回、JEITAのパーソナル情報部会が音頭取りを行ない、JCSSA、JPSAの2団体が参加し、ガイドラインを策定。さらに、JEITAのパーソナル情報部会運営委員会内に、中古PC対応専門委員会を設置して、3団体に加えて、消費者団体も参加して、ガイドラインの適用推進や、適用の実態把握と改善への取り組み、ガイドラインの拡充、エンドユーザーへの啓発活動などを進めることになった。
JEITAパーソナル情報部会PC幹事会の木村政孝幹事長は、「中古PCの流通が増加する一方で、データを完全に消去しないまま売りに出したり、パスワードが登録されたまま、第3者に渡ったりといったことが起こっている。また、ソフトウェアのライセンス形態がソフトメーカーや製品ごとに異なったり、著作権が保護されないままに流通されているといった問題も出ている。今年10月1日以降に発売の新製品から、こうしたガイドラインを適用し、メーカー、販売店が適切に対応できるようにしたい」と話す。 まずは、「セキュリティ」、「製品の耐用年数」、「ライセンス」、「サポート」の4点において、問題が発生しやすいとして、それぞれにおける具体的な問題点、懸念事項を明示。PCメーカーやソフトメーカー、中古PC販売店、ユーザーが、それぞれについてなにを理解し、配慮してもらうかを示し、JEITA、JPSA、JCSSAの加盟会社に対して、対処を求めるほか、加盟外のメーカー、販売店に対しても告知を行なう。 例えば、セキュリティに関しては、PCを販売する際に、ユーザーは自分の責任の上でデータ消去対策やパスワードの解除が必要であることを示し、PCメーカーに対しては、ウェブサイトや新製品のマニュアルに、中古PCとしての売却時には、セキュリティ対策の必要性があることを明示するなどのユーザー啓発を行なうよう協力を求める。中古PC販売店には買い取り時に個人データの消去とパスワード解除を確認すること、有償でのデータ消去サービスメニューを設けてデータ消去を促すようにすることなどを盛り込んだ。 また、製品の耐用年数に関する部分では、ノートPCのバッテリが消耗品であること、HDDは可動部分が多く、磨耗劣化が発生することなどを明記し、修理に関する目安を得られるように、PCの発表年月、発売年月、補修用部品の保有期間、保守サービスの終了期間などの情報提供をメーカーに求める。 一方、販売店に対しては、メーカー保証期間を過ぎている場合にはメーカー修理が有償であり、販売店保証との差を明確にすること、販売時には発売年月などの情報提供とともに、純正品以外の部品が使用されている場合にはその旨を明記し、メーカー保証対象外であることを示すことなどが含まれる。 ライセンスについては、販売時に導入されているOSのバージョンを明記するとともに、リカバリCDなどの付属を明記。また、エンドユーザーにも、ソフトウェアのライセンス制度の概念を理解してもらうための啓発活動の必要性などを盛り込んだ。 サポート面では、マニュアルがすべて揃っていない場合や、更新ファイルが数多く蓄積しており、使用に際してはこの更新が必要になる場合への対策、中古PCに関しては有償のメーカーサポートが主流となっている点などの啓発活動が必要だとしている。 具体的には、メーカーは、旧機種や旧バージョンに対する更新ファイルの一定期間の公開が望ましいとしたほか、販売店では更新ファイル適用のための有償サービスの設定などでの協力を得たいという。また、マニュアルをオンライン化することでの利便性の向上などを図りたいとしている。
□JEITAのホームページ (2005年4月28日) [Reported by 大河原克行]
【PC Watchホームページ】
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