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TSMC、2005年第4四半期に65nmプロセスの量産開始

4月28日 発表



 台湾TSMCの日本法人ティーエスエムシージャパン株式会社は28日、都内で記者会見を開催。その席で、2005年第4四半期より65nmプロセスの量産を開始すると発表した。

TSMCジャパン代表取締役社長 馬場久雄氏

 最初に、同社代表取締役社長 馬場久雄氏が半導体市場の展望やTSMCの2005年第1四半期実績を説明。同社は、PC向けのGPUなど主要な半導体を生産しており、「現在もPC向けの需要が最も多いが、携帯電話向けも多く、今後はデジタル家電向けの需要も伸びるだろう」とした。

 半導体市場については「世界の半導体市場は年平均10%程度の伸長率を維持している」と堅調な市場であることを強調。その中でも、半導体製造に特化した技術を追求して研究開発を進めているため、プロセス微細化技術において常に業界をリードしている、と同社の強みをアピールした。

 2005年第1四半期の実績は、工場の稼働率が78%まで落ちているが、0.13μmプロセス以下の生産割合が高いため平均単価が高く、売上高は556億5千万台湾ドルと前年並み(-3%)を維持できたとした。

研究開発と設備投資 TSMCの微細化技術の歴史

TSMCジャパン代表取締役副社長 小野寺誠氏

 続いて、同社代表取締役副社長 小野寺誠氏が日本市場での活動を報告。国内市場では、0.13μmプロセス以下の需要が高く、2004年全体の26%が0.13μm以下によるもので、2005年第1四半期では半数を超えているという。

 同社はファブレス企業や大学、研究期間などに試作サービスを提供する「CAP(CyberShuttle Alliance Partner)プログラム」を実施しており、国内での累計テープアウトは195件に登っているという。さらに、1月からは大学研究機関向けとして「アカデミー・プログラム」を開始しており、価格の割引などのサービスを実施している。

国内市場の活動状況 「CAP(CyberShuttle Alliance Partner)プログラム」の概要 大学研究機関向け「アカデミー・プログラム」の概要

TSMCジャパン技術担当デピュティーディレクター 石原宏氏

 最後に、同社技術担当デピュティーディレクター石原宏氏が、65nmプロセスの技術を解説。現行の90nmプロセスから65nmプロセスへ移行することで、ゲート密度の倍増や速度の増加、50%の動作消費電力の低減、20%の待機電力の低減などのメリットがあるとした。また、歪み技術も広範囲に導入するという。

 65nmプロセスへの移行について、同氏は3つの変更点を挙げた。1つ目は、基板表面に光を照射してウェハに転写する際、露光装置とレジストの間に液体をはさみ、レンズのように屈折率を変更する「液浸リソグラフィ」を使用する点。これにより、90nmプロセスで使用していた193nmのショートレンズのまま、65nmプロセスへ移行可能にした。この液浸リソグラフィは、液体を変更することで屈折率を変更可能なため、さらなる微細化への応用も期待できるという。

 2つ目は、誘電体材料のコバルトシリサイドからニッケルシリサイドへの変更。3つ目は2007年以降の実装になるが、Low-kのキャパシタンス容量をさらに低減する「Extremely Low-k(ELK)」への移行。このように変更点が少ないため、現行の設備でも対応でき、2004年11月には量産対応できる装置を導入済みという。量産は2005年第4四半期より、Fab 12および14で開始される。

 また、現行の90nmプロセスにも改良を施し、DDR2/3などで使用される1.8V用のI/Oや、しきい電圧をさらに高め待機時のリーク電力を抑制するUltra-High-Vtを追加するほか、特殊なデザインルールによって2.5V I/Oを3.3Vへ引き上げることも可能な、90nmプロセスの新たなオプションを紹介した。

90nm→65nm移行のメリット プロセス移行における変更点 新技術「液浸リソグラフィ」

□TSMCのホームページ(英文)
http://www.tsmc.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.tsmc.com/tsmcdotcom/PRListingNewsAction.do?
action=detail&LANG=E&newsid=1601&newsdate=2005/04/27

(2005年4月28日)

[Reported by yamada-k@impress.co.jp]

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