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インテル、ハイパフォーマンスコンピューティングへの取り組みを強化4月18日 開催 インテル株式会社は18日、報道向けにハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)への取り組みに関する説明会を行なった。 ●Montecitoは最大2倍の性能向上
まず、同社取締役エンタープライズ&ネットワークソリューションズ本部 本部長の町田栄作氏がHPCの現状について説明した。 町田氏は、F1のトヨタチームでItanium 2ベースのシステムが導入されたことで、これまで数日かかっていた空力の解析が一晩で終了するようになったという事例を紹介し、コンピューティングが生産性の向上に大きく寄与していると述べた。 また、スーパーコンピュータなどの性能上位500位を示す「Top 500」の内、60%強がIntel Architecture(IA)システムで、中でもItanium 2システムがRISC勢を抑え順調に実績を伸ばすなど、手応えを感じており、今後投入するデュアルコアによってこの勢いがさらに伸びていくとの見込みを示した。
続いて、プラットフォーム&ソリューション HPCマーケティングマネージャの岡崎覚氏がHPCへの具体的な取り組みについて解説した。 クレイなどに代表される'80年代のHPCプラットフォームはプロセッサから周辺まですべてカスタムパーツで構成され、非常に高額だったのに対し、'90年代にはプロセッサが汎用化され、現在ではほぼすべてのパーツが汎用化、コストパフォーマンスが向上した。 しかし、汎用化が進んだことで、アプリケーション、ミドルウェア、OS、プラットフォーム、アーキテクチャなどHPCのエコシステムは、それまでの1社による一括提供から、異なるベンダーによって複数のソリューションが提供されるようになった。 それらを統括するため、インテルでは業界と協業し、率先してHPCプラットフォームの汎用化に向けた活動を行なっているという。 HPCプラットフォームにおける同社の最も主要な役割はプロセッサの提供で、同社ではコストに敏感な民間企業向けにEM64T対応のXeonを、最大限の性能を要求する官公庁や研究所向けにItanium 2をそれぞれ位置づけている。 岡崎氏は、これらのプロセッサロードマップとともに、コードネーム「Montecito」ことデュアルコア版Itaniumのベンチマークを紹介。これによれば、デュアルコア化とキャッシュ容量の増加などにより、ベンチマーク結果は最大1.5~2倍にまで向上するといい、岡崎氏は「プロセッサの変更でここまで性能を伸ばせた例はかつてない」と語った。このほかMontecitoでは、低消費電力化や、仮想化技術も盛り込まれている。 プロセッサ以外に同社が取り組むのが、ソフトウェア面での支援。具体的には、コンパイラやチューニングツールの提供や、教育活動、技術支援などを行なう。 同社はこれまでも開発支援を行なってきたが、デュアル/マルチコアの投入に備え、社内のHPCソフトウェア技術部隊の増強や、最新プロセッサのクラスタの常設を行なうなど、支援活動を大幅に強化する予定という。
●ハイパフォーマンスとハイプロダクティビティを両立
最後に日本SGI株式会社チーフテクノロジーオフィサーの戸室隆彦氏がItanium 2搭載のHPCソリューションの導入事例を紹介した。 日本SGIではインテルと協業し、「Altix」という大規模なHPCソリューションを開発している。戸室氏によれば、IAプラットフォームの採用で、HPCのハードウェアコストは低下してきたものの、運用管理/アプリケーション開発・保守費用は増大しているという。 そこで日本SGIでは、“ハイパフォーマンス”と“ハイプロダクティビティ”を両立させる「HP2C」をモットーに、管理ノード数の削減、独自のファイル共有システム、開発環境などを構築し、Xeon搭載のデスクトップからAltixまでバイナリ互換の共通開発環境が使えるスケーラブルなLinuxソリューションを開発した。 Altixは現在、東京大学物性研究所(1,280CPU)、日本原子力研究所(2,048CPU)、NASA Project Columbia(10,240CPU)などで採用。戸室氏によれば、NASAへの導入は、システムの構築からインストールの終了まで120日で終了したという。 またAltixのピーク性能が理論値の9割を超えたというベンチマーク結果を示し、Itanium 2と日本SGI独自のインターコネクトにより、高い実効性能を発揮できるとした。
□インテルのホームページ (2005年4月18日) [Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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