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CeBIT 2005レポート【水冷機器編】

SLI専用からDVDデッキ風まで多種多様な製品

会期:3月10日~16日(現地時間)

会場:独ハノーバー市ハノーバーメッセ(Hannover Messe)



 水冷機器は、一般の空冷機器に比べ圧倒的に冷却効果が高いにも関わらず、価格が高め、取り付けが難しそう、液漏れが心配などといった理由からか、その普及は一部のハイエンドユーザーにとどまっている。

 しかし、技術や改良が進んだ結果、そういった技術的な心配はもはや過去のものとなりつつある。日立やNECによる製品化も記憶に新しいところだろう。

 価格については、空冷と比べると構造が複雑で部品点数が多いことから、空冷よりも安価にすることは難しいだろうが、量産や競争が進めば今よりも安くなる。

 では、メーカーの現在の思惑はどうかというと、かなり前向きなようだ。Thermaltakeでは「2005年は水冷にかなり力を入れる」と語っており、多数の新製品を展示している。その中にはリビングルームでの使用を見据えたものまである。2005年の水冷市場は要注目だ。

●Thermaltake

 Thermaltakeの「Symphony (CL-W0040)」と「Rhythm (CL-W0042)」は、従来の水冷機器とは一線を画すデザインの商品だ。一見しただけでは前者はスピーカー、後者はAV機器にしか見えないが、内部にポンプ/ラジエーター/ファンを装備するれっきとした水冷機器。

 PCで家電風デザインを採用するものは最近増えているが、水冷機器でここまで凝ったのはこれらの製品が初だろう。マニア向けの水冷と家電風デザインというと、あまりマッチしないイメージもあるが、家電風デザインのPCの冷却機器としてこれらを組み合わせれば、リビングルームに置いても違和感のない静音PCができあがることを考えると、わりとニーズはあるのかもしれない。

 出荷開始は5~6月頃の予定、価格は未定。Symphonyは2つのポンプと5つのファン(1,400rpm/12cm角/16dB)、Rhythmは1つのポンプと2つのファン(同)を内蔵。筐体はアルミ製。

 「Rocket (CL-W0011)」はその名が示すとおり、ロケットを模したタワー型の機器。Zalmanの「Reserator 1」のThermaltake版といった方が分かりやすいかもしれない。筐体全体が放熱装置となっており、ファンレスで動作できる。正確な本体サイズは不明だが、Reserator 1より若干小さめのようだ。

 このほか、ヒートパイプ式ヒートシンクに似たデザインの「Volcanoシリーズ」、キューブPC大のメッシュ状筐体にラジエーター/ポンプ類を内蔵させた「Tribe」、水枕を増設することでSLIにも対応可能なGPU用「Galaxy」、5インチベイに内蔵可能なモジュール式の「AquaBayシリーズ」などが展示されていた。

真ん中のPCの両脇にあるのがSymphony。写真ではフラッシュをたいているため中のファンが見えているが、普通はファンは見えず、一見しただけではこれが水冷機器とは思えない。ちなみに製品は2本セットではなく1本のみなので、ステレオスピーカーっぽく設置できないのが残念 こちらはDVDデッキをイメージしたというRhythm。やはり水冷機器には見えない 両製品とも水枕は同じデザインのものを採用
5~60cmはある筐体全体で放熱を行なうRocket。ZalmanのReseratorとは違い、ポンプは外部に設置する Volcano 4005(左)と同4008 AE。4005は水枕のみの構成で、4008 AEはポンプが付属する。4005はBTXケースと相性が良さそう
GPU用のGalaxy。ポンプ/ラジエーターは1枚のカード上にとりつけられており、マザーボードの拡張スロットに挿して設置する。ラジエーター部分はブラケットの外に出る。NVIDIA/ATIに両対応。水枕を増設すればSLIにも対応できる キューブPCのような箱にポンプ/ラジエーター類を収めたTribe モジュール式のAquaBay。5インチベイに内蔵可能。上からラジエーター、ポンプ/タンク、水流確認機。それぞれ単品で販売されるので、他の製品と組み合わせることも可能

●Innovatek

 Innovatekはドイツの水冷機器メーカーで、GainwardにGPU用製品をOEM提供しており、会場ではGainwardと共同でブースを出している。展示製品の中で最も注目を集めていたのは、SLI専用の水枕を使用したGainward製品。最初からGeForce 6800 Ultraが2枚セットになっている。SLI専用設計のため、チューブの引き回しが楽なのが特徴。

 「Fan-O-Matic Ultra」は、5インチベイ内蔵の監視モニター。従来製品と比べ、モニターが大型化され、かつタッチスクリーン対応となった。このほか、HDD用やGPU用製品が展示されていた。

Innovatek製SLI専用水枕を備えたGainwardのビデオカード。GeForce 6800 Ultraが2枚セットになっており、価格は不明だが、相当高価なのは間違いないだろう。 SLI専用設計でない従来製品と比べると、チューブの引き回しが楽なのが分かる デモマシンの全景。台座部に光学ドライブや監視モニターを装備し、市販製品のようにも見えるが、デモ用に特別に作ったもの。ちなみにこのシステムを売った場合の価格は6,000ユーロ
タッチスクリーン式の監視モニターFan-O-Matic Ultra。5インチベイを2つ利用する こちらは従来製品のFan-O-Matic Pro
HDD用水枕2製品。左はHDDを挟み込み、下にパイプを通す形で、右はHDDの下部にくっつけるかたちで設置する 温度センサー付きのフィッティング

●Zalman

 ZalmanはReserator 1の改良版である「Reserator 1-Plus」を展示。筐体部分に変更はないが、フィッティング周りを改良し、チューブを抜くと水が止まる仕組みになった。これにより取り外しや、水枕の増設などの作業がかなりやりやすくなった。また、同製品は普通の水も利用できるが、オプションとして防腐クーラントが用意された。

 このほか、新しい水枕としてノースブリッジ用が展示されていた。

元祖水冷タワーの改良版Reserator 1-Plus フィッティングが改良され、チューブを抜くと自動的に水が止まるようになった 防腐剤入りのクーラントもオプションとして用意
これまでのCPU用/GPU用に加え、ノースブリッジ用水枕がラインナップに追加された。GPU用はヒートシンク用マウントホールのある製品であれば取り付け可能

●Cooler Master

 Cooler Masterは、CPU水枕上にポンプを一体化させたコンパクトな2製品を展示。ラジエーターもケースの背面ファンを取り付ける場所に固定できるため、空冷機器と同じような手軽さで設置できる。

 「RL-MUA-EBU1」は12cm角ファンを装備し、価格は100ドル程度、「RL-MUA-E8U1」は8cm角ファンを装備し、90ドル程度となる見込み。いずれもCeBIT終了直後から量産を開始するという。

 このほかCPU水枕の新製品や、HDD用、GPU用製品が展示されていた。

12cm角ファンを装備したRL-MUA-EBU1(左)と、8cm角ファンを装備したRL-MUA-E8U1。いずれも水枕上にポンプを装備し、ラジエーターもケース背面に取り付け可能ということで、スペースもとらず、設置も簡単 「RL-CUC-CNU1」は2つの吸入口を装備することで、冷却能力を高めた製品
RL-HUC-E8U1/E8U2は、5インチベイ内蔵タイプ。左上にはモニターを装備 HDD用のRL-D3A-CNU1
GeForce 6用のRL-VNC-CNU1 RADEON用のRL-VAC-CNU1 各新製品を取り付けた例

●Gigabyte

 このほか、Gigabyteが同社初の水冷製品を展示。また、水冷ではないがコンプレッサーを使用した製品を展示していたメーカーもあったので、写真で紹介する。

GigabyteのGH-WIU01。出荷開始はまもなく ラジエーターは結構大型 水枕の上にはファンも設置できる
Epoxのブースに展示されていたVapochil製コンプレッサー付き冷却機 結露防止のため、チューブ周りは重装備 ケースは市販品かどうか不明だが、コンプレッサーはケースの台座に収められていた
Point of Viewのブースに展示されていた水冷とコンプレッサーを組み合わせた製品 CPUはコンプレッサーで、GPUは水冷で冷却している。電源ケーブルが全てメタリックなカバーで被われており、かなりサイバーな雰囲気 ケース上部に設置された水冷用ポンプ。前面の水流インジケータにつながっている

□CeBIT 2005のホームページ(英文)
http://www.cebit.de/
□関連記事
【2004年2月23日】アスク、高さ59cmのラジエータ採用のZalman製ファンレス水冷CPUクーラー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0223/ask.htm

(2005年3月14日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]

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