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九十九電機のPico BTXキューブPCレポート価格:99,800円 九十九電機が1日、Pico BTX採用のキューブ型PC「TSP540KB7RAX1BT」を発売した。 Shuttle製ベアボーン「SB86i」をベースに、Pentium 4 540(3.20GHz)、メモリ512MB、HDD 160GB(シリアルATA)、DVDスーパーマルチドライブ、Windows XP Home Edition(SP1a)などを搭載。チップセットはIntel 915G Express(ビデオ機能オンボード)だが、PCI Express x16スロットを備えビデオカードを拡張できる。 価格は99,800円で、先着50台は89,800円となっている。なお、ネットによる通信販売はなく、店頭販売のみ。 本体サイズは240×375×195mm。一見したところ、意外と奥行きがあるという印象。これは、BTX規格のマザーボードは全フォームファクタ(BTX/microBTX/PicoBTX)の奥行きが同一(266.7mm)であるため、Pico BTXではそのように感じるのかもしれない。
前面パネルの右側には電源スイッチ、SDカード/MMC/メモリースティック、CFなどに対応するカードリーダがある。左側は上からUSB 2.0×2、IEEE 1394×1、オーディオ端子と並ぶ。 背面は格子状になっており通気性を確保。I/Oパネルのインターフェイス類は、IEEE 1394、PS/2、シリアルポート、D-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、USB 2.0、S/PDIF入出力、オーディオ端子などがあり、大抵のユーザーにとって十分なものが用意されていると言える。キーボード用PS/2とD-Sub15ピンの間には、BIOSを初期状態に戻すCMOSクリア用のスイッチも用意されている。
前面パネルは白、筐体全体はシルバーという配色。電源投入時には光学ドライブの上部にある青色LEDが点灯し、HDDアクセス時は中央がオレンジに光る。また、光学ドライブはシャッターで隠れるタイプになっているなど、いわゆる一般のPCとは違い、デザイン性の高い仕上がりとなっている。
筐体はもともと自作用に設計されたベアボーンらしく、天板は背面のスクリュー型ネジ3本を外せば開く構造。基本的には、プラスドライバー1本で解体できるようになっている。 天板を外すと、3.5インチシャドウベイが2つ見える。手前側のベイにはMaxtor製のシリアルATA HDD「6Y160M0」(容量160GB)が搭載されていた。コネクタ部はホットボンドでがっちり固められている。輸送などの衝撃で外れることを考慮したものと見受けられるが、いずれHDDを換装しようとする時に邪魔に感じるかもしれない。 この3.5インチシャドウベイは、ネジ2本を外し、ベイを左にずらすと取り外せる。配線はうまく考えられており、もう1台を増設するためのシリアルATAと電源のコネクタがベイの近くに配置されている。サウスブリッジはICH6Rを採用しているため、もう1台増設すればRAIDも組めるのはありがたい。
筐体の右側からはPCI Express x16スロット、PCIスロットが見える。奥行きのある筐体のおかげか作業域は広く、ある程度長い拡張カードも増設できそうだ。オンボードビデオ機能で3DMark05(Version.1.2.0)を動作させてみたが、スコアはわずかに219。オンボードで動作したことは評価するが、3Dのパフォーマンスが欲しい場合、ビデオカード増設は必須だろう。 筐体の左側にはメモリスロット×2がある。こちらの空間は右側よりも手狭な印象だが、メモリ増設作業なら特に問題はないだろう。装着されていたメモリはエルピーダ製チップの載ったCentury Microのモジュール。速度はDDR400 CL3。1枚だけのため、シングルチャネル動作になる。こちらもパフォーマンスを考えると、1枚足してデュアルチャネル動作にしたいところだ。
3.5インチベイを取り外すと、手前側に光学ドライブ、奥に電源が現れる。ドライブはLG電子のDVDスーパーマルチドライブ「GSA-4163B」が搭載されている。光学ドライブは左右にステーを使用して止めるタイプで、本体とステーを固定する2本のネジを取り、ドライブを奥側にスライドさせれば外すことができる。ただし、スライドするのに十分と言えるスペースは無く、奥行きのあるドライブは多少難しいかもしれない。 電源ユニットは最大275W。こちらもステーに装着されており、本体裏面の4本のネジと、ステーとの固定に使用されている2本のネジで固定されている。電源用ステーは、左右各2本のネジを外せば本体からとれる。
ここまで来ると、マザーボード全体を見渡すことができる。巨大な黒い塊は、一部で話題になったBTX対応のCPUクーラー。存在感が際立つ大きさだ。このクーラーはネジ4本で筐体底面のネジ穴に締められており、底面がバックプレートの役割をしている。CPUクーラーを取り外すと、BTX規格の通り、CPU、チップセットが一直線に並ぶマザーボード全体像がよく分かる。 ただ、前述した通りPico BTXでも奥行きが変わらないため、基本的にはBTX/microBTXの拡張スロットを削っただけという構造。多和田氏のmicroBTXレビューと比較すると分かるが、メモリスロット、PCIスロットのある両側を省いて細くした形状だ。
取り外したCPUクーラーは見た目に違わず大きく、重い。ただ、これだけ大きなヒートシンクと大口径のファンを使用すれば、ファンを低速で回しても冷却できそうだ。実際、稼働中のファンの動作はかなり低速で、ベンチマークソフトなどで負荷をかけてもほとんど回転数は変わらなかった。
全体の印象としては、キューブ型ベアボーンの先駆者であるShuttle製品をベースとしているだけあって、増設作業の容易さや、ケーブルの取り回しなど、細かな部分の良さが伝わってくる。「SB86i」はBTXという新たなフォームファクタを採用しているが、これまでのノウハウが生かされているように感じられた。 動作音については、負荷時にもファンは高速にならず、電源ファンも静かな印象。個人差はあるが、問題ないレベルと言えるだろう。 コスト面から見ると、「SB86i」が38,000円前後、CPUが24,000円前後、メモリ/HDDが各1万円前後、光学ドライブが8,000円前後、OEM版のOSが10,000円前後で、合計は約10万円。組み立てる時間と保証を考えれば、かなりお買得と言えるだろう。 解体した時に苦労したのはCPUクーラー。後で組み戻し、スイッチを押してもなぜか起動しなかった。原因は、CPUクーラーを装着した際にファン用のコードをクーラーと筐体が挟んでショートし、マザーボードの安全回路が作動したためとみられる。もう1度CPUクーラーを外し、慎重にコードの経路を確保して事なきを得た。これはCPUクーラーの容積を気にせず装着したことによる凡ミスだが、BTX用クーラーを使用するシステムの組み立て/CPU換装を行なう時は、ファンのコードを見失わないよう作業していただきたい。 □九十九電機のホームページ (2005年2月3日) [Reported by yamada-k@impress.co.jp]
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