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2005 International CES 基調講演レポート

Intel CEO クレイグ・バレット氏基調講演

Intel CEOのクレイグ・バレット氏

会場:Las Vegas Convention Centerなど

1月6日(現地時間) 開催



 International CES 2005はIntel CEOのクレイグ・バレット氏の基調講演で正式に開幕した。同社が提唱するEntertaiment PCのデモンストレーションを中心に、デジタルホームを具現化するハード・ソフトを紹介した。

●マルチコアによるデジタルホームの実現を改めてアピール

講演の冒頭で展開されたミュージカル仕立ての演出。「デジタルホームで世界を1つに」のイメージである

 ここ1年ほどのIntelの講演では、必ずといっていいほど登場する“デジタルホーム”、“Entertainment PC”といった言葉だが、今回のバレット氏の講演も同様である。「今のコンシューマは昔とは違う」と、現状のコンシューマに対して、同社が提唱するデジタルホームをどうインパクトしていくかが問題であるとした。

 このデジタルホームが売りとするところは、コンピュータの性能とワイヤレスを含むコミュニケーション機能を統合し、いつでもどこでも、好きな方法でコンテンツを楽しめるものである。「コンテンツはアナログからデジタルになり、ワイヤレスネットワークによりいつでもどこでも(オンデマンド)視聴でき、デバイスも選べるようになる」と同氏は語るが、これもコンシューマが昔と変わってきた故に、要求も変化しているのである。

 また、パーソナルコンピューティングも、すでに1人のユーザーが1つのアプリケーションを1つの場所で利用する時代ではない。そのために新しいプラットフォームが必要であり、昨年までHyper-Threadingを提供してきたが、今年からはいよいよマルチコアをリリースすると、強力にアピールした。

 さらに、デジタルコンテンツを作成、蓄積、統合されたネットワーク機能を利用して配信する機能を持った、Entertainment PCもIntelが提唱するデジタルホーム戦略の1つとして発表されている。そのデモンストレーションでは、ユーザーがコンテンツを(リモコンを使って)選択しやすいインターフェイスを持ったアプリケーションが紹介された。

 この点に関してバレット氏は、デジタルホームにおいてはPCの性能とコミュニケーションの能力に加えて、アプリケーションの重要性も挙げている。Entertainment PCのデモでは、リモコンを使ってホームセキュリティやオンラインコンテンツへのアクセスを行なえるアプリケーションが紹介されている。

 続いては、デジタルホームにおけるゲームの利用に関して言及された。バレット氏は「デジタルホームではゲームは欠かせない存在だが、それには強力なパフォーマンスが必要だ」と語る。そこで、デジタルホームにおけるゲーム利用の一例として、UbiSoftのスタッフが招かれ、Hyper-Threadingへの最適化を行なったPrince Of Persiaのデモなどを行なっている。

 さらには、デジタルホームにおけるDTM利用の一例として、Cakewakeが開発したミキサーソフト「umixit」を使った楽曲アレンジのデモも行なわれた。このデモには、ロックバンドであるAerosmithのボーカル、スティーブン・タイラー氏が登場。ステージ上で熱唱した。

デジタルホームPCによる、コンテンツ選択画面の一例。球体にコンテンツインデックスを配置し、一覧性を高めている マルチコアを使ったEntertainment PCのプロトタイプ Entertainment PC上で動作するアプリケーション。オンラインコンテンツの取得や、ホームセキュリティ実現のためのライブカメラ映像の表示などをリモコンで操作できる
umixitによる、楽曲作成のデモ umixitで作成した楽曲をバックに熱唱するスティーブン・タイラー氏

●Entertainment PCはノートPCにも

 ここでバレット氏は、すでに発表済みのSonomaプラットフォームに言及。Sonomaプラットフォームは、2月にも製品出荷が開始される予定の次世代ノートPCである。このプラットフォームには、IEEE 802.11a/g対応の無線LANやHD Audioなど、Entertainment PCに欠かせない機能が盛り込まれることになる。

 さらに、ノートPCに留まらず、ハンドヘルドPCやPDA Phoneなどにワイヤレスネットワーク機能を盛り込むことでコンテンツを視聴するデバイスとなり得る。このような配信方法、視聴方法について、今後も新たな手段を提供していきたいとバレット氏は語っている。

 こうした、Entertainment PCはすべての世代で利用できるようにするのも、デジタルホームには欠かせない点であるとバレット氏は述べている。その具体例として、タッチパネルとスタイラスを組み合わせたヒューマンインターフェイスを持つ中国製のPCのほか、学生向けというシンプルなデザインのノートPCが紹介されている。

 さて、ここまでは、ワイヤレスネットワークを前提としたデジタルホームの具体例が紹介されてきたが、バレット氏が最後に言及したのはWiMAXについてである。WiMAXは既報のとおり、いわゆるラストワンマイルを無線化することで、物理的なラインが届かないエリアにもインターネットを提供できるようにする技術だ。

 このWiMAXの進展について、名優ロバート・レッドフォード氏が登場。レッドフォード氏は、インディペンデント系映画製作者の支援組織であるサンダンス・インスティチュートの主宰者である。毎年1月に米国ユタ州でサンダンス映画祭が開催されているが、今年はWiMAXを利用して映画が上映されることが発表された。

 このバレット氏の基調講演では、CESで発表されると目されていた、現在Intel内部で進められているEntertaiment PCのブランド戦略「East Fork」や、すでにIntel Developer Forumなどのカンファレンスやプレスリリースで発表された情報以上のことが語られることはなかった。

 そのため、昨年来Intelが訴え続けてきたデジタルホームに関する情報の“おさらい”といった印象が強い。また、具体的な製品の紹介や技術的な話が一切なく、ひたすら利用モデルを訴えかける内容であったのも印象的で、同社が考えるデジタルホームの姿を、より具体的にアピールする意図で組まれたと想像される講演であった。

中国メーカーによるタッチパネルディスプレイを利用したPC。スタイラスにより写真のような少女でも難しくなく操作が可能 そのPCで利用できるアプリケーションの一例として提示された、漢字の練習ソフト
極めてシンプルなデザインで、中国では学生向けに発売されているというノートPC WiMAXを使った映画上映をPRするために登場した、サンダンス・インスティチュート主宰の”ボブ”ことロバート・レッドフォード氏

□2005 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□基調講演資料(英文)
http://www.intel.com/pressroom/kits/events/ces2005/

(2005年1月7日)

[Reported by 多和田 新也]

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