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TECHXNY 2004 レポート
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10月5日~6日(現地時間) 開催
TECHXNYは、かつてPC Expoと言われていたイベントである。来場者減少へのテコ入れで2001年に名称が変更された。
かつては、Transmetaが初めてCrusoe搭載マシンのデモを行ない、ソニーがCLIEを公開したイベントであるが、ここ数年、来場者は減少傾向にあり、イベントとして苦しい時期となっていた。本来、このイベントは、毎年6月に行なわれていたのだが、昨年には、その時期にCebit USAが入り、TECHXNYは、9月に追い出されてしまった。CebitUSAは、今年も開催されたようだが、来年は開催中止が決まっている。Linux Worldも来年からはシカゴへ移るとのことで、どうも、ニューヨークでのPC/IT系のイベントは、あんまり旗色が良くないようである。
昨年は、時期がちょうどIDFと重なっていたために取材を断念したが、今年は10月5日からであるため、取材してみることにした。もっとも、これが最後のチャンスという感じがしないでもない。
イベントは、基調講演と展示会場、およびカンファレンスという米国イベントの通常スタイル。基調講演は、10月5日がComputer Assosiates(CA)、10月6日がHewlett-Packard(HP)となっている。
会場となるJacob K. Javits Convention Centerは、2層になった展示会場で、米国のイベント会場としてはそれほど大きなものではない(全体で幕張の1つの展示会場ぐらい)。しかし、TECHXNYでは、その一部だけを使っての開催である。実際には、TECHXNYは、CETEX(Consumer Electronics Trade Expo)、Outsource World、BPO(Business Process Outsourcing event)という複数のイベントが集まっている。主催は、CMP Media、United Bussiness Media社の一部門である。DDJ(Dr. Dobb's Journal)の現在の発行元といっても、DDJって若い人たちは知らないだろう。
●HPはプレスカンファレンスを開催
MicrosoftのAcross Americaで使われる車両 |
さて、初日は、HPのプレス・カンファレンスがあるというので、出席してみることにした。内容は、HPのスモール・ビジネス戦略である。スモール・ビジネス(Small and Midsize BussinessとしてSMBと略すらしい)とは、企業規模にして100人ぐらいまでの会社を指す。日本で言えば、中小企業だ。SOHOほど小さくはなく、会社としての体裁を整える程度には組織化されている会社だ。
HPとしては、大企業向け、個人向けの店頭販売、オンラインビジネスが落ち着いたので、次なる目標として、その中間にある企業を狙うということなのだろう。
この10月5日、MicrosoftもSMB向けに米国内でキャンペーンを行なうことを発表している。これは“Across America”というキャンペーンで、デモ機材を搭載したトラック(キャンピングカーみたいなやつ)で全米を回るのだとか。その最初が今回のTECHXNYというわけだ。
とはいえ、SMB向けに新しい製品が出るというのではなく、地域のディーラーと協力して、SMB向けのビジネスを充実させるというのがHPのプレスカンファレンスの内容。Microsoftにしても、HPにしても、大企業向けのビジネスは、相手が数える程しかないために、その趨勢がほぼ決まり、次なるターゲットとしてSMBを選んだということのようだ。
●展示会場もかつての勢いなし
さて、展示会場のほうは、4つのイベントが同時に行なわれている関係で、あんまりめぼしいものがなかった。さらに、アウトソーシング関連だと、単にブースに人が立っていて、説明するだけだし、商品を売っているわけではない。
大手メーカー系では、IBMとHPが出展していた。IBMは、ThinkPadの展示などもあったが、既存製品のみ。HPでは、iPaq系の展示があり、こちらは、日本未発売の携帯電話内蔵のH6300などが展示されていた。
HPのiPaq H6300。米国内では、h6315という型番で、携帯電話会社であるT-Mobile経由で販売される。GSM方式のクワッドバンド携帯電話機能を統合したWindows Mobile 2003 Software for Pocket PC - Phone Editionを搭載。小型キーボードが付属し、本体下部に取り付けて利用できる |
【お詫びと訂正】初出時にiPaq h6315についてトライバンドと記載しておりましたが、実際はGSM 850/900/1800/1900のクワッドバンド対応でした。お詫びして訂正させていただきます。
Microsoftは、前述のAcross America用の車両を持ち込んでの展示。トラックの荷台をキャンピングカーのように改良した感じの車両。中は、イベントの小さなブースぐらいあり、5~6人はラクに入ることができる。
その他で、気になったものをいくつか紹介しておこう。まずは、PowerHouse Technologies GroupのMIGO。これは、USBメモリとして販売されているが、メインは、その中に入っているソフト。このソフトは、OutlookやWindows XPのデスクトップ設定、IEのお気に入りや履歴、Cookie、その他ドキュメントなどをコピーし、他のマシンで一時的に、自分の環境を再現するものだ。
USBメモリは、そのためのストレージで、これを他のマシンに装着して、ソフトを起動すれば、自分が普段使っているマシンのデスクトップが再現される。これは、一時的なものなので、MIGOを終了すれば、そのマシンは元の状態に戻る。また、同社は、現在、iPod版のMIGOを開発中であることを発表した。
もう1つはPepper ComputerのPepper Pad2である。これは、今年のCESにも出展されていたもの。そのときには、ハードウェア設計とソフトウェアをライセンスするので、自分たちでは販売しないと言っていたが、ライセンシーが見つからなかったようで、自社製品として販売を開始する。来年1月の出荷で価格は800ドル。
これはLinux+Javaベースのコンピュータで、Xscale(PXA270、624MHz)とSVGAカラーディスプレイを搭載したマシン。CESの時点よりもスペックが上がっている。搭載ソフトウェアは、本やノートブックのような構造で、タブで機能(ソフト)を切り替えていく。無線LANやBluetoothも内蔵し、20GBのHDDも装備。本体両側にキーボードがあって、両手で抱えて親指でキー入力が可能。
●来年もやるんでしょうか?
さて、TECHXNYだが、閑古鳥が鳴いている程ではないが、2000年頃に比べると、来場者も少ないし、出展メーカーも大手どころが減っている。それに、書籍のディスカウントショップや洋酒のJonnyWalkerなんかも出展している。この感じだと来年の開催はどうなるかわからない。かつて隆盛を極めたイベントの終焉に立ち会った印象だ。
ジョニ黒で日本でも有名なJohnnie Walkerのブース。中でお酒を試飲できるようだ | 会場内には、コンピュータ関連書籍のディスカウント販売コーナーも。もっとも、ほとんどがちょっと古い版 |
□TECHXNYのホームページ(英文)
http://www.techxny.com/
□PEPPER Computerのホームページ(英文)
http://www.pepper.com/
□PowerHouse Technologies Groupのホームページ(英文)
http://www.4migo.com/
□TECHXNY/PC EXPO 2002レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/link/tech02.htm
(2004年10月7日)
[Reported by 塩田紳二]