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USBストレージリンクアダプター使用記
~PCなしでUSBストレージを使う

価格:9,240円



電源は単三電池2本。本体の小ささもわかる

 USBインターフェイスがPCに標準装備されるようになって久しい。最初はマウスぐらいしか使っていなかったが、デジカメの使用頻度が高くなってからは、USBカードリーダは必需品となり、ちょっとしたファイルのやりとりにUSBストレージを使う機会も増えている。

 アイ・オー・データ機器から発売された「USBストレージリンクアダプター」は、そういうUSB機器をPC無しで利用しようという試みの1つだ。価格は9,240円。

 本体には3つのボタンと2つのLEDがついているだけの簡潔な構造。ボタンは左から電源、コピー、ベリファイで、LEDは送り出し側と受け側のUSB機器の状態を表わす。良好なら緑、問題があるときはオレンジに灯る。電源は単三乾電池が2本だ。


転送先にはディレクトリを作ってコピーされる

 基本的な機能は、2つのUSBポートを備え、片方に入っているファイルを、もう片方へコピーする、というだけで、ベリファイもできる。転送先には、そのままコピーするのではなく、サブディレクトリを作って、その下にコピーする。ファイルの上書きを防止するためだろう。

 これだけだと、たいしたことがないようだが、本体が小型軽量で乾電池駆動ができることもあって、意外と便利に使える。

 たとえば、誰かと一緒に外出し、今日撮った写真を別れるときに渡したいというような場合に、デジカメとUSBストレージを接続して、転送して渡すというようなことができる。基本的な操作はケーブルを接続して、本体のボタンを押すだけなので、帰りの電車の中ででもできる。

 ただし、デジカメ本体はUSBマスストレージクラス対応でなければならない。常用しているパナソニック FZ-1は使えたが、基本的にマスストレージクラス非対応のキヤノンやリコーのデジカメだと使えない。このあたりはあらかじめ確認しておく必要があるし、その場合はカードリーダをつなぐということになる。

 また、対応しているのがUSB 1.1のため、転送速度は遅い。400万画素級のデジカメで約100枚撮影したと想定して、128MBのCFカードを一杯にし、カードリーダとUSBフラッシュメモリ間で転送してみたが、約5分かかった。デジタル一眼レフのRAW撮影のようにファイルサイズが大きい場合のバックアップなどの用途にはちょっとつらいだろう。このあたりはUSB 1.1と2.0の両方のカードリーダを使った経験があると、感じがわかってもらえると思う。


左に送り出し側、右に受け側の機器を接続する USBカードリーダからUSBフラッシュメモリへコピー USBカードリーダからCD-Rを作成。光ドライブにはACアダプタを接続している

 ちょっと変わっているのは、受け側のドライブがCD-Rでも大丈夫なところだ。カードリーダを送り出し側に、受け側のドライブにCD-Rメディアを入れて、ボタンを押すだけでCD-Rを焼いてくれる。先ほどと同じ128MBのCFカードを焼くのに、これまた約5分で終了した。今日撮影したデータをとりあえずCD-Rにバックアップして置きたいというような用途には便利だろう。

 動作を見ていると、最初に一気に読み出しをかけて、しばらくしてからまとめて書き込みをしていることから、なんらかのCD-R用のライティング機能を内蔵しているらしい。残念なのは、DVDメディアには対応していないこと。また、MOドライブは接続できない。

 もちろん、光ドライブにACアダプタが必要な場合が、AC電源を用意する必要があるので、屋外での運用は難しい。自宅でバックアップ専用に用意するという使い方になるだろう。また、1GBのメモリカードだとCD-Rに入りきらないので、512MBのカードを使って、1対1でバックアップを取る、などの運用を考える必要がある。

 しばらく使ってみた上で便利に感じた使い道は、デジカメからUSBフラッシュメモリへのコピー、USB同士のコピー、メモリカードからCD-Rの作成の3通りだった。正直に言えば、1万円近い価格は少し割高に感じるが、これにしかできないこともあるので、その必要性によるだろう。

 欠点を挙げるとすればユーザーインターフェイスだ。なにせ、LED2つで動作状況を表わすので、いま何%コピーが終わったのかすらわからない。コピーの進行度合いがわからないので、ときどき不安に感じるし、いつ終わるのかも目安がないのでわからない。1行のモノクロ液晶でもいいので、「**%コピーシマシタ」と表示されるだけでだいぶ安心感が違うだろう。データがあふれたときも「ウケガワガイッパイデス」と表示してほしい。

 もう1つ欲しい機能といえば、対応インターフェイスがUSB 1.1ということもあって、割と転送時間がかかるので、ファイルのコピーが終わったときに小さいビープ音が鳴ってくれたらありがたい。もちろんUSB 2.0にも対応してほしいが。

 別の製品になってしまうが、カードリーダにこの転送機能が入るのもおもしろいと思う。マスストレージクラス対応の問題を除いても、デジカメ側のインターフェイスはUSB 1.1のものが多く、端子形状も複数あるからだ。多種対応のカードリーダに、USB端子がついていて、そこにUSBフラッシュメモリを差すとコピーがとれると便利だと思うのだ。ただ、あまり特別な用途に特化してしまうと汎用のおもしろさが無くなってしまうので悩ましいところではあるが。

 現状でも、使い方を考えれば便利な機器だが、もうちょっと改良することで用途とユーザー層が広がるような気がする。おもしろい小物だけに、今後の発展に期待したい。

□アイ・オー・データ機器のホームページ
http://www.iodata.jp/
□製品情報
http://www.iodata.jp/prod/pccard/readerwriter/2004/usb-usb/
□関連記事
【8月4日】アイ・オー、USB機器間のデータバックアップアダプタ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0804/iodata1.htm

(2004年9月7日)

[Reported by date@impress.co.jp]


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