[an error occurred while processing the directive]

メモリーテック、HD DVDメディアの生産拠点を公開
~今年秋には月産300万枚体制に

メモリーテックつくば工場。すぐ近くには筑波山が見える

8月18日 公開



 メモリーテック株式会社は18日、茨城県の同社つくば工場のHD DVDのティスク生産ラインを報道関係者に公開した。

 同ラインの特徴は、DVDメディアの生産と互換性のある生産ラインとしている点で、DVDと兼用でHD DVDメディアを生産している。

 メモリーテックの川崎代治社長は、「なぜプレスメーカーが特定の規格を支援するのか、という声もあるが、Blu-rayは、新たな生産設備投資が必要になるのに対して、HD DVDは、DVDの生産ラインをそのまま生かして生産できる。そのメリットが大きいため」と説明する。

 同社は、今年5月につくば工場内にDVDとHD DVDの兼用生産ラインを2つ設置。さらに、先週の段階で、関連会社の甲府メモリーテックの甲府工場に、同じく兼用ライン2つを設置。甲府工場では今週中のテスト稼働を経て、来週から本格稼働を開始するという。これによって、「月産200万枚の生産体制を確立できる」(川崎社長)という。

工場内部はクリーンルームとなっている。入室者は帽子、防塵服の着用が義務。退出の際にはディスクを持ち出していないかどうかの金属検査が全員に対して行われている つくば工場には、HD DVDとの兼用ラインが2ライン導入されている 白い部分が射出成形用の機械。2つの方向からラインに供給される。まだ、この段階では透明の円盤

続いて反射膜をコーティング。これによってディスク面が輝く。反射膜の後には保護膜をコーティング その後、貼りあわせの作業を行なう 貼りあわせが完了したらBCAユニットに。ここでディスク別にIDナンバーを付与することができる

完成したディスクを取り出す射出成形、原盤製造、ディスク製造に至るまでの全工程で約2分程度 完成したばかりのHD DVDディスク HD DVDからDVDへの工程の変更はわずか5分程度で完了する

動画1 動画2 動画3 動画4
3.2MB(MPEG-1) 3.8MB(MPEG-1) 1.4MB(MPEG-1) 1.5MB(MPEG-1)

 さらに、9月中旬には、甲府工場にさらに1ラインを増強。10月中旬には、次世代となる生産ラインをつくば工場に1ライン設置し、これによってHD DVDだけで月産300万枚の量産体制を確立するという。

 「現在の生産ラインでは、DVDで約3秒、HD DVDでは3.5秒が必要だが、次世代のラインではDVDで3秒を切るところにまで生産性を高めることができる」とした。

 現行のラインでも、射出成形から、原盤製造、ディスク製造に至るまでのすべての工程が、2分弱程度で完了することになる。

 DVDは、年末にかけて需要が増加すると見られており、レプリケーションを行なうプレスメーカーにも注文が殺到している。そうした意味では、依然としてDVDへの生産設備投資が加速しているのが実態。業界の試算によれば、全世界で1,000ライン程度が現在稼働しているというが、さらに1,000ライン程度の増強が必要ではないか、とも見られている。

 「DVDの増産に対応しながら、次世代のHD DVDへの投資も同時に行なえるというメリットは、当社のような企業にとって投資の有効活用につながる」としている。

 DVDの生産ラインは、HD DVDラインと兼用ラインにしても、BCA(Burst Cutting Area)に関する設備を付け加えるなどの一部の改良だけに留まり、投資額は5~10%増程度で済むという。

 DVDディスクの生産から、HD DVDディスクへの生産の切り替えは、わずか5分程度で可能となり、作業もそれほど面倒ではないことから、需要にあわせて柔軟にラインを変更することもできる。

 「DVDの生産は、今後の技術改良によって将来的には2秒台の前半にまで短縮することができそうだが、それでもそろそろ成熟した技術の域に入ってきている。その成熟した技術とノウハウをHD DVDに生かすことで、品質が高く、低コストでの次世代ディスクの生産が可能になる」と繰り返し強調する。

 HD DVDのメディアそのものは、量産開始当初はエンコードやオーサリングなどに関する投資コストがかかるため、DVDに比べて製造コストは10~15%増しとなるが、数年をかけて価格は下落していくと予測している。

 「Blu-rayに関しては、さまざまな報道があるが、価格競争力ではHD DVDの方が明らかに優位だろう」という。

メモリーテック、川崎代治社長 NEC第一ストレージ事業部 早瀬亮一統括マネージャー HD DVDメディアの生産途中の段階を見せるメモリーテックの日下裕製造技術総括補佐

 一方、NECの第一ストレージ事業部 早瀬亮一統括マネージャーは、「来年度にはHD DVDの製品投入、事業立ち上げが明確に見えてきた」と前置きし、HD DVDの現在の状況について説明した。

 「HD DVDは、今年6月に再生専用規格としてVer1.0が発行されたが、書き換え用のRewritableの規格に関しても、9月には承認提案を行なう予定だ。さらに一回書き込み用のHD DVD-Rに関しても、8月中には内部でほぼ規格が固まり、かなり完成度の高いものができたという報告を受けている。ビデオ規格についても順調に策定が進んでおり、今後6カ月でほぼすべての規格が固まることになる。そのタイミングに向けて、量産体制も整うことになる」とした。

 「また、Blu-rayには13社が参加しているのに対して、HD DVDの参加企業が少ないという指摘もあるが、DVDフォーラムには215社が加盟しており、そのなかで動いているHD DVDの方が参加企業が多いといえる。BDに参加している企業のうち約10社はDVDフォーラムのメンバーでもある」とした。

DVDとHD DVDとの差は密度。拡大してみると一目瞭然。左がDVDの密度で、右がHD DVDの密度 東芝製のHD DVDの試作機 HD DVDディスク

□メモリーテックのホームページ
http://www.memory-tech.co.jp/
□関連記事
【7月26日】HD DVD説明会開催。ポニーキャニオンがHD DVD市場に参入(AV)
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20040726/hddvd.htm

(2004年8月19日)

[Reported by 大河原克行]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
個別にご回答することはいたしかねます。

Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.