[an error occurred while processing the directive] |
松下電器、好調な第1四半期決算
|
川上徹也専務取締役 |
7月29日 発表
松下電器産業株式会社の2004年度第1四半期連結決算が29日、発表された。
「躍進21のスタートとしては順調な出足を切れた」と川上徹也専務取締役が指摘するように、売上高は前年同期比19%増の2兆1,020億円、営業利益で117%増の435億円、税引前利益が219%増の805億円、当期純利益は1,116%増の328億円と大幅な増収増益となった。
地域別の売上高は国内が28%増の1兆528億円、海外が12%増の1兆492億円。海外のうち、米国は消費の一服感があり6%減となったが、中国が30%増、アジアが22%増、欧州が15%増。前年割れとなった米国も現地通貨ベースでは前年同期比2%増になっているという。
2004年度 第1四半期 連結業績 | 地域別販売実績 |
「最終利益で300億円を突破したのは、'91年以来、13年ぶりのこと。また、全セグメントで増益を達成することができた。ホット、デジタル、オリンピックという3つの要素が重なっており、通常はテレビが売れるとエアコンが売れないということになるが、どちらも売れている珍しい現象が起こっている」と好調の要因を示した。
同社では、第1四半期の好調ぶりを背景に、上期の売り上げ計画の上方修正を発表。売上高は900億円増の4兆2,600億円、営業利益は150億円増の1,200億円、税引前利益は270億円増の1,250億円、当期純利益は170億円増の450億円とした。なお、通期の見通しについては、「中国経済や、米大統領選後の米国経済の動向、さらに為替の影響もあり、先行きは不透明」として修正は見送った。
部門別に見ると、AVCネットワークは、売上高が前年同期比4%増の9,039億円、営業利益は7%増の172億円。
中国や欧州における携帯電話の価格競争激化によって、PMC(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)が減収減益となったが、DVDレコーダー、PDPテレビなどを有するパナソニックAVCネットワークス社が売上高で前年同期比24%増の3,406億円、営業利益で108%増の52億円となったことで大きく影響。PDPテレビは前年同期比126%増となる453億円、DVDレコーダーは10%増となる369億円と伸張した。
「PDPテレビは、シェアで3割を越えた。6月の新シリーズの投入にあわせて、秀吉の一夜城ではないが、13機種を一晩で全国の販売店に突貫作業で展示し、一斉に販売する体制を作った。わずか一晩で、2万台の展示機を揃えたのは、過去に例がないこと」と逸話を披露した。
家電製品などが主力となるアプライアンス事業は、売上高が前年同期比17%増の3,441億円、営業利益が153%増の171億円、デバイス事業は売上高が前年並の4,032億円、営業利益が268%増の157億円となった。
今回の決算から含まれた松下電工およびパナホームは、売上高が3,505億円、営業利益は57億円。日本ビクターは、売上高が10%減の1,759億円、営業利益が32%増の27億円となった。
好業績を牽引した“V商品” |
同社の業績好調の牽引役となっているV商品は、第1四半期には57品目が投入され、2,680億円を計上。パナソニックのシェアは、1.2ポイント減少の22.6%となったが、ナショナル製品は1.6ポイント上昇し、21.6%となった。
「パナソニックでは、DVDレコーダーが20%近くシェアを落としている。これは昨年は参入企業が3社だったものが、今年は11社が参入しており、仕方がないことだと考えている。また、ムービーカメラもシェアを落としているが、秋以降の製品巻き返しを図りたい」とした。
デジタル製品に関しては、オリンピック終了後も伸びると見ており、「年末に向けて製品をさらに強化したいと考えている。DIGAではブルーレイの強化や、DVD/HDD/VHSの3in1タイプの投入、ムービーは400万画素製品の投入、PDPでは65インチモデルの投入などを予定しており、高付加価値モデルによって展開していく。また、イージーネットワークによって、VIERA、DIGA、LUMIX、D-Snap、ホームシアター、プリンタなどを結んだ提案もすすめたい」とした。
初めて触れられたPC事業の戦略 |
今回の決算会見では、同社としては初めてPC事業の概況に触れた。
川上取締役専務は、「当社のなかでは地味な事業であるが、大変品質が高く、パワーユーザーには高い評価を得ている。在庫がゼロの形で生産しており、第1四半期には300億円の売り上げをあげている。こうしたノウハウをパーソナル市場に展開して、収益性を高めていきたい」とした。
なお、今回の好決算を受けて、同社 中村邦夫社長が示している「窮地は脱したが危機は脱していない」という姿勢に変化はあるのかという質問に対して、川上専務は、「依然として危機は終わっていないと中村は言っている。危機意識は社員共通のDNAにしていかなくてはならない。社員の気持ちが緩んではいけない」として、姿勢に変更がないことを示した。
□松下電器産業のホームページ
http://matsushita.co.jp/
□連結決算資料
http://ir-site.panasonic.com/jp/first_q/1q_financial_results_j.html
□連結決算概要
http://matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn040729-1/jn040729-1.html
(2004年7月29日)
[Reported by 大河原克行]
|