西川和久の不定期コラム

Nikon D70で撮ってみました! 『グアム編』



Nikon D70

川原洋子(左)@ARDENY ACT
福山安奈(右)@ネットアージュ

 今回はNikon D70の登場だ。スペックを見るとD100よりも高性能なのではと思ってしまうほどの出来栄えで、価格・性能共にキヤノンのEOS Kiss Digitalキラーと呼べるデジタル一眼レフカメラである。タイミングよく出荷版をグアムロケへ持って行けたので、ビデオ撮影中の空き時間に少しだけ撮ってきた。

 カメラを筆者のNikon D1Xと同様、コントラスト:LOW、シャープネス:LOW、色空間:AdobeRGB、画質モード:Fine、サイズ:Largeと設定。この関係でPhotoshopを使いコントラスト及びエッジを強調をした後、AdobeRGBからsRGBへ変換している。サムネイル先の写真は半分の300万画素(2,048×1,536ピクセル)へリサイズ&縦方向を少しトリミングした。予めご了承頂きたい。

Text by Kazuhisa Nishikawa


●Nikon D70の仕様

 仕様の詳細はメーカーの製品情報をご覧頂きたいが、大雑把なところでは、有効画素数6.1メガピクセルの23.7×15.6mmサイズ原色CCD搭載(実撮影画角はイメージャのサイズから約1.5倍になる。)、レンズマウントにニコンFマウントを採用、撮像感度:ISO200~1600相当、シャッタースピード:30~1/8,000秒、5エリアマルチフォーカスAFシステム、記録メディアはコンパクトフラッシュカード(Type1/2)とMicrodrive、バッテリーはLi-ionリチャージャブルバッテリーEN-EL3、秒間約3コマ/最大144コマの連続撮影が可能……など、本格的なデジタル一眼レフカメラである。

 最大の特徴は10万円台前半でデジタル一眼レフカメラを買えることだろう。他社でこの価格帯はキヤノンのEOS Kiss Digitalだけである。しかも上記にある様に秒間約3コマで最大144コマ(画質モード:NORMAL/サイズ:L)というこのクラスからは考えられない連続撮影性能を誇る。起動時間もたった0.2秒だ。デジカメだから……と、これまで我慢していた部分が一気に解消されている。

 掲載した写真は全てISO:200/WB:Daylight/画質:Fine/撮影モード:M(マニュアル露出)で撮影した。使用したレンズは、AiAF Nikkor 35mm F2D/AiAF Nikkor 50mm F1.4D /AiAF Nikkor 85mm F1.4D(IF)の3種類。全て単焦点レンズである。普段はこれらに加えてAiAF Nikkor 24mm F2.8Dもたまに使っている。

AiAF Nikkor 35mm F2D
AiAF Nikkor 35mm F2D
F4.5, 1/640秒。撮影時間は昼少し前で日差しが強烈。日陰に入って撮影した。
AiAF Nikkor 35mm F2D
AiAF Nikkor 35mm F2D
F4.5, 1/320秒。APS-Cサイズのイメージャには35mmの単焦点が使い易い。
AiAF Nikkor 50mm F1.4D
AiAF Nikkor 50mm F1.4D
F4.0, 1/500秒。約75mm相当になるのでちょっと使い辛くなるものの、標準レンズの写りは抜群!
AiAF Nikkor 50mm F1.4D
AiAF Nikkor 50mm F1.4D
F4.0, 1/320秒。同社のD1Xと比較すると若干ラチチュードが狭い気がする。
AiAF Nikkor 35mm F2D
AiAF Nikkor 35mm F2D
F4.5, 1/250秒。ほぼ同じ場所で撮影しているのに雲がかかるとこれだけ色が変わってくる。
AiAF Nikkor 35mm F2D
AiAF Nikkor 35mm F2D
F6.3, 1/640秒。これだけ明るい場所でISO200は感度が高過ぎる。やはりISO100も欲しい。

●使用感は!?

 日頃D1Xを使っているので、少し辛口のコメントになる予定だったが、結果的に大きな不満は無い。若干AFが速く正確になれば……と言う程度だ。メニュー操作も項目が減っているだけで特に迷わなかった。液晶モニタの見え方も正確。表示を信じ撮影してOKだ。
 不満があるとすれば、ファインダの見え方やシャッター音であるが、価格帯を考えれば並以上である。ただ気になった点は、ファインダ内のバリブライト・フォーカスエリアだ。“明るいところでは黒”、“暗いところでは赤”のスーパーインポーズになるものの、これだけ明るい場所だと黒とそうでない部分(グレー)の区別が付かない。出来れば自動判別でなく、どちらかへ固定するモードも欲しい。バッテリー駆動時間に関しては優秀だ。400枚以上撮ってもインジケータはフルのまま。一般的な用途であれば一本で十分だろう。充電器も非常にコンパクトで旅行などで持ち運ぶ時邪魔にならない。とにかく低価格機にありがちな「安いから仕方ないよね!」的な欠点は見当たらなかった。
【お詫びと訂正】カスタムセッティング18「フォーカスエリア照明」により、常に赤色に照明する設定はできます。


 画質に関しては、20万円を切る価格帯のデジタル一眼レフカメラとしては可もなく不可もない。色に関してはD100同様どちらかと言えばナチュラル系だ。D1Xと比較した場合少し平面的か!? ただこれは色空間をAdobeRGBにした時であり、sRGBモードでは使用しなかったので不明である。D1Xに関してはsRGBの色は好きではない。

AiAF Nikkor 85mm F1.4D(IF)
AiAF Nikkor 85mm F1.4D(IF)
AiAF Nikkor 35mm F2D
AiAF Nikkor 35mm F2D
AiAF Nikkor 35mm F2D
AiAF Nikkor 35mm F2D
AiAF Nikkor 85mm F1.4D(IF)
AiAF Nikkor 85mm F1.4D(IF)
AiAF Nikkor 35mm F2D
AiAF Nikkor 35mm F2D
AiAF Nikkor 35mm F2D
AiAF Nikkor 35mm F2D

 後半は水着での撮影。ちょっと本業っぽく撮ってみた。ここ数年もう少しハードな感じの写真が多いので何か物足らない気がするのは職業病か(笑)。AiAF Nikkor 85mm F1.4D(IF)は実際約127.5mm相当になるので少し被写体から遠くなってしまうもののお気に入りの一本だ。使用頻度は35mmが90%以上、85mmと50mmが10%未満、24mmは気が向いたら……といった感じである。また、ISO200の感度は室内では有効。どちらのカットもF3.2の1/200秒。D1Xだとシャッタースピードは1/100秒程度になる。さすがにこの程度であれば手ブレしないが、もう少し暗くなると手ブレや被写体ブレを気にする必要が出てくる。屋外では感度が高過ぎるがコンシューマー機としては使い易いだろう。

 また、眼の悪い筆者にとって視度調節機構-1.6 ~+0.5 m-1はマイナス側が不足している。できれば-2以上欲しい。F100・F90X・F90・F801S用接眼補助レンズ(-5~+3m-1まで9種)が使えると思うが、今回は持っていくのを忘れてしまいAF任せで撮影した。

 さて、D1X一台で頑張っている筆者であるが、現場での故障などを考えるとそろそろサブ機が欲しくなっている。レンズがそのまま使え、バッテリー関係もコンパクトなので、D70は十分その役目を果たしてくれそうである。しかし、結論としてはNGだ。コンシューマー機としては十分な性能を誇るが、グラビア撮影用としては構えてファインダーを覗きシャッターを切った時のフィーリングがイマイチなのだ。このカメラで一日1,000回以上シャッターを切ることは出来ないだろうし、もしやるとすると相当なストレスが溜まる。キヤノンのEOS-10Dに関しても同じである。ボディはプロ機で中身は少し控えめ的なモデルが欲しいものの、需要があるとも考え難いので出るとしても相当先の話か!?

【お詫びと訂正】初出時にRAW現像ソフトは別売と記載しましたが、標準添付の「PictureProject」にてRAW画像が取り扱えます。お詫びして訂正させていただきます。


●総論

オマケ!

オマケ!(AiAF Nikkor 35mm F2D)

 価格を考えるとコストパフォーマンスは抜群! 他社の追随を許さない仕上がりになっている。筆者はD70の発表会にも行ったが、その時名指しで他社機と仕様比較していたのが印象に残った。それだけ自信作なのだろう。実際触っても明らかな差となっている。もちろん競合他社も黙って見ているとは思えない。お互い競争してより良いモデルが出てくることを期待している。

 ところでD2X(D2Hの高解像度モデル)はどうなっているのだろうか? そろそろD1Xはボロボロの状態で修理する間隔が短くなってきている。あまり時間がかかる様であれば、EOS-1D MarkIIへ乗り換えてしまいそうだ。元々はキヤノンユーザーということもあり、レンズはどちらも同じラインナップを持っている。今年中に何とかなるのかな!? >Nikon

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(2004年5月31日)

[Text by 西川和久]


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