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JEITA、新会長にソニーの安藤社長が就任
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JEITA新会長の ソニー 安藤国威社長 |
5月28日 発表
社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の新会長に、ソニーの安藤国威取締役代表執行役社長兼グループCOOが就任した。任期は1年間。
5月28日、同協会会長として初めて会見に臨んだ安藤氏は、「デジタル機器を中心とした需要拡大に加え、半導体やディスプレイも電子産業の拡大に大きく寄与しており、市況は好転している。国内の景気回復にも貢献できるのではないか」と、今年度の電子産業について明るい見通しを示した。
同協会では、2004年度の電子産業は前年比6.5%増とし、3年ぶりの20兆円回復を見込んでいるが、「1~3月の動きを見ても、前年同期比9.2%増と高い伸び率を示しており、通年でも当初予測上回る可能性がある」とした。
しかし、安藤会長は、電子産業において、3つの課題があると指摘する。
ひとつは、政策として掲げられているIT社会の実現に向けた社会インフラの整備、拡大に貢献することだという。
「情報化投資は拡大傾向にあるが、電子政府の実現、企業内の合理化といった点だけではなく、家庭生活におけるIT基盤の整備が重要な課題となる。それに伴い、セキュリティや個人情報保護といった点にも積極的に取り組んでいく必要がある」。
第2点目は、地上デジタル放送の普及促進。昨年末に3大都市圏で放送が開始されたこと、さらに2011年には全面的なデジタル放送への移行を踏まえて、「地上デジタル放送は、今後、生活に最も密着したインフラのひとつになる。政府、自治体、放送局、販売店、ユーザーなどの理解を得て、普及を推進したい」とした。
とくに、今年はアテネオリンピックによる需要拡大が見込まれることにも触れ、「オリンピックという国際イベントの放送の多くがハイビジョンで放映されるということもあり、普及には大きなチャンスとなる。この需要拡大が日本の景気回復に結びついていくのではないだろうか」と期待を寄せた。
第3点目が環境への対策。昨年開始した個人向けPCの回収・リサイクル制度は、すでに79,300台に達していることを取り上げながら、「同制度も順調に進んでおり、循環型社会の基盤づくりにも貢献できている。今後も、効率的な回収・リサイクルが推進できるように、地方自治体、販売店との協力をすすめたい」とした。
一方、安藤会長は、PC市場動向にも言及した。
「日本においては、PCは、ある時期には産業を引っ張る役目を果たしたが、世界的に見た場合、存在感がそんなにあるわけではない。だが、米国市場においても、50%以上をノートPCが占めはじめ、日本においても、米国の家庭のように日常的にPCを利用するといった使い方が増えてきた。普及の仕方や、使われ方が変わってきているといえる。PC市場は縮小するといった見方もあるが、そうした見方よりも、今後は、ITと、AVやテレコムの技術が融合し、新たな市場が伸びていく。そこで日本のメーカーの強みが発揮できればいいのではないか」と語った。
また、アテネオリンピック後には需要の停滞が見込まれるのではないか、との見方に対しては、「私は、むしろ、これから発展が加速すると見ており、2004年はそのために重要な1年になるのではないかと予測している」と前置きし、「2005年、2006年は、本格的な情報化、ネットワーク化が爆発的に広がるタイミングになるだろう。この勢いは、2008年の北京オリンピックまで続くと見ている。そのためのステップが2004年になる。なかでも、デジタル家電に対する期待が高く、しかも、この分野は日本の企業が得意とする分野でもある。日本の強みはデバイスだけでなく、いかに使いやすくできるか、といった点にもある。ますます日本の強みが発揮できるだろう」とした。
また、サムスンをはじめするアジア勢の躍進、あるいはデルやヒューレット・パッカードといった米国勢の低価格戦略については、「海外のメーカーは、それぞれIT分野や半導体分野において、自分の『型』というものをもって、それを強みに積極的な攻勢をかけている。日本の企業も、ブラックボックス化した技術や、生産工程は海外に出しても、生産ノウハウは出さないというように、自分たちの強みを生かした『型』を作る必要がある」と訴えた。
さらに、知財に関しても言及し、「日本は、知財やデザインに関しては、寛容に対応してきた傾向があり、海外の企業には、日本のメーカーは、少し強く押せば引くという誤った印象を持たれているのではないかと危惧している。知財に関しては、争うべきところでは徹底的に争っていく必要がある。中国からもキチッと取るところはとらなくてはならない」と語った。
□JEITAのホームページ
(5月28日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.jeita.or.jp/japanese/index.htm
(2004年5月28日)
[Reported by 大河原克行]
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