エプソンからダイレクトインクジェットプリンタ「Colorio me:(カラリオ ミー) E-100」が発売された。キャリングハンドルと呼ばれる「取っ手」がついているコンパクトなプリンタで、ハガキサイズまでPCを使わずに簡単に印刷できる。 女性メンバーのみのプロジェクトチームによって企画され、主婦や若い女性をターゲットにしたというこのプリンタを主婦歴4年の筆者が実際に使用してみた。 ●収納しやすい形、ユニークなキャリングハンドルで持ち運びも楽々
箱を開けての第一印象は、とにかく「小さい」ということだった。プリンタといえば、パソコンの横を定位置で陣取り、一度そこに置いてしまえばなかなか移動することはない。仕事部屋ならともかく、リビングなどに置くとインテリアの邪魔者になる。 E-100の本体サイズは252×154×162mm(幅×奥行き×高さ)、重量2.7kgと小型で軽い。キャリングハンドルがついているので、持ち運びしやすく、必要なときだけ出してきて使うことができる。 用紙サポート(給紙トレイ)や排紙トレイなどは印刷時に引き出して使うが、終わればすっぽり折りたためるので突起物がない。これなら、押し入れ等の隙間にも入れやすく、ホコリなどがたまる心配もない。
プリンタとしての基本性能も高い。出力解像度は最大2,880×1,440dpi(ダイレクトプリント時は1,440dpi)。同社のハイエンドモデル「PX-G900」のインクをベースとした、6色顔料フォトインクを採用している。このインクは「つよインク」と呼ばれるもので、色褪せしにくいのが特徴。 インクカートリッジは6色一体型で、E-100専用となっている。対応用紙サイズはカード、L判、ハガキで、写真用紙とフォトシールを使用可能。用紙サポートには最大20枚の用紙をセットできる。 本体上部には、電源ボタン、戻るボタン、選択ボタン、OKボタン、印刷開始ボタン、中止ボタン、バックアップボタンがある。ボタン自体は大きく、ボタンの文字もハッキリ読みやすい。基本的に写真を選択し、印刷枚数と用紙設定を行なうだけで印刷可能。液晶表示部を見ながら、機械に苦手な人でも簡単に操作できるだろう。
「詳細設定」を選べば、画像の自動調整をしたり、モノクロ・セピアのフィルタをかけたりできる。画像の一部をトリミングし、拡大することもできるズームプリント機能もある。ギャップ調整やクリーニング機能も、プリンタ本体で調整できる。 印刷した後からでも、「中止ボタン」を押せば瞬時にプリントを停止できるので無駄もない。 ●さまざまなメモリカードに対応しているスロット
デジカメやケータイで撮った画像は、PCを通さず直接メモリカードスロットを利用して印刷できる。 メモリカードスロットは、SDメモリーカード、MMC、xD Picture Card、スマートメディア、コンパクトフラッシュ、Microdrive、メモリースティック、メモリースティックPRO、マジックゲートメモリースティックに対応。同時に複数のメモリカードは認識できない。 自分の持っているデジタルカメラが何のメディアを使用しているのか、気にしていない人も多い。これだけのメディアに対応していれば、大抵のデジタルカメラで使用できるので安心だ。 メモリーカードを直接差して印刷する場合は、最初にインデックスプリントを行ない写真の内容をチェックすると便利。インデックスプリントは、用紙1枚に20コマ印刷される。ただし、1コマがかなり小さいため、ピンぼけしているのか、人物が目をつぶっているかなどの判断は難しい。 E-100のランニングコストは1枚約21.6円(税別・L判、用紙代も含む)。ランニングコストは同社製品の中で最も安い部類に入る。しかし、主婦としては1枚でも無駄にしたくないのが本音だ。そんな節約が身に付いている方には、インデックスプリントの代わりに本体内蔵のTV出力端子を使ってTVにつないだり、USBケーブルでデジタルカメラと接続して写真の内容を確認するほうがオトクだ。 特にテレビをモニタとして使えるのは便利だ。大画面で写真をチェックしてからプリントできるので、微妙なピンぼけ写真などをはずすことができる。画像をスライドショーで見れば、家族やお友達が集まった時にもワイワイ楽しめる。 また、USBホスト端子に対応MOドライブ/CD-Rドライブを接続し、メモリカードの画像データをPCなしでバックアップできる。さらに、別売オプションの赤外線モジュールやBluetoothユニットを使えば、ワイヤレス印刷も可能。 もちろん、PCと接続して印刷することもできる。PCとの接続用にUSB 1.1端子を装備しており、ドライバや印刷補助ソフトなどが同梱されている。写真にフレームをつけたり、細かく画質の設定を変えたい人はPCから印刷するほうを選ぶだろう。ただ、撮った画像を写真サイズで印刷したいだけの人には、プリンタ単体の印刷で十分だ。 6色顔料フォトインクで、2plという極めて小さなサイズのインク滴を実現しており、印刷クオリティは高い。目を近づけても粒状感はほとんど感じられず、画質については満足できる。 また、Exif Printと、PRINT Image Matching IIにも対応している。対応デジタルカメラを使えば、色をより忠実に、より美しく再現することが可能だ。 実際に印刷してみたところ、L判の印刷時間は下記の通り。静音設計により40dB以下の動作音を実現している。実際に印刷してみても印刷時の音は静かで、テレビや会話の邪魔にならない。しかし、1枚あたりの印刷時間は、上位モデルと比べて長めだ。 【L判の写真印刷にかかった時間】
なお、ダイレクトプリントでは「高精細」は選べず「きれい」のみとなり、最小インク滴は3plとなる。しかし、「高精細」と「きれい」の差はほとんど感じられず、「きれい」でも印字品質は十分だと感じた。「高精細」では「きれい」の約2倍の印刷時間がかかるので、PCから印刷する場合も通常は「きれい」を選べばいいだろう。
E-100は無駄な機能を一切省いており、シンプルで初心者にも使いやすい。ペットや家族、友だちとの旅行写真などを印刷して人にあげたりアルバムに整理したりする程度なら、ハガキサイズまで印刷できれば十分だ。もちろんA4や普通紙の印刷はできないので、文書などを印刷するのには向いていない。 普段はどこかに収納しておけるのも魅力で、キャリングハンドルを使って家中どこでも軽々と持ち運べるのは嬉しい。友人が来たとき、サッとプリンタを出して、目の前で写真が印刷できれば会話も弾むだろう。音も静かで、会話の邪魔をされないのもいい。 結婚式などに持っていき、冠婚葬祭などでしか会わないような遠い親戚などに、その場でスナップ写真を印刷して配るのにもピッタリだ。ただ、こういったシーンなどで使う場合は、電池や充電池で駆動できればさらに便利だろう。 また、インクカートリッジが大型の6色一体型で迷わずセットできるのはいいのだが、E-100専用品なので、大手家電店以外のコンビニや文房具店などでも販売されるのかが気になるところだ。 実売で22,000円前後ということで、価格的にも納得できる範囲だろう。写真を印刷するたびに、PCを起動する面倒さに嫌気がさしている人におすすめしたい。 □関連記事 (2004年4月26日) [Reported by 石井和美]
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