西川和久の不定期コラム
「CASIO EX-S20で撮ってみました!」



CASIO EX-S20

坂本幸子@ネットアージュ

 今回は「CASIO EX-S20」の登場だ。超薄型コンパクトと、どこへ行くにも邪魔にならず持ち運べるのが大きな魅力。ただ仕様的に、いまどき200万画素でパンフォーカスというデメリットがあるものの、それを他のメリットが上回るかのか、非常に興味のあるところだ。

 前回同様、Photoshopのトーンカーブだけを触って本来出したかった色を可能な限り再現し、サムネイル先の写真は、ワンランク落とした100万画素(1,024×768ピクセル)へリサイズした。この点は予めご了承頂きたい。

Text by Kazuhisa Nishikawa


●CASIO EX-S20の仕様

 仕様の詳細はメーカーの製品情報をご覧頂きたいが、大雑把なところでは、有効200万画素1/2.7インチ原色CCD搭載、35mmフィルム換算37mm/F3.5の単焦点、メモリは内蔵フラッシュメモリー10MBとSDメモリーカード、専用リチウムイオンバッテリといった感じだ。
 シルバー以外のカラーバリエーション、ゴーギャン・レッドとゴッホ・イエローも用意され、よりスタイリッシュさをアピールしている。サイズは83×53×厚さ11.3mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約78g(バッテリと付属品含まず)。かなり小さくて薄い。丁度、タバコのサイズで厚みが半分程度である。これなら普段持ち歩くのに便利だろう。

 冒頭にも書いたが、このカメラはパンフォーカスでありAFを搭載していない。標準で80cm以上、マクロモードで約30cmがその範囲となる。どの程度実用になるか!? 早速試用したので写真をご覧頂きたい。少し肌寒い日ではあったが、お天気も良くすべてISO64/WB:Daylight/圧縮:Fineで撮影している。ロスレス回転だけ行なった別カットのオリジナルデータ一点をここに置くので参考にしてほしい。

近距離1
近距離1
特にパンフォーカスだから……という感じはしない。200万画素でこの解像感ならOKだ
全身
全身
200万画素で全身は厳しいものの、画素数を考えれば気になる部分は無い
近距離2
近距離2
このカットもOK。意外とパンフォーカスはいけるかも知れない。ラチチュードもこんなものだろう
マクロモード
マクロモード
このカットは何枚か撮ったものの、ジャストにピントが来ているのは少しだった
近距離3
近距離3
レフ板で光を起こしているとは言え、この輝度差で空の色が出ているのは立派
近距離4
近距離4
このカットの写りはかなり良い。肌色、黒い服、自転車の色、破綻せずにいいバランスだ

●軽快な使用感

 半日触って一番感じたのはパンフォーカスのメリットだ。つまりAFの動作が無いため、何時でも待つことなく即シャッターが切れる。もちろんフォーカスロックも不要。構図さえ合わせばサクサク撮れるのは快適である。更に起動時間や書き込み時間、再生速度、どれも速く、この快適さをスポイルする部分は一切無い。非常に軽快なカメラといえよう。

 次に驚いたのはバッテリ駆動時間。実は今回、編集部にバッテリを2本用意してもらったのだが、1本はフル充電(約2時間)、もう1本は都合で半分しか充電できていなかった。「どうせ直ぐ切れるだろうから……。」と、半分しか充電できていない方から使い出したものの、そのバッテリだけで約250枚撮れてしまったのだ。実際に筆者が撮影した以外にもムービーを撮ったり、モデルの子が触ったりと、必要以上に使ったにも関わらず2本目のバッテリは結局使わなかった。

 画質に関しては色は普通。特に良くも悪くもない。エッジ強調はパンフォーカスということもあり強めだ。筆者的にはもう少しソフトの方が好みか!? サンプルの写真は白トビしている部分が多いと気になる読者の人もいるだろうが、いまどきのデジタルカメラはどれも似たり寄ったり。更に多くのモデルの子は私服2点と指定すると白&黒を着てくる子がほとんど。カメラにとっては厳しい条件になってしまう(笑)。

PHOTO-1
PHOTO-1
PHOTO-2
PHOTO-2
PHOTO-3
PHOTO-3
PHOTO-4
PHOTO-4
PHOTO-5
PHOTO-5
PHOTO-6
PHOTO-6

 後半の写真はレフ板を使わず普通に散歩しながら撮影した。日頃筆者が文句を言っている露出補正に関しては、キーカスタマイズ機能で左右キーに割り当てられ、ワンアクションで補正可能になる。更にリアルタイムヒストグラム表示も対応。パンフォーカスのお気楽カメラとしては押さえるべきポイントは押さえてあり非常に好印象だ。
 ちょっとしたミスとしては、シャッターが軽くカメラを持ちながら歩いていると知らない間にシャッターを押し、撮った覚えのない写真が写っていることがあった。慣れの問題なので、この点は欠点と言う程のものでもないだろう。

 ただ不思議だったのは、ホワイトバランスをDaylight固定にしているにも関わらず、何枚かに1枚は同じシーンなのに色が違っていることがあった。この現象は他社のカメラでも発生することがあり、ホワイトバランス固定なのに何故そうなるのか!? 意味不明である。


●総論

MOVIE Sample

動画サンプル!(Motion-JPEG,1.2MB)
Windows Media Playerで再生できないときは保存してQuickTime Playerをご利用ください

 正直、使い出す前は「どうせパンフォーカスだから……」と、あまり期待していなかった。しかし、この快適さは抜群だ! 一眼レフには無いコンパクトカメラならではの撮る楽しさを久々に味わった。もともと被写界深度の深いデジカメにおいてパンフォーカスはけっこう有効な手段であることを再確認した次第だ。

 ただ、このクラスは今後確実にカメラ付き携帯電話と競合する。現時点では画質はともかく、起動時間や書き込み時間がかかり過ぎるため、まだまだ携帯電話はEX-S20の敵ではないが、大差なくなるのも時間の問題だ。それまでには是非次の一手を考えてほしい。

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(2004年3月23日)

[Text by 西川和久]


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