会期:2月17日~19日(現地時間)
Intelがエンジニア向けに開催するIntel Developer Forumが、明日よりサンフランシスコのモスコーンセンターにおいて開催される。特に今回のIDFでは、これまでコードネーム「Yamhill」の名前で一般に知られてきたIntelの64bitアーキテクチャのベールがいよいよはがされるとあり、大きな注目を集めている。 ●64bit拡張が最大のテーマとなるIDF 今回のIDFで最大の注目は、これまでYamhillの名前で知られてきたIntelの64bitアーキテクチャに関する発表だ。この64bit拡張は、'80年代にi386プロセッサで導入された32bit命令セットである「IA-32」を拡張するものとなり、20年続いた32bit時代から本格的な64bit時代への移り変わりを告げるものとなる。 現時点ではYamhillがどのような形で正式発表されるのは明らかではないが、確実に言えることは明日トップを切って行なわれる予定のIntel CEOクレイグ・バレット氏基調講演の中でなんらかのアナウンスがあるということだ。 情報筋によれば、Yamhillは当初はXeonの新しい機能として発表されるようだ。IntelはOEMメーカーに対して64bit拡張についてすでに説明を開始しており、第2四半期にリリースされる予定の次期Xeon「Nocona(ノコナ、開発コードネーム)」で対応すると説明しているという。すでにOEMメーカーにはYamhillに対応したNoconaのサンプルが出回り始めており、明日のバレット氏の講演ではNoconaのYamhill対応に関して公式発表がされると見られている。 注目なのは、PrescottのYamhill対応がどうなるのかということだ。OEMメーカー筋の情報では、Intelは次世代Pentium 4の「Tejas」に関してはYamhill対応であると説明している模様だが、Prescottに関してはYamhill対応版をリリースするのかどうか態度を明確にしていないという。 つまり、デスクトップPCでYamhillが使えるようになるのは、Tejasなのか、それともPrescottになるのかは現時点では明確ではないということだ。この辺りに関しても今回のIDFで明らかになる可能性があり、要注目だ。 ●対抗陣営もゲリラ作戦でIntelの64bit潰しを狙う
Intelがついに64bit拡張について発表を行なうということで、大きな注目が集まるIDFだが、すでにAMD64という64bit命令セットを投入しているAMDも、この動向に対して警戒感を強めているようだ。 AMDはIDFの期間中に会場近くのホテルで報道陣を対象にした説明会を開催する予定。また、先週にも多数の64bit命令に関するプレスリリースを発行しており、Yamhillに対してだけ注目が集まることに警戒感を持っていることが見て取れる。 反Intel陣営がYamhillに対して、いかに警戒感を抱いているかは、本日会場近くのホテルでIntelが報道陣を対象に行なったセミナー中の出来事からもわかる。Intelが主催したこのセミナーの途中、休憩時間があったのだが、そこに“Press Club of California”を名乗る団体の関係者が現れ、集まっている報道関係者に対して1枚のビラを配っていった。 そのビラには、2月18日(現地時間)の朝8時から9時半にかけてサンフランシスコの中華街において、64bit命令セットに関する“The Next Generation 64-bits PC”と呼ばれるパネルが開催されるとかかれていた。その出席者はVIA Technologies、NVIDIA、Phoenix Technologies、IDC、AMDの関係者となっており、64bit命令セットについて語り合うという。 問題はこの2月18日の朝8時から9時半という時間帯で、この時間帯にはIntelのマイク・フィスター副社長(エンタープライズプラットフォームグループ ジェネラルマネージャ)と、ウィリアム・スー副社長(デスクトッププラットフォームグループ 共同ジェネラルマネージャ)の2人が講演を行なう。この時間には当然Yamhillに関する詳細説明があると見られており、Press Club of Californiaのパネルが基調講演を狙い撃ちにしていることは誰の目にも明らかだ。 なお、Press Club of Californiaの関係者は、Intelの関係者の許可を取らずにIntelが主催する記者会見の会場に入ってビラを配布していたようで、あとでそれに気が付いたInteの関係者がそのビラを回収して回るという一幕も見られた。 このように、64bitを巡るIntel、および反Intel陣営の対決は激しさを増してきており、IDFの期間中にどのような動きがあるのかは目が離せそうにない。 ●デジタルホームにも大きな注目が集まる 年頭に行われたInternational CESでも見えてきたように、2004年はデジタルホームと呼ばれるデジタル機器がネットワーク化されたリビングが本格的に立ち上がる年になる可能性が高い。 Intelは以前よりデジタルホームに本格的に取り組んでいるが、今回のIDFでもそれに関するより詳細な情報が明らかにされると見られている。Intelなどが主導して策定が進められている「DHWG(Digital Home Working Group)」のガイドラインはまもなく最初のバージョンがリリースされる見通しであるし、CESで発表されたエンターテイメントPC構想などに関してもより詳細な情報が明らかにされるものと見られる。 開催前日となる本日は、参加者の登録が行なわれ、展示会場の設営も進められている。PC Watchでは、IDFに関して詳細なレポートを連日お届けする。 なお、IDFは4月7日~8日に東京でも開催の予定で、オンライン登録が開始されている。
□IDF Spring 2004のホームページ(英文) (2004年2月17日) [Reported by 笠原一輝]
【PC Watchホームページ】
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