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JEITA、国内電子工業生産見込みは5.8%増
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JEITA 佐々木元会長 |
12月17日 発表
社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、2003年の電子工業生産見込みが、前年比5.8%増の19兆823億円になると発表した。
年初の予測では、前年比3.6%増としていたが、これを上回る結果となる。すでに、1月から9月までの実績では前年同期比4.9%増、10月まででは5.5%増となっており、「例年の11月、12月の動きと照らし合わせれば、前年比5.8%には到達するだろう」と同協会では見込んでいる。電子工業生産は過去2年は連続して2桁台の大幅な落ち込みを見せており、今回のプラス成長は3年ぶりとなる。
予想を上回る見込みとなったことについて、同協会の佐々木元会長(NEC会長)は、「デフレ経済の進展、失業率の上昇など、日本経済の不安要素は払拭しきれていないが、企業収益は回復するなど景気は持ち直してきていると判断している。こうしたなか、電子情報産業においては、PDPや液晶といった新しいデジタル機器やDVD、カーナビ、デジタルカメラ、携帯電話などの出荷が好調だったことで民生機器や電子デバイスの需要拡大や、設備投資の拡大といった動きが出てきた。2004年もこの勢いが持続すると見ており、前年比6.5%増の20兆3,137億円に到達するだろう。3年ぶりに20兆円台の規模に回復する」とコメント。電子産業が一歩先んじた景気回復となっていることをアピールした。
2004年は、携帯電話が人口普及率で6割に達していることから、2003年のような大幅な伸びは期待できないとしているものの、デジタル機器が引き続き急成長を遂げると予想されていることや、アジア地域における設備投資の増加によって産業用機器が輸出増による安定した成長をみせると予測できるほか、デジタル映像機器向けの電子デバイスの成長などが見込まれ、2年連続での市場拡大の牽引役になるとしている。
分野別に見てみると、産業用電子機器は、2000年までは全体の50%以上を占めてきたが、ITバブルの崩壊とともに設備投資が極端に落ち込み、産業用機器の比率が縮小してきた経緯がある。だが、2003年はアジア向けの輸出の増加に加え、携帯電話向け設備の増強、地上デジタル放送の設備投資など無線分野での設備投資が拡大したことによって、前年比1.3%増の7兆6,030億円となり、3年ぶりにプラスに転化。2004年も7兆7,248億円と前年比1.6%増の伸びを見込んでいる。
だが、電子計算機および関連装置は海外生産へのシフトと価格低下の影響を受けて、2003年は12.6%減の2兆5,775億円。2004年も1.5%減の2兆5,386億円とマイナス成長を見込んでいる。
また、今回の発表数値では、PCも厳しい見通しとなっている。
今回、同協会が発表した見込みでは、2003年は前年比12.9%減の1兆900億円。2004年は0.9%減の1兆800億円と、引き続きマイナス成長を見込んでいる。
同協会では、別の統計として、四半期ベースでPCの出荷統計を発表しているが、出荷統計では、海外メーカーが海外で生産した分や、国内メーカーでも海外で生産した分もカウントしているのに対して、今回の生産統計では、国内で生産されたものに限定した集計となっている。出荷統計の方は、約9割強をカバーしているのに対して、生産統計の方では、国内で流通するパソコンの約6割程度をカバーしているにすぎないというのが一応の目安だ。
だが、出荷統計では4~9月が前年同期比2桁増になるなど、パソコン市況が回復基調に転じはじめているのに対して、今回の生産統計がマイナス成長となっていることを見ると、海外生産へのシフトが急速に進展していることが裏付けられる。
産業用電子機器に代わって比率を高めてきた電子部品・デバイスは、デジタル機器の進展に伴って2003年は大幅な成長を遂げた。
発表によると、2003年は前年比7.6%増の9兆2,066億円、2004年は前年比9.2%増の10兆558億円と予測されている。電子部品は、デジタル家電、携帯電話向けの部品の需要拡大に加えて、自動車用機器向けの部品が増加。しかし、その一方で海外シフトが進展しているため、国内生産量の成長は緩やかな形になる。これに対して、電子デバイスは、2桁増の成長を遂げ、2003年は11.0%増の6兆2479億円。2004年は12.3%増の7兆0157億円と予測している。なかでも集積回路や半導体素子の伸びが高いと予測している。
一方、電子工業全体の15%を占める民生用機器は、デジタル家電の普及で、2桁増の高い伸び率を見せている。
2003年は前年比14.9%増の2兆2,726億円、2004年は11.5%増の2兆5,330億円と2年連続の2桁増を見込んでいる。液晶テレビやDVDレコーダーをはじめとする主要デジタル機器の海外生産シフトが2005年以降になると見られていることから、2004年までは国内生産が増加。さらに、地上デジタル放送の開始やアテネオリンピックの開催によって、需要拡大が見込めるなどのプラス要素もあるという。
同協会では、今回の電子工業生産見通しの発表の席上、12月1日から開始された地上デジタル放送に対応した受信機の出荷実績についても発表した。
今回発表したのは、放送開始直前の11月末までの出荷台数。これによると、地上デジタル放送対応テレビの出荷台数は28万9千台。そのうち、PDP型テレビが5万6千台、液晶テレビが11万2千台、CRTテレビが12万2千台となった(発表数字が四捨五入による数値のため、合計値は一致しない)。また、地上デジタルチューナー(アダプタを含む)は2万2千台。地上デジタル放送受信機合計で31万1千台となった。
同協会では、「12月1日時点で地上デジタル放送対応製品が75機種も出揃っており、BSデジタルの時に比べると大きな数値になっている」と出足の良さを訴えた。
なお、同協会では、今後は、毎月、地上デジタル放送受像機の出荷台数を発表していく考えを示した。地上デジタル放送対応チューナー内蔵の録画再生機の登場が見込まれることや、携帯電話やカーナビでも地上デジタル放送が受信可能になる可能性が高いことから、随時、こうした製品にも対象を拡大して、一元的に発表していくという。12月末までの出荷台数については、来年1月26日に発表する予定である。
□JEITAのホームページ
http://www.jeita.or.jp/japanese/index.htm
(2003年12月17日)
[Reported by 大河原克行]
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