COMDEX Las Vegas 2003レポート

第2世代のTablet PCや音の出るタッチパッドが登場
~MobileFocus/DigitalFocusレポート(PC編)


会場:米国ネバダ州ラスベガス市 ラスベガスコンベンションセンター
会期:11月16日~20日



 COMDEX Las Vegas 2003は、16日夜(現地時間)にアラジンホテルで開催されたMicrosoft会長兼CSAであるビル・ゲイツ氏の基調講演で実質的に開幕した。

 この中で同氏は、Windows XP Tablet Editionを搭載した第2世代Tablet PCを紹介したが、基調講演後に報道関係者向けに行なわれたイベント「MobileFocus/DigitalFocus」において、各OEMベンダが第2世代Tablet PCを実際に展示した。

 本レポートでは、MobileFocus/DigitalFocusにおけるPC関連の話題を紹介していきたい。

●PCベンダ各社が第2世代Tablet PCを展示

 今回のMobileFocusにおいて最も注目を集めていたマシンは、ゲイツ氏が“第2世代Tablet PC”と呼ぶ、新世代のTablet PCだ。といっても、OSとしてWindows XP Tablet PC Editionの新バージョンがリリースされたわけではなく、あくまで第2世代のハードウェアがリリースされたという意味だ。

 ゲイツ氏は基調講演の中で、第2世代Tablet PCをリリースするPCベンダとしてAcer、東芝、HP、ViewSonic、Gatewayの5社を紹介したが、MobileFocus/DigitalFocusにおいてはGatewayをのぞく4社が製品を展示していた。

 Acerは、Tablet PCとしては初めて大型の14型液晶ディスプレイを搭載したTravelMate C300を展示した。TravelMate C300は、通常電圧版のPentium Mを搭載したスリムA4ノートPCだが、液晶を回転することでTablet PCとしても利用できるコンバーチブルのスタイルとなっている。これにより、普段はフルサイズのノートPCとして利用し、必要な時だけ液晶を回転させTablet PCとして利用することが可能だ。

 そのほかのスペックは、チップセットにIntel 855GME(グラフィックス機能内蔵)、DDR333メモリ(512MB)、40GB HDD、14.1型XGAディスプレイ、IEEE 802.11bの無線LAN、Ethernet/モデム、Type2 PCカードスロット×1となっている。なお、日本での発売は未定とのことだった。

 HPはCompaq Tablet PC TC1000として販売されているTablet PCの後継として、TC1100を展示した。TC1100はすでに10月に米国で発表されており、CPUが従来のCrusoeからPentium Mに変更されたのが大きな変更点といえる。

 そのほか、TC1000ではCFスロットが用意されていたが、TC1100ではSDカードスロットに変更されているなどの変更点はあるが、10.4型液晶を搭載するなど基本的な外観はほぼ同じであり、CPUが変更されたバージョンアップ版だと考えて良い。米国ではすでに受注が開始されているが、日本でのリリースは未定。

 また、ViewSonicは、Tablet PC V1250を展示した。同社は、これまでスレート型(キーボードが付いていない液晶だけのタイプ)のTablet PCである、V1100をリリースしてきたが、今回新たにV1250を追加し、コンパーチブルデザインを採用したのが大きな特徴。

 液晶には12.1型XGAを採用しており、CPUは超低電圧版Pentium M 1GHz、Intel 855GM、30GBのHDD、256MBメモリというスペックになっており、重量は約1.8kgとなっている。なお、オプションでドッキングステーションが用意されており、このドッキングステーションに接続することでキーボード、マウスなどを接続してデスクトップPCのように使うことができる。なお、本製品は米国、中国での販売が先行して行われ、日本をはじめとした他の地域での販売はこれからだということだ。

AcerのTravelMate C300。Tablet PCとしては初めて14型の液晶ディスプレイを採用している。なお、重量は2.8kg 本体左側面。DVD-ROM/CD-RWコンボドライブが用意されている 本体右側面。PCカードスロットとオプションの4in1カードアダプタ(SD、MMC、スマートメディア、メモリスティックを読み書き可能)を挿すスロットが用意されている

HPのCompaq Tablet PC TC1100、従来のTC1000とほぼ同じデザインになっている TC1000との大きな違いは、カードスロットがCFからSDへと変更されていること CPUには超低電圧版Pentium M 1GHzが採用されている

ViewSonicのTablet PC V1250。12.1型液晶を搭載したコンパーチブル型で、約1.8kgの重量となっている ポインティングデバイスの周辺にボタンが集められているユニークなデザイン 本体の左側面にはPCカードスロット、SDカードスロット、IEEE 1394などが用意されている

右側面には特に何も用意されていない ドッキングステーションの背面。Ethernet、USBポート、IEEE 1394、RGB出力などが用意されているほか、ドッキングステーション側でバッテリを充電できる

●東芝はDynaBook SS 3500の後継となるPortege M200を展示

 東芝は、日本ではDynaBook SS 3500として発売されているTablet PCの後継機「Portege M200」を展示した。

 M200は、12.1型の低温ポリシリコン液晶を搭載したTablet PCで、SS 3500と同じようにコンバーチブルデザインとなっている。SS 3500との大きな違いは、CPUが通常版Pentium Mに変更され(SS 3500ではモバイルPentium III-M)、新たにオプションでドッキングステーションが用意されたことだ。ドッキングステーション側に用意される「Slim SelectBay」と呼ばれるベイに光学ドライブを装着して利用することができ、キーボードやマウスを接続してデスクトップPCのように利用することも可能だ。また、GPUにはNVIDIAのGeForce FX Go 5200が採用されている(ビデオメモリは32MB)。

 インターフェイスはType2 PCカードスロット×1、SDカードスロット、USB 2.0×2、Ethernet/モデム、無線LAN(標準は11b対応、オプションで11a/bないしは11a/g対応)というスペックになっている。また、付属アプリケーションとしてOneNote 2003が標準で添付されている。

 価格はPentium M 1.50GHz、40GB HDD、512MBメモリを搭載した標準モデルで2,299ドル(日本円で約25万円強)となっている。日本での発表、出荷時期などはいずれも未定であるとのことだ。

東芝のPortege M200。12.1型液晶を搭載したTablet PC。重量は約2kg弱 CPUには通常版のPentium Mが採用されており展示マシンでは1.7GHzが採用されていた。GPUにはNVIDIAのGeForce FX Go 5200が採用されていた オプションで用意されるドッキングステーション

背面のポート。USB×2、RGB出力、Ethernet、モデムなどの各端子が用意されている。このほか、側面にPCカードスロットとSDカードスロットが用意される ドッキングステーションに取り付けたところ。液晶ディスプレイの感覚で利用できる

●30型の液晶テレビなど家電事業に参入するDell

 Dellは30型や23型の液晶テレビなど、同社が新しくラインナップする家電製品を展示していた。W3000という型番がつけられたのは、30型ワイドの液晶テレビで、HDTVに対応した液晶テレビとなっている。

 入力として、コンポーネント入力、S端子、コンポジット入力のほか、PCを接続するためのRGBやDVI-Dなどが用意されており、テレビ画面の中にPC画面(あるいはその逆)を表示するPicture in Picture機能も用意されている。

 解像度は1,280×768ドットで、最大輝度は450cd/平方mとなっている。なお、米国では11月17日より受注が開始されており、同社のWebサイトでの価格は3,299ドル。なお、今年の終わりまでには23型ワイドのW2300もラインナップに追加される予定だ。

 なお、Dellのブースでは米国で発表されたが、日本では未発表のHDD音楽プレイヤーの展示も行なわれていた。“Dell DJ 20 Digital Music Player”と名付けられたこの製品は、20GBのHDDを内蔵しており、約4,900曲のストアが可能になるという。標準でリモコンも付属している。

 なお、バッテリ駆動時間は16時間となっており、PCとはUSBケーブルで接続して曲データを転送する。価格は、20GBを搭載したモデルで299ドル、15GBのモデルに関しては249ドル。

Dellブランドの液晶テレビ「W3000」、TVアンテナ入力の他、コンポーネント入力、Sビデオ端子、コンポジット入力、DVI-D、アナログRGBなどの入力端子を備える。TV画面の一部にTV画面を表示させるPicture In Pictureの機能も備えている DellのDJ 20 Digital Music Player。20GBのモデルでは、MP3ファイル形式の曲を4,900曲程度保存することができる。付属のソフトウェア「Musicmatch」を利用してUSB経由で転送する

●パッドメーカーのSynapticsは音の出るタッチパッドを発表

 ノートPCの入力デバイスとして標準的な地位を築いているタッチパッドのメーカーであるSynapticsは、新しい入力デバイスを発表した。といっても、外観や入力デバイスとしての使い勝手はこれまでのパッドとなんら違いはない。大きく違うのは、そのパッド自体が振動することで、音を発生させ、スピーカーの換わりとなる機能が用意されていることだ。

 これは英国のNTXが開発した、平面スピーカーにする技術「SurfaceSound」を利用しており、PC本体にスピーカー用の穴を開けなくても音を出すことができる。

 音質自体は通常のスピーカーとは比べても仕方ないレベルのものだったが、ノートPCのスピーカーの場合、音質以前に、音さえ出ればよいというニーズも少なくないので、PCメーカーにとってのメリットは小さくないだろう。

 特にスリムノートやミニノートといったスペースに余裕がない製品の場合には、スピーカーを入れる場所に苦労することも少なくないので、本製品のような省スペース向け製品は大きな意味を持つだろう。

 なお、実際に音楽を再生しながらパッドを操作してみると、指先にビリビリと音による振動が感じられ、ちょっとユニークだ。

 このほか、DVD-RAMの普及を目指すRDVDCのブースには、松下電器が開発した9.5mm厚の2.5インチDVD-Multiドライブ「J-812」が展示されていた。これまで、9.5mm厚のドライブではDVD-ROM/CD-RWのコンボドライブしかなく、薄型ノートに書き込み型DVDを採用するのは難しかった。しかし、UJ-812が投入されれば、9.5mm厚のドライブしか利用できない薄型ノートなどにも書き込み型DVDを実装することが可能になる。なお、担当者によれば、現時点では出荷時期などは未定という。

Synapticsがデモした音の出るタッチパッド。構造としてはパッドのレイヤーの下に、DMAと呼ばれる音を出すレイヤーが用意されており、これが振動することでパッドから音を出すことを可能。写真で言えば、ちょうど白い部分が振動して音を出す。こちらはステレオスピーカーだが、モノラル版も用意されているという。実際に写真のPCを利用してデモが行なわれていた 松下電器のDJ-812は、9.5mm厚のDVD-Multiドライブ。DVD-RAM(カートリッジ付きは未対応)は2倍速、DVD-Rも2倍、DVD-RWは1倍速での書き込みが可能になる。重量も12.5mm厚の210gに比べて50gほど軽い160gとなっている

□COMDEXのホームページ(英文)
http://www.comdex.com/

(2003年11月18日)

[Reported by 笠原一輝]


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