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JEITA、脱Windowsを目指すオープンソースOSに言及
~日本/韓国/中国政府が共同開発に合意

佐々木元 JEITA会長

9月19日 公開



 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、9月19日、佐々木元会長(NEC会長)が定例会見を行ない、日本、韓国、中国が共同開発することを検討開始したオープンソースOSなどに言及したほか、コンピュータ、パソコンなどを含む「電子計算機および関連装置」が当初見通しを下回る実績で推移していることなどを明らかにした。

 オープンソースOSの開発は、日本、韓国、中国の各国政府が「脱Windows」を目指し、サーバーやパソコン、携帯電話、カーナビゲーションシステムなどのOSを共同開発することで検討を開始すると、先頃合意を発表したものだ。

 佐々木会長は、「今後は、共同開発を行なう上での問題点などをワーキンググループを設置し、議論することになるだろうが、現在は、3国にとって共通の興味の対象であるとの確認をした段階だと認識している。具体的にどういう項目について、どう議論していくかはこれからである。政府の関係者の間で、具体的な議論まで進んだとは聞いていない。JEITAとしては、具体的なものが提示された段階で、対応を考えることになるだろう。将来に渡って、関係政府などに対して、協会として、このOSの採用を訴えることになるのかどうかという点にもついても、そうした活動そのものが適切なのかどうかも含めて詰めていく必要があるだろう。だが、日本政府は、オープンソースソフトウェアの問題は、政府にとっても重要であるとの認識は持っているようだ。JEITAとしても一緒にやれることは一緒にやっていくことになる。テーマに応じて積極的に関与していきたいと思っている」とした。

 一方、電子計算機および関連装置の1~6月の生産実績は、前年同期比83.7%の1兆3,390億円と大幅な前年割れとなった。今年通期の見通しを7%増としているだけに、2桁減は業界内でも予想外のものとなった。

 佐々木会長は、「企業の情報化投資意欲が下期に回復してくれば、電子産業全体の追い風になるだろう」と期待を寄せる。

 通期の見通しを前年比107%と高い成長を見込んでいたのは、今年1月から実施に移されているIT投資減税の追い風分を考慮したからだ。だが、同協会では、「IT投資減税の効果がなかったというのではなく、むしろ、サーバーなどのハードウェアの大幅な価格低下が影響している」と分析している。価格下落の影響は下期まで影響するのは確実で、このままでは前年割れで推移する可能性もありそうだ。

電子工業の生産・輸出・輸入増減率推移

 しかし、電子産業全体としては、好調な動きに転じはじめている。

 今年上半期(1~6月)の電子工業生産は、前年同期比4.7%増の9兆2,892億円と好調に推移。通期見通しの3.6%増を上回る実績で推移している。

 佐々木会長は、「デフレが継続していること、地価が都市部を除いて低下傾向にあること、失業率が依然高止まりしていることなどの不安要因が解消しきれておらず楽観視はできないものの、株価が回復基調にあること、景気後退にも歯止めがかかってていることなど明るい兆しも見え始めている。為替も1ドル115円から120円で推移すれば、企業の業績にも大きくは影響しないだろう。とくに、個人消費が回復しつつあり、最新四半期の消費支出調査でも上昇している。この部分のかなりがエレトクロニクス分野に流れていると考えている。こうした個人商品の回復が半導体生産の上昇にも寄与している」とし、「通期がとれぐらいに落ち着くかはまだ精査していないが、株価が大きくマイナスにならなければ、3.6%増を上回る可能性は高い」とした。

 上半期実績の詳細を見ると、液晶カラーテレビが前年同期比32%増、PDPが34%増、DVDビデオが66%増(そのうち録再機が309%)、カーナビゲーションシステムが37%増、ビデオ一体型カメラが29%増、ICレコーダーが48%増などと、デジタル家電製品群を中心とした伸びが目立つ。また、携帯電話を含む無線通信機器も27%増という高い伸びを示しており、「携帯電話はこんなに伸びるとは思っていなかった」ともコメントした。

 民生用電子機器は、前年同期比15%増の1兆158億円。通期見通しの3.8%増を大きく上回る実績で推移、電子デバイスも7%増に対して10.7%増の2桁成長と通期見通しを上回っている。だが、産業用電子機器が2%増の通期見通しに対して、100.1%とほぼ横ばい。なかでも電子部品が101.7%の予測に対して、0.5%減のマイナスとなっており、下期の回復が注目されるところだ。

 また、佐々木会長は、下期のトピックスとして、10月1日から開始される家庭系パソコンの自主回収・再資源化システムのスタートをあげ、「円滑、効率的にスタートさせるために、関係省庁、地方自治体、販売店などのご協力とご支援、ユーザーのご理解が必要」と呼びかけたほか、10月7日から11日まで開催されるCEATEC JAPAN2003では、地上デジタル放送のデモを行なうとともに関連機器を展示することから、「地上デジタル放送を最初に視聴してもらえる場になるだろう」とした。また、その地上デジタル放送の年内開始については、「2011年のアナログ波停止に向けての大変重要な出来事であり、政府、販売会社、公共団体、各団体と協調して、普及促進に務めたい」と語った。


□JEITAのホームページ
(9月19日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.jeita.or.jp/japanese/index.htm

(2003年9月19日)

[Reported by 大河原克行]


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