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松下、売上高2%減なるも営業利益で2桁増
~第1四半期連結決算で強気の発言

川上徹也常務取締役

7月30日発表



 松下電器産業株式会社は、2003年度第1四半期の連結決算を発表した。これによると、売上高は前年同期比2%減の1兆7,636億円、営業利益は27%増の200億円、税引前利益は46%増の252億円、当期純利益は22%減の27億円となった。

●V商品が増益に大きく貢献

 国内の売上高は2%増の8,251億円、海外は4%減の9,385億円。海外では、携帯電話が好調な欧州地区の伸び率が高く、前年同期比13%増の2,484億円。米国は景気低迷の影響を受け、11%減の3,248億円、アジア・中国はSARSの影響が大きく、8%減の3,653億円。

 同社の川上徹也常務取締役は、「V商品が増益に貢献しており、これだけで約2,000億円を計上した。第1四半期は営業利益で2桁の増益を確保するなど順調な滑り出しとなったのに加え、キャッシュフローの増大といった財務体質の強化も実現できた。事業、商品、財務ともに堅調に推移している」とした。

 売上高が前年割れとなったにも関わらず、川上常務がここまで強気の発言をするのは、デスクトップ用HDD事業からの撤退が売上高減少の明確な要因と位置づけられており、これを抜くと前年同期比2%増となること、「本業復活のメジャー」(川上常務)としている営業利益が当初計画を80億円程度上回る200億円となったことなどがある。

第1四半期連結業績 決算のポイント

 また、第1四半期だけで約2,000億円の売り上げを達成したV商品は、AVCネットワークで40%、デバイスで48%を占め、これらの貢献によって、パナソニック商品は国内の金額シェアが23.8%と前年同期比1.8%増となったこと、ナショナルブランド商品で2.4%増の20.1%のシェアとなったことも、川上常務の強気の発言につながっている。

 パナソニック商品では、業界平均が3%減であるのに対して同社は7%増。ナショナル商品は業界平均が8%減に対して8%増となり、「DVD、ムービー、冷蔵庫、洗濯機、アイロンなどとほとんどの商品でシェアをあげている。シェアを落としたのはアナログ方式のビデオやオーディオ商品などの一部だけ」(川上常務)とした。

 部門別では、AVCネットワークが3%減の8,420億円。うち、映像・音響機器が8%減の3,161億円、情報・通信機器が前年並みの5,259億円。

 製品別に見ると、DVD、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、PDPテレビが大幅な伸張。「PDPでは、37型以上になると、応答速度、視野角などでPDPが優位であることを訴えていきたい」とし、今後の事業拡大にも意欲を見せた。PDPパネル事業は、この第1四半期で初の黒字化を達成したという。

 携帯電話事業は、ドコモ向けのP2102Vの好調でFOMAの中では5割のシェアを確保する好調ぶりだったが、PDCの不振で国内市場はマイナス。海外はフルカラー液晶を搭載した87シリーズ、88シリーズが好調で前年同期比3倍増になるなど好調な伸びを見せた。

 家電製品などのアプライアンスは、1%減の2,914億円。営業利益が前年同期比35%減の68億円と大幅な減少を見せたが、中国市場におけるエアコン、コンプレッサーの流通在庫が大量に滞留したことから、このための拡売費を計上したのが原因。これが収益悪化につながった。

 デバイスは2%減の2,667億円。日本ビクターは、4%減の1,926億円となった。

 なお、通期の見通しについては、変更はない。

V商品販売実績 AVCネットワークの業績推移
携帯電話の販売実績 グローバル販売実績

●回復への兆しが感じられる業績内容

営業利益のV字回復

 今回の松下電器の決算を見ると、ソニー、東芝などが苦戦を強いられていたのに比べると明るい兆しが感じられる内容といえるのは間違いない。

 とくに、PDPテレビが67%増、DVDプレーヤーが39%増といった今後の松下電器を代表すべき製品が大幅な伸びを示していること、ナショナルブランドの主力家電製品であるエアコンが8%増、冷蔵庫が3%増と成長。さらに収益と成長の源泉と位置づけられるデバイス事業のなかでもシステムLSIを中心とした半導体事業が19%増と高い伸び率を見せていることも明るい材料だといえる。

 だが、その一方で、一時的要因とはいえ、アジア・中国市場での減速の影響が、通期の業績にもなんらかの影響を及ぼすのは間違いない。さらに、今年度から実施に移されたドメイン会社単位の「破壊と創造」(=構造改革)が第1四半期には、あまり成果が見られなかったことも懸念材料といえそうだ。

 創生21計画で掲げた営業利益率5%の達成は、2006年度に持ち越されているが、その足がかりとしての今年度の実績はきわめて重要。第2四半期以降も引き続きV字回復路線を維持できるかが焦点といえる。

□松下電器産業のホームページ
http://matsushita.jp/
□ニュースリリース
http://matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn030730-1/jn030730-1.html

(2003年7月30日)

[Reported by 大河原克行]


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