富士通の小倉正道 取締役専務

7月29日発表

　富士通株式会社は29日、2003年度第1四半期連結決算を発表した。

　売上高は前年同期比4.5%減の9,387億円、営業損失マイナス378億円、経常損失はマイナス551億円、当期純損失はマイナス398億円の赤字決算となった。

　4月時点での予想に対して、売上高は412億円減、営業損益は28億円減、経常損益は1億円減だが、純損益は1億円のプラスとなった。

　PCは個人向けを中心に好調だったものの、携帯電話の新規機種の出荷が第2四半期にずれ込んだことや、5月に発生した宮城県沖の地震による岩手の半導体工場の一時的な生産停止などが売り上げの減少に影響した。

　また、利益面では、米国におけるサーバー事業の立ち上げ遅れなどが影響したものの、「経常利益、純利益ともに絶対額では大きな損失だが、計画通りの進捗」(富士通・小倉正道取締役専務)としている。

　分野別に見ると、ソフトウェア/サービス事業は売上高が前年同期比0.6%増の3,833億円。国内が前年同期比4.2%増の2,660億円、海外が6.7%減の1,172億円。営業損失はマイナス36億円。

　国内においては、IT投資意欲が依然として低迷しているものの、公共、製造、医療などの成長分野がけん引。一方海外では、米国でのIT投資の低迷に加え、英国における不採算事業の売却などにより売上げが低迷した。

　内訳では、ソリューション/SIの売上高が6.1%増の1,548億円、インフラサービスは2.8%減の2,285億円となった。

　プラットフォーム事業では、売上高は前年同期比17.6%減の3,122億円、営業損益はマイナス194億円と赤字決算。製品別では、PCおよび携帯電話が前年同期比7%減の1,400億円、通信関連が19.1%減の737億円、サーバー関連が30.4%減の651億円、HDD関連が23.8%減の333億円と軒並みマイナス成長となった。

　PCが個人向けを中心に好調であったほか、円高などによるコストダウン効果があったものの、NTTドコモ向けの携帯電話の新機種の出荷が7月にずれ込んだこと、通信関連が、米国をはじめとした光伝送システムの大幅な落ち込みをみせたこと、サーバー関連で通信・金融向けの大口商談の不在の影響が大きかった。

　だが、同分野に関しては通期の売上高1兆6,100億円、営業利益150億円の計画に変更はなく、「PCでは、夏商戦でAV関連機能を強化したモデルを他社に先行して市場に投入したことで、数量、市場シェアともに増加した。年間でもさらなる物流の増加を見込んでいる」としている。

　また、携帯電話に関しても、高品質カメラを搭載した新機種の出荷遅延を第2四半期で挽回し、年間では物量と売り上げを確保する見込みとしている。

　懸念されるのはサーバー関連での大幅な落ち込みが続いていることだが、黒川博昭社長体制となり、ハード事業の重要性を訴えているだけに、この分野の回復が重要な鍵となりそうだ。

　電子デバイス事業は、売上高が前年同期比14.5%増の1,626億円、営業利益がマイナス61億円。5月26日に発生した宮城県沖の地震の影響で、操業に影響があったことで災害損失47億円を計上したものの、半導体需要の増加に支えられ増収。損益は赤字だったものの前年同期に比べて改善している。6月30日には、米AMDとのフラッシュメモリの合弁会社をスタートさせており、今後の事業拡大を目指す。なお、7月の宮城県連続地震は、被災地から離れているため、いまのところ直接の影響はないとしている。

　なお、2003年度の業績見通しは、売上高4兆8,000億円、営業利益1,500億円、経常利益600億円、当期純利益300億円の計画値に変更はないが、中間期については、当期純損益が当初見込みのマイナス400億円から、マイナス500億円へと下方修正した。地震による特別損失などの影響、一部下期にずれ込むことが理由としている。

□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□決算概要
http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2003q1/
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0708/fujitsu.htm

(2003年7月29日)

[Reported by 大河原克行]