JEITAパーソナルコンピュータ事業委員会の篠崎雅継委員長

7月24日発表

　社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は24日、2003年度第1四半期(4～6月)のPC出荷統計を発表した。

　これによると、国内の出荷台数は前年同期比4%増の252万4,000台。金額ベースでは、前年同期比8%減の3,937億円となった。台数ベースでプラスに転じたのは2001年度第1四半期以来、2年ぶりのこと。一方、金額ベースでは同じく2001年第1四半期にマイナスに転じて以来、9四半期連続のマイナス成長。

2003年第1四半期出荷実績	2002年からの出荷台数の推移	2002年からの出荷金額の推移

●好調にも、慎重な姿勢を崩さず

　今年1月以降、IT投資促進税制の施行や株価の上昇などの明るい要因に支えられて、企業の投資マインドが戻りつつあることで、企業向けPCが全体の出荷台数の増加を牽引したと分析。企業向けPCでは、前年同期比10%増程度の伸びに達したとしている。

　また、コンシューマについては、映像系、音楽系などに用途別に特化した製品が好調だとしているが「コンシューマ向けPCは、出荷ベースでは前年並みか、若干マイナスだろうが、実販ではプラスだろう」(パーソナルコンピュータ事業委員会・篠崎雅継委員長)としており、こちらも徐々に回復基調に転じてきた模様。

　ただし、前年同期がワールドカップの影響で需要が停滞し、大幅な落ち込みになったことを考えると手放しで喜べないのも事実。

　同協会では、月ごとの推移については発表していないが、4月はマイナス成長だったものが5月、6月、7月とプラスに転じている様子で、「月を追うごとに好転している。夏商戦に関しては“すごくいい感触”とまではいえないが、業界としては評価できるところにきている」としている。だが、一昨年の実績までは回復していない状況であり、「今回の数値を見て、年間見通しの1,020万台を上方修正するつもりはない」と慎重な姿勢を崩していない。

●サブノートが好調、下期は企業需要が鍵

　一方、形状別では、デスクトップPCが前年同期比8%増の109万1,000台。ノートPCは同1%増の143万3,000台。ノートPCが出荷台数の57%を占めることとなった。なかでも、重量で2kg以下のサブノートPCの売れ行きが好調で、34万2,000台と前年同期比37%増と大幅な伸びとなっている。

　デスクトップPCの好調ぶりは、企業における大型液晶ディスプレイへのリプレース需要増大が影響したもので、コンシューマ分野でもディスプレイ一体型デスクトップを中心に需要が拡大している模様だ。

　市場全体の平均単価は、ノートPCが16万円と、前年同期の18万3,000円に比べて12%減。デスクトップPCは14万円と、前年同期の16万1,000円に比べて13%の減少となった。とはいえ、これも前年同期が液晶やメモリの主要部材価格の高騰を背景にした価格上昇のため、割高になっていた反動ともいえるもので、第4四半期(1～3月)に比べると、やや単価が上昇している。

形状別の出荷台数推移	形状別の平均単価推移

　なお今後の見通しについては、7月が前年実績を上回ることがほぼ確実であること、9月には、「駆け込み需要はない」(同協会)としながらも、販売店サイドでは「個人向けPCのリサイクル法施行前の駆け込み需要が見込まれるのは明らか」というように、9月期の強い需要拡大が想定されることなどから、上期は前年実績を上回ることはほぼ確実なようだ。

　問題は下期の需要動向だが、「出荷量全体の6割を占める企業向け需要がどこまで回復するかにかかっている」と、厳しい環境から脱していないことを示した。

□JEITAのホームページ
http://www.jeita.or.jp/
□ニュースリリース
http://it.jeita.or.jp/statistics/pc/h15_1q/index.html
□関連記事
【4月23日】JEITA発表、2002年度国内PC出荷は8%減の984万台
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0423/jeita.htm
【2001月8月2日】JEITA、2001年度第1四半期のPC出荷実績を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010802/jeita.htm

(2003年7月24日)

[Reported by 大河原克行]