Macworld NY 前日レポート

ターニングポイントを迎えた夏期Macworldが明日開幕
~PowerMac G5が事実上初めての一般公開へ


会期:7月16日~18日(現地時間)
会場:ニューヨーク Jacob K. Jabits Convention Center


 真夏のニューヨークを舞台に、恒例のMacworldが16日(現地時間)からスタートする。6年目を迎えたニューヨークでの開催だが、今年は大きなターニングポイントを迎えている。きっかけは、Macworldを主催するIDGが、2004年を機に東海岸で行なわれている夏季のMacworldを再びボストンで開催すると発表したことに端を発している。

 元々ボストンで開催されていたMacworldは、初代iMacが発売された'98年からニューヨークへと移転した。ウォール街を持ち、世界経済そしてビジネスの中心地であるニューヨークでMacworldを開催することにはIDG、Apple Computerともに大きな意義があったわけだ。いっぽうでマンハッタンという地域性から、滞在費の高騰などをはじめとして、出展者側の費用負担がボストン開催に比べて大きくなっていたのも移転当初から指摘されていた点である。

 そんな中、ボストン側はやや不便と考えられていたコンベンション施設の改修を進めたほか、ホテルなどの滞在施設も増設。大規模コンベンションの誘致に街をあげて乗り出した。こうした誘致に乗った形でIDGは2004年以降のMacworldのボストン開催を決定。この先数年間の契約を行なった。念のため記しておくが、こうした大規模コンベンションの誘致合戦はこの例に限ったことではない。積極的に行なっている都市も多く、たいていは複数年の開催を契約するのが一般的だ。

 ところが、この決定にApple Computerが反発。2004年のボストン開催には出展せず、場合によっては2003年のニューヨークへの出展も見送るというコメントをだすなど強硬姿勢をみせた。主催者はIDGとはいえ、Apple Computerもまた事実上のホストといっていい。その後、両社の間で表や裏での綱引きや調整が行なわれた結果、2003年の開催は、クリエイティブ分野に特化したイベント「Create」として行なわれることで決着した。とはいえ、さすがにこの名称では出展者、来場者双方へのアピールが足りないと判断されたのか、「Macworld CreativePro Conference & Expo」と、再度Macworldの冠をつけることで最終的に開催にこぎつけている。

 当のApple Computerも2004年以降は不透明ながら、今年は出展を継続。ただし5年連続(その前のボストン開催を加えると6年)で行なわれていたSteve Jobs CEOによる基調講演は行なわれない。代わりに展示初日にあたる16日に、Feature Presentationという名称でApple Computerによるプレゼンテーションが開催される。プレゼンターは同社のハードウェア・プロダクトマーケティング担当の副社長であるGreg Joswiak氏で、現地時間午前9時30分から約1時間の講演が予定されている。

●準備の進む各社ブース。Apple Computerによる新製品は?

 カンファレンスは14日からすでにスタートしているが、展示会オープンの前日にあたる15日は例年どおりに各ブースや会場の準備が進められていた。事前に提供されていたフロアーマップからわかっていたことだが、使用している展示ホールの面積は前年のおよそ半分ほど。出展社数も半分とはいかないまでも減少していて、小規模なブースが目立つ。最大規模のApple Computerも、ブース面積は例年よりは狭くなっている。

 Jabit Convention Centerの象徴、クリスタルパレスにはPowerMac G5の垂れ幕が数本掲げられているが、特に暗幕などで意識的に隠しているものは昼過ぎに訪れた時点では見あたらなかった。また例年はブースの周囲を暗幕で覆い隠し、いったい中ではいかなる製品が準備されているのだろうと想像をたくましくさせられていたApple Computerのブースも、今年はあっけらからんとしたもの。会場ホールの入り口には申し訳程度に目隠し幕があったりするが、わりとオープンにブースの準備が進められていた。それでも、正面に位置するパネルの製品名ロゴはシールで覆い隠されている。

展示ホール入り口の正面にはApple Computerのブース。例年とはことなり、暗幕をはりめぐらした厳戒態勢ではなく、どちらかといえばオープンにブースの準備が行なわれていた。カーテンの隙間からは、先日WWDCで発表されたPowerMac G5も見える

 そのApple Computerの展示の目玉は、やはり先日のWWDCで発表されたPowerMac G5ということになるだろう。WWDCではデベロッパ向けにラボなどで公開されていたPowerMac G5だが、一般向けには事実上の初公開となる。Previewのはじまった次期Mac OS X“Panther”とあわせて、会場に訪れるクリエイティブ分野のプロフェッショナルユーザーたちの注目を集めることになりそうだ。

 Jobs CEOの不在、またクリエイティブ分野に特化したイベント内容ということで、Apple Computerによる新製品のアナウンスがあるかどうかは微妙なところだ。いちおう新製品の候補としてあげられているものには、15型PowerBookの12型、17型と同様のデザインへのリファイン。そして、ハードウェア、ソフトウェアともにメタル調のデザインが増えていくなかで、デザイン的にマッチしなくなりつつある同社製フラットパネルディスプレイのデザイン変更などがある。

 プレゼンテーションを行なうのが、上級職でないとはいえハードウェアプロダクトマーケティング担当の副社長ということで、PowerMac G5に特化した内容となるのか、あるいはなんらかの新製品も見せてくれるのか期待したいところだ。会期中、PC WatchではMacworld CreativePro Conference & Expoの情報を随時レポートする。

Apple Computerブースの展示の目玉となると思われるPowerMac G5の垂れ幕。前日昼間の時点では、思わせぶりな暗幕に隠された垂れ幕はなく、PowerMac G5以外に新製品のアナウンスがあるかどうかは微妙なところ 入場バッジのプロダクションエリア。サードパーティの垂れ幕はMicrosoftのものが目立つ程度。クリエイティブ分野に特化といいながらも、AdobeやMacromediaといったあたりのこうした広告がないのは寂しい。Macromediaはブース出展は行わないが、16日午後にFeature Presentationを行う。QuarkのFeature Presentationは17日 展示ホールの利用スペースが例年の半分となったことで、クリスタルパレスの装飾も半分になった。昨年の写真と見比べてもらえるとわかりやすいが、向かって右側がすっぽりと展示スペースとして利用されていないことがわかる

□Macworld Conference & Expoのホームページ(英文)
http://www.macworldexpo.com/
□Apple Computerのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
□関連記事
【2002年7月17日】Macworld Conference & Expo/New York 2002:前日レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0717/mwny01.htm

(2003年7月16日)

[Reported by 矢作 晃(akira@yahagi.net)]


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